01_革命の時
クアルスター帝国の周囲は、魔法壁が張られ、魔物たちが入ってこれないようになっています。魔法壁のお陰で、魔物たちの脅威から免れてきました。
カゼキリたちが、屋敷を脱出する30分程前のこと。人々の住む世界と魔物たちが住む世界を分ける魔法壁に、触れる者がいました。
「長年、私たちを拒んできたこの壁も、今日で見ることはなくなるだろう」
カオスと呼ばれる魔族の男は、魔法壁に平然と触れて、言います。
「キヒヒヒ。ついに、この時が来た。壁の向こう側に行ける」
カオスの率いる魔族の集団のメンバーの一人クデュが、興奮ぎみに言います。
「さあ、君が、開けてくれ。その箱を。君にしかできない」
カオスは、背丈の小さい少女に言います。虚ろな目をした少女は、言われるがままに、箱を取り出し、開けます。
少女の開けた箱は、エルピスの箱。この世の絶望と希望を詰め込んだ箱です。魔法の発見で、魔物たちの恐怖かは逃れることができた人類ですが、この箱を開くことで魔物たちに怯え暮らした世界が再び訪れてしまいます。
少女が開いた直後、地面を揺るがすほどの大地の揺れが起こります。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。
凄まじい揺れと轟音とともに、クアルスター帝国の北東部に、地面から、巨大な塔が顔をだし、雲を貫きます。見上げれば、首が確実に痛くなるほどの驚きの高さです。
突然、現れた不思議な塔。実は、この塔は、集積塔と呼ばれるもので、太古の昔から、語り継がれる逸話にも出てくる塔だったのです。ただの芸術的な建築物ではありません。世界のあり方を、変えてしまうような、特殊な力を持った塔でした。
「今こそ変革の時だ」
カオスの狂気に満ちた声が響きます。
次回は、9月19日に投稿予定です!




