表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王ノ聖剣ーRebirth'sー  作者: 東雲一
剣神誕生編
69/75

06_ハレの日

 今は、この戦いを楽しもう。


 竹刀の音が、力強く響きます。その瞬間、勝負が決まりました。レイブは、フンヌの強烈な一撃を受け流し、彼の胴体に、軽やかに竹刀をぶつけます。


 今回も、負けてしまった。だが、もう、彼女のことを諦められる。レイブほどの男なら、コトナのことを任せてもいい。


 勝負が決した直後、フンヌは、急に力が抜けて、倒れ込みます。呼吸が荒くなり、汗が止めどなく出てきます。とても苦しそうですが、フンヌは、やりきったという表情を浮かべています。


「大丈夫ですか。フンヌさん。傷だらけ。急いで手当てしないと」


 倒れこんだフンヌは、レイブとの戦いで、いつの間にか、傷だらけになっていました。そんなフンヌの姿を見て、コトナは心配して話しかけてくれたのでした。


「傷だって、ほんとだ!?」

 

 コトナに言われて、フンヌは、初めて、自分が傷だらけになっていることに気付き、全身に激痛が走ります。レイブとの戦っている最中は、集中するあまり、傷の存在に、気づいていませんでした。


「大変......治療しますので、動かないでください」


 コトナの優しい声とともに、フンヌは、彼女の手の温もりを感じます。


「ああ.......」


 俺は、この彼女のあたたかな雰囲気が好きだった。彼女の存在があったからこそ、つらい剣の修行も、乗り越えられることができた。


 ほんとは、彼女には俺のそばにいてほしかった。だが、レイブに全力で挑んで敗れた。彼女の気持ちにも気づいていた。今となっては、俺のできることは、二人が幸せになることを祈り、応援することだけだろう。

  

 ◇◇◇


 その一年後ーー。


 季節が巡り行き、村に鐘の音が鳴り響きます。


 小鳥が青空に向かって、音をたてて飛び立った後、教会から、ウェディングドレスを着たレイブとコトナが、幸せそうな表情を浮かべながら出てきました。

 

 今日は、二人の記念する日。二人が結婚した日でした。


 手を繋ぎ、歩く二人を、多くの人々が集まって祝っています。その中には、フンヌの姿もあります。フンヌは、人々が拍手をするなか、幸せそうな二人の様子を見ながら、心から拍手ができず、ただ佇んでいました。


 二人を応援すると決めたのに......。


 なんだ、この胸に広がる引き裂かれるような気持ちは。


 三人の距離はこんなにも近いのに、自分を置いてどこか遠くに行ってしまったような悲しみが、フンヌを襲っていました。三人でいる時間が長かった分、悲しみは、彼にずっしりとのし掛かります。


 駄目だ。ここで、二人の幸せを祝わなければ、後悔するだろう。


 二人の友として今は、二人を全力で祝おう。


 おめでとう。


 フンヌは、笑顔を浮かべながら、太陽の光に包まれた二人に向かって拍手をすると、拳を強く握ります。

次回は11月11日に投稿予定です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ