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そんな私はヴァンパイア  作者: 松栄
第2章 修行の旅へ ~デミアン王国編~
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第18話 旅立ちは笑顔でお見送りしてほしい

 昨夜、ウリエル様に取り憑かれ、新たな装備を装着した私とシャルル。

 そんな私達を見て、お母様達は一言。


 「見違えたましたわ。一晩で何が?」

 「お前達、何だその変貌は?」


 と言い出した。

 私もシャルルも、ワールドを装備した以外特に変化はないんだけど……


 「それ、ケミストリーってやつだね。」

 「雪子お母様、けみ、何?」

 「ケミストリー、だよ。簡単に言うと化学反応って意味だけどね。」

 「化学反応?」

 「えーっとね、これウリエルちゃんの力、だよね。」


 さすがは雪子お母様。こういうのを素早く見抜くんですね。


 「その装備は、もしかしてワールド、なのですか?」

 「お母様、そうです。私とシャルルそれぞれに装備できるようになったの。」

 「タカが身に着けていたものと形が違うのは、お前達に適合する形に変化した、ってところか。」

 「はい。」

 「うーん、何というか、似合ってるな、シャルル。ディーナも。」

 「うふふ、“美カッコいい”ですよ?」

 「「 ありがとう、お母様。 」」

 

 「とはいえ、その姿以上に、お前達から感じる“気”みたいなものが変化している気がするな。」

 「それが、ケミストリーの効果かもね。まだ二人とも覚醒どころか地の力も低いんだけど、それでこれだからね。」

 「ユキ、よくわかったな。」

 「ウリエルちゃんのその力は、とと様が一番よく理解してたしね。私もリンクしてたんだよ。」

 「アタイだって取り憑いて同期してたってのにそれ以上かよ。やっぱりシヴァって侮れねえなぁ。」


 何かこう、お母様達同士のお話って、どこか別次元のおとぎ話みたいに聞こえるのはなんでだろ?


 「さあ、とにかく朝食にしましょう、みなさん。」

 「はい。」

 「ありゃ、そういやルナは?」

 「そういえば今朝は誰も見ていない、のでしょうか?」

 「私はさっき見かけたが、別邸の方へ向かっていたぞ。」

 

 たぶん、ルナ様はお父様のお墓に行ったんだと思う。




 ―――――


 

 「魔王様、アルチナ姉さまから連絡がきました。」

 「お?アルチナからか、ありがとう、エヴァ。それで何と?」

 「はい、本日ようやくあの子達がここへ来られるそうですよ。」

 「そうか、何というか、待ちわびたな。」

 「うふふ、先日はあんなことがありましたしね。首を長くし過ぎてしまいましたね。」

 「そ、そうだな。しかし、あの子達に会うのも久しぶりだしなぁ。それに……」

 「それに?」

 「ついに、ついにタカヒロとの約束を果たす時が来たんだな。」 

 「あのお方、なぜここまで先の事をお見通しになられていたのでしょうか?」

 「まぁ、それがアイツの勇者たる所以、なのだろう。我にはわからないな。」

 「私も、あのお方に恩を返せていませんので、今回の事が上手くいけば、返せることになるのでしょうか?」

 「いや、その気持ちだけで充分だ、ってアイツは言うだろうさ。でも、そうだよな。エヴァとこうして幸せに暮らせるのは、アイツのお陰だしなぁ。」

 「それだけではありませんわ。アベルがこの世に生まれた事も、ですよ。」

 「そうだな。全く、何から何まで…… やっぱりタカヒロには感謝してもしきれない。だからせめて、あの子達の真価を引き出す事に全力を尽くそうぞ。」

 「私も、全力で補助いたしますわ。」

 「うむ、エヴァ、カッコいいぞ?」

 「うふふ、魔王様も。」



 ―――――


 

 朝食を終えて、いよいよ出発に向けて準備を整える。

 とはいえ、それほど多くない荷物と“ワールド”だけだから、特に問題はない。

 そうして荷物を確認していると


 「二人とも、ちょっと良いかな?」

 「ローズお母様、どうしたんですか?」

 「この前渡すのを忘れててね、これを持っていきなさい。」

 「これは?」


 かなり草臥れた、不思議な素材でできたバッグだった。

 

 「これね、あの人がずっと持っていたバッグなの。中を空けて見てみなさい。」

 「中を、ですか?」


 受け取ったバッグのチャックを空けて中を見てみると……

 淡く光る空間が広がっていた。

 中、という感じではなく、別の空間、っていう感じ。


 「これはね、中の容量っていうものが無い、何でも、いくらでも入るバッグなの。」

 「これって……」

 「あの人も何故なのかはわからないって言っていたわね。もしかするとワールド以上に謎の物体、とも言っていたわね。」

 「でも、これを私達に?」

 「有って困る物でもないし、むしろ有れば便利なアイテムでしょ?まぁ、見た目はちょっとアレだけどね。」

 「いえ、お母様、逆に新鮮な感じもしないでもないです、よ?」

 「まぁ、シャルルは私よりも流行に敏感な“オサレ”だけど、そんなシャルルが言うならそうなの、かな?」

 「うふふ、ディーナはあの人に似てそういうの気にしないものねぇ。」


 こうしてローズお母様から受け取ったバッグ。

 言ってみれば、お父様の形見の一つ、だよね、これ。

 でも、確かに何でも、どれだけでも収納できてこの大きさのままっていうのは便利よね。


 「ありがとう、ローズお母様。」

 「うん、頑張ってね、二人とも。」


 そう言って、優しく抱き締めてくるローズお母様。

 とても暖かくて、安らぐ気持ちになる。


 準備も終わり、出発する時間になった。

 今回は館の前でお見送り、となった。

 皆が揃って見送りに来てくれた、けど。


 やっぱりネージュの顔は曇っているなぁ。

 理解はできても、納得はできないんだろうな。

 特に、自分以外の人に過酷な旅をさせてしまう、っていう所に。

 それは、つまり自分の力が足りない、という悔しさもあるんだろうなぁ。

 でも、それは今の私とシャルルも同じよね。

 

 「ネージュ。」

 「ディーナ姉……」

 「私達は、皆の想いを抱いて、頑張ってくるね。だから、見送りは笑顔で見送りしてほしいな。」

 「う、うん……わかったよ!」


 そう言って、涙目のネージュは笑顔を作って見せてくれた。

 ちょっと、抱きしめたくなっちゃったな。


 「じゃあ、みんな、行ってきます。」

 「頑張ってくるからね。またね。」


 そう言って、馬車に乗り込む。

 みんな手を振って送ってくれた。

 ネージュも、涙を流しながらも笑顔で手を振っている。


 皆の気持ちの為にも、この星の人々の為にも、何よりお父様の願いの為にも。

 私達は今を乗り越えて、自分を乗り越えて見せる。

 きっと、辛くて悔しくて、泣いちゃう事もあるかもしれない、けど。

 それでも、頑張ろうと決意を新たにしたんだ。


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