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魔王ノ聖剣ーRebirth'sー  作者: 東雲一
クアルスターの戦い編
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12_ボルグの適応者

 ふと、回りを見ると、先ほどまで一緒に話していた仲間たちの亡骸が、血を流して、地面に倒れています。残されているのは、カラドだけです。


「うああああ!!!どうして、俺は何も守れないんだ。俺が、俺が、今までやって来たことは、一体、なんだったんだ!!」


 雨を降り注ぐ曇天に向かって、沸き上がった自分に対するやるせなさと喪失感に苛まれて、慟哭します。血に染まった、両手を顔に押し当てたせいで、カラドの顔には、べっとりと、血がこびりついています。


「なんの意味もないよ」


 フードを被った男は、冷酷な声でカラドに向かって一言、いい放つと、話を続けます。


「お前がやって来たことは、すべて無駄なことだったのだ。どんなに努力しても、どれだけ神に祈っても、圧倒的な力の前では、すべてが無意味。気づけ、カラドよ。お前が求めるものは破壊の先にある」


 フード姿の男は、カラドにじんわりとした声で話しかけました。


 どうして、このフード男は、俺の名前を知っている。俺の仲間を無惨に殺したこいつが......。


 自分の名前を知っていることに疑問を抱き、カラドは、そっと顔を上げると、曇天から、稲妻が落ち、雷鳴を伴いながら周囲を一瞬だけ照らします。その際、閃光に照らされ、フード姿の男の顔が露になります。


「なぜ.......なぜ、あなたがこんなことを......ソラさん......」


 カラドは、フード男の姿を見て、驚愕な表情を浮かべ、茫然としています。無理もありません。かつて、剣術を教えてくれた師が生きていて、こんな最悪な形で現れたのですから。わざわざ、フード姿で現れた時点で、何かあると思いましたが、そういうことでしたか。


 フード姿の男は、確かにソラの見た目ですが本当にソラ本人かと疑ってしまうくらい、凶悪で禍禍しい雰囲気を放っています。別人と言っても過言ではありません。


 ソラの持つ剣から漏れ出た、おぞましい瘴気が、たちまちカラドの負の感情につけこんで、彼を飲み込みます。カラドは、瘴気に包まれ、負の感情を抑えることができなくなっていきます。

 


「そうだ、努力したって、結局は報われない......」


 カラドは、雨でびしょ濡れになった大地を、手で強く握りしめます。


「カラド、お前に魔王ノ聖剣の力を与えてやろう。そして、破壊の限りを尽くすのだ。壊してしまえ。お前に痛みを与える世界など」


 ソラは、明らかに、カラドを闇の道へと誘おうとしています。通常の精神状態のカラドなら、真に受けないはずですが、大切な仲間や、愛する彼女を失って心にぽっかり空いた穴には、負の感情で満たされてしまっています。感情の赴くままに、闇の道へと一歩、二歩、三歩と進んでいきます。


「何もかもめちゃくちゃにしたい。この世界の理不尽ごと壊してしまいたい......」


 闇落ちしてしまったカラドが、つぶやきます。


「そうだ、カラドよ、今から生まれ変わるのだ!」


 ソラは、聖剣ボルグを片手で握りしめると、カラドの目の前でゆっくりと構えます。


「俺は、生まれ変わる。今までの俺なんていらない。弱い俺なんて、消えてしまえ!」


 カラドがそう言い放った直後、ソラは勢いよく横に振り、カラドの首を切り落とします。カラドの亡骸から、零れ出た血液を曇天から降り注ぐ驟雨が、優しく流していきます。周囲を漂う瘴気は、まるで肉食獣のように、彼の亡骸にかぶりつくと、肉体を形成し、カラドの姿へと変貌を遂げます。


「これで、お前も我ら魔族の仲間入りだ。どうだ、生まれ変わった気分は?」


「最高だ。力があるというのは、それだけで、俺の心を満たしてくれる」


カラドは、ソラから聖剣ボルグを受け取ると、曇天の空に向かって、剣を振ります。すると、空を覆う雲が真っ二つに裂けて、太陽の陽が差し込みます。


「素晴らしい。さすが、聖剣ボルグの適応者だ」


 ソラは、格段に飛躍したカラドの実力に満足気に笑みを浮かべると、騎士たちの亡骸を踏みつけにして歩きます。その様子を、カラドは悲しげで虚ろな目で見ると、ソラの後ろについていくのでした。


次回は8月10日に投稿予定です!

夏休みなので、特別にエビソード0を何話か投稿します。

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