05_溢れ出る思い
カゼキリも、レイブの手の震えに、驚きます。常に、冷静なレイブが、手が震えるなど考えられませんでした。
「ああ、直感で分かった。あいつは、ソラではない。ソラの皮を被った何者かじゃ。魔族の気配がする。しかも、かなり上位のな」
《ソラってやつに、魔族が化けているのか。上位の魔族と、カラドは戦っている。それってかなりやばいんじゃないのか》
レイブとカゼキリの話を聞いていたクスカは、不安げに言います。
「カラドは、勝てるよね、あんな奴に、負けないよね」
「.......」
レイブは、クスカの問いかけに、沈黙します。レイブに引っ張られて、走っていたクスカでしたが、立ち止まります。
「やっぱり、このまま、カラドを置いて逃げるなんてできない。一緒に戦う」
カラドは、クスカたちが、立ち止まり、話しをしているのを見て、叫びます。
「逃げろと言っただろ!!俺のことは、どうでもいい。最期に俺に、守らせてくれ。今まで、誰も守れなかった。多くの大切な人たちを失った。今回は、絶対に守りぬきたいんだ」
カラドの強い意思を感じ取ったクスカは、心が揺らぎます。カラドを失いたくないと思うと共に、カラドの気持ちも理解できたからです。
「クスカ、行くぞ」
レイブが、クスカに一言言います。クスカは、何も言わず、頷きました。どうやら、この場を離れる覚悟ができたようです。
再び、クスカたちが、走り始めたのを見て、カラドは安心します。クスカたちとの距離が離れるにつれて、彼らに対する思いが溢れてきます。
クスカ、お前は決して、俺みたいになるな。これから、どんなに理不尽で、つらい現実にぶつかったとしても、屈せずに、前を見据えてほしい。クスカは、それができる強い子だ。レイブさん、ナズナさん、今までありがとうございました。俺が、本当は、この屋敷で、剣術を教えてくれた日々は、最高の日々でした。それと......。
次回は、9月13日に投稿予定です!




