10_不屈の精神
カラドは、握りしめた剣を見ながら、惨めな気持ちになりました。心が折れて、戦意を喪失してもおかしくはありません。
「か、勝ってるわけない。めちゃくちゃだ。山ひとつなくすほどの、敵とどう戦えばいいんだ!自らを命を捧げるようなものじゃないか!」
騎士の一人が、衝撃的な光景を目の当たりにして、突然、叫び出します。この騎士だけでなく、多くの騎士が、圧倒的な戦力差に、心が折れてしまいそうな状態でした。
「私は、戦う。いつだって、戦場に派遣される時は、命を捧げるつもりでやってきたわ」
キリナの力強い言葉に、カラドは目を見開くと、自分の臆病さに、気づきます。
彼女は、いつだってそうだ。自分のことより、自分にとって大切なひとのことを守ることを考えている。俺は、彼女のそういう心の強さに惹かれていたんだ。
「俺も戦う。キリナ、お前だけを行かせやしない。それに、こんなに多くの仲間をやられてやられっぽなしなんて、俺のプライドが許さねー」
カラドが、キリナに向かって言うと、彼女は彼の方をそっと見ます。
「カラド......」
心が折れかかっていた騎士の仲間たちも、カラドの言葉に触発されて、言います。
「たく、分かったよ。カラド、お前だけにかっこつけさせねーよ。帰りたい奴がいるなら、帰るといい。俺は、戦うぜ」
「我々が戦わなければ、クアルスター帝国の魔法使いによって、多くの犠牲が出る。それは、避けなければならないだろう」
騎士たちは、騎士のプライドと戦う意志を取り戻していきます。全員とまでは、行かないまでも、絶望的な戦力さに屈することなく、受け入れて、前に進もうとしています。小心者で、臆病な私なら、心が折れて、即座に戦地から脱出してしまいます。怖くて仕方ないはずですが、逃げるのではなく、立ち向かうのには、自分の感情をコントロールする強靭な精神力と勇気がいることでしょう。
前向きになり、敵のいる場所へと歩を進めようとした時、カラドたちの上空に、フードを被った男がいることに、騎士の一人が気がつきます。
「あ、あそこを見ろ!誰かが、宙に浮いている!」
次回は、8月7日投稿予定です!




