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魔王ノ聖剣ーRebirth'sー  作者: 東雲一
エピソード0
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04_生きろ

「まずい・・・・・・崖まで届かない。ゼノア、向こう側まで飛び移ろう!!!」


 木の板が向こう側の崖の上まで到達しないことを、クリアは直感します。


「えっ!?えぇえええええええええ!!!」


 木の板が、急降下し、強風に煽られて、激しく揺れます。二人とも木の板から落下しないのが不思議なくらいです。

クリアは、ジャンプするタイミングを見計らったあと、叫びます。


「1......2........3.......今だ、飛べぇええええええええ!!!」


「ま、待ってくださいよぉおおおおおおおお!!!」


 クリアは、向こう側の崖の上に向かって木の板から飛びます。ゼノアも、彼の背中を追うように木の板を踏み込んで跳躍しました。途端に、凍てつくようような風が、二人の身体に激しく吹き付けます。凄まじい風で、目を開けているのもやっとの状態です。視界がかなり狭まった中でも、着地する崖の頂上をクリアはしっかりと捉えていました。


「絶対に生き残るんだ。もう少し、あともう少しで、崖に到達する。そのためなら、こんな恐怖など打ち勝ってやる」


 クリアは、崖に到達した瞬間、両手を伸ばし、受け身を取ると、常人離れの身体能力で、なんと着地してみせます。崖の上は雪が積もっており、衝撃を緩和するクッション代わりになっていました。


これで一安心。と、思ったのですが・・・・・・。


「クリアさん・・・・・・」


 クリアのあとを、追うように飛んだゼノアが、あと少しのところで、崖に届かず、自らの死を直感します。これまでのことが走馬灯のように、次々と思い出され、最後に小さな息子に、言われた「必ず帰ってきてね」という言葉が頭に浮かびます。息子に握られた手のぬくもりは今でも鮮明に覚えています。


 ごめん、お父さん、帰れそうになさそうだ。ごめん、本当にごめんな。


ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。



「諦めるな!!!最後の最後まで、命ある限り」


 暗い気持ちを打ち砕くような叫び声を聞いて、ゼノアが、涙がこぼれた眼を開けると、クリアは右手で彼の右手首を掴んでいました。脱出時に、傷ついた傷跡から血が流れ出て、クリアの右手に伝うと、ゼノアの額に、こぼれ落ちます。ゼノアを掴むクリアの右手は、周囲の極度の寒さと人一人分の体重で小刻みに震えています。


「クリアさぁあん・・・・・・このままだと、あなたまで落ちてしまう・・・・・・」


「お前をおいて、俺だけ生き残れっていうのか。俺がそういうことができない人間だってこと、お前が一番、分かってんだろ」


「ですが・・・・・・」


「弱音は、無事に生きてからはけばいい。安心しろ。俺が絶対に助けてやる。だから、生きろ。ゼノア」


「はぁい・・・・・・・」


 ゼノアが、そう言って、涙を拭い、両手でクリアの右手をしっかりと掴むと、クリアは体重を後ろにのせて、全身全霊の力を込めて彼を持ち上げます。無事に、ゼノアを持ち上げたあと、クリアは背中から雪の上に倒れ込み、肩で息をします。


「はぁ、はぁ、はぁ、なんとか、ふたりとも生き延びたな」


「ありがとうございます。クリアさんがいなければ、俺は今頃、崖の下に落下していました」


「ああ、よかった。死ぬかと思ったぜ。今の所、追手も来ていないようだし、少しこの辺で休もう」


「そうですね。俺も疲れました」



 二人は、お互いに肩を組んで、疲労と寒さが蓄積された身体を動かし、その場を離れようとした時でした。奇妙な声が、頭の中に響きます。


《雪の試練を乗り越えし、勇気ある者たちよ。集積塔ラトゥールの試練を受ける資格を与えよう》


 この声は。


 と、頭の中に響いた声に、二人とも動揺していると、その直後、立っていられないほどの地震が二人を襲います。あまりの強烈な揺れに、山に積もった雪が、一斉に流れ落ち、周囲にいた小鳥たちも空へと飛んでいきます。


「すごい揺れだ」


「あ、あそこ見てください。地面から、塔のようなものが!!」


 ゼノアが指差す先を見ると、確かに地面を穿ち、巨大な塔のようなものが、空を貫くように、高く伸びています。どこまでも、伸びていきそうな様子でしたが、入り口の巨大な扉が姿を現したところで、動きを止めます。


 そして、二人の目の前で巨大な塔の扉が轟音を立てながら、中に誘うかのように開きます。



 俺たちを、中に入れようというのか。


 それにしても、なんだ、この扉の先から漂う、ただならぬ威圧感は__。









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