第13話 敵わなかったのは何故?
デミアン行きの列車は、先頭車両が破壊された事でエストへと引き返すことになった。
動かなくなってしまった先頭車両を切り離し、残りの車両はそのまま逆走しエストへ向かった。
この影響で、この路線は結局2日ほど運休になった。
エストで乗り換え、そのまま私達はイワセ温泉郷へと戻ることになった。
その列車の中。
「ディーナ、私、私ね、正直に言うね。」
「シャルル?」
「私、モンスターを前にして、体が言う事を聞かなかった。怖くて、動けなかったの。」
「シャルル……」
「でね、こんな私が、本当にお父様の意思を継いで封印までできるのかなって、ちょっと弱気になってる。」
「それ、私も、なんだ……」
「ディーナ……」
「でも、それでも、そう思うのと同時に、あんな怖い思いは誰にもさせたくない、とも思うの。」
「ディーナもそう思うのね……」
「も?」
「私も、怖かったけど、これは他の人にはさせちゃいけない、と思う。」
とても怖かった、というのは事実だ。
明らかな実力差もさることながら、モンスターからは何とも言えないイヤな感じを受け取った。
何と言うか、悪意というか、怨念というか、そういうイヤな感情だった。
それはきっとモンスターの生成、つまりコアの役目を考えれば当然なのかも知れない。
けど
それは人々が知らないほうが、いいえ、知るべきではない事だし、触れさせてはいけない事だと思う。
《まぁ、とはいえ、だ。何れにしたってお前らの実力を引き出すことが先決なのは変わらないぜ?》
「あれ?ウリエル様?」
《ああ、今はワールドの中だ。思念で話してんだよ。》
「そ、そうなんですか。」
《で、だ。ひとまずはお前らがモンスターに対してどんなレベルにあるかは、ある程度掴めたのかよ。》
「そう、ですね。というか、比較にすらならない、のかも……」
「掴めたのは、その現実、という感じです。」
《まー、それもそうだろうけどよ、そういう彼我の差を知るってのも、お前らの成長には不可欠だぜ?》
「それも今後の修行にかかっているだろう。」
「ルナ様、何時の間に……」
「初めっからいただろう。何だ、お前たちはタカヒロと同じなのか?」
「い、いえ、ルナ様気配を消したままでしたよ?」
「おお、またやってしまったか、すまん。」
(ところでさ、お前のその魔力ってタカヒロよりも強大なんだけど、それって自覚はないのか?)
「フェスター様?お父様よりも強大って?」
(いや、ホントにわかんないのか?)
(シャルルも同じだけど、わかりませんか?)
「私も、ですか?」
《結局はだな、使い方を知らないってのが問題だな、うん。》
「使い方……」
(まぁ、タカヒロも初めはそんな感じだったんだよ。でもさ、タカヒロはどっちかっていうと制御ができなかった、だな。)
(力そのものは最初から出し切ってましたからね。)
どういう事なんだろう。
自覚がないまま力を出せるのがお父様で。
自覚がないから力を出せないのが私達、ってこと?
それって、どこが違っているのかな。
なぜ、私達はその力を引き出せないのかな?
経験の問題?
気持ちの問題?
ちょっと、わからない……
《まぁ、どっちにしてもそれも含めて修行が必要ってことだろうよ。》
それはとてもよく実感できた、かな。




