01_心の支え
大切な人を失ってしまった過去にとらわれ、いつまでも後ろばかりを見ていた。そんな俺が、前に進めるわけが、なかったんだな。
地面に倒れたカラドは、皮肉にも、青く澄んだ蒼空に向かって、朽ち行く手を伸ばし、今までのことを思い出し悔やんでいました。
誰かを守るために剣術を極めて来ましたが、いつしか、誰かを守るためではなく、ただ剣術を極めるだけに執着するようになったカラド。クアルスターの戦いでの出来事をきっかけに、すっかり歩むべき道を見失っていました。
ですが、クスカとの戦いで、彼女のまっすぐで、強い心に触れて、自らの過ちに気づかされたのです。
悲しみの果てに、何も守ることができずに、何も果たすことができずに終わるなんて、なんだかとても胸を締めつられるような思いになります。
「結局、俺は、何も守ることができなかった」
「そんなことないよ。私は、あなたに救われた。カラド、あなたは、私の憧れで、私の支えだったわ。あなたがいたから、今の私がいるの」
クスカが、話しかけると、カラドは、涙ぐみながら、言います。
「俺は、そんなことを言われる資格はない。今まで、散々ひどいことをしてきたんだからな。だが、ありがとう。その言葉だけで、俺の心は救われた」
カラドは、目を閉じ、体が朽ちていくのを感じながら、かつての仲間やキリナの笑顔が、頭の中に浮かんできました。
俺も、今から、そっちへ行くよ。顔向け出来ないくらい。ひどいことをしてきたから、もしかしたら会えないかもしれないけれど。
「カラド、残念だよ。お前なら、かつて剣神と呼ばれたレイブを倒すと期待していたのに。こんな少女にやられるとは、期待はずれだ」
クスカとカラドの戦いが終わり、これで一件落着かと思われれた最中、どこからか声が響きます。どうやら屋敷の壁の上にいる人物の声のようです。やっと落ち着けると思いましたが、休ませてはくれません。
「ソラさん......」
次回は、9月1日に投稿予定です!




