04_剣神ソラ
ーーー
「カラド、お前は、何のために剣を振る?」
レイブの道場で、剣術を習い始めた頃です。剣術を教えてもらっていたソラから、カラドは問いかけられました。ソラは、レイブと同様、剣士の最高峰の称号、剣神を授与された者の一人です。レイブの元で、修行を積み、剣神の称号を掴み取りました。
カラドは、ソラの問いかけに、少し戸惑いを見せた後、言います。
「さあ、何でだろうな......。俺には、守るべきものも、守りたいと思える人もいねーし。ただ、剣士ってかっこよく見えたから、目指して見ようかなと思って、剣術を学び始めただけだぜ」
持っていた竹刀を手から離して、吹き出た汗を飛ばしながら、道場の床に、あお向けになって倒れ込むと、天井を眺めます。
「そうか。カラドにも、守るべきものが、できればいいな。守るべきものが、あるだけで、剣の重みや精度も、変わってくる」
「守るべきものか......俺に、そんなものができればいいけどな。自己愛が強い俺が、自分以上に守りたいという相手が現れるなんて、到底、想像できないぜ。強いて言えば、俺は自分自身を、守るために、剣を振るっているのかもな」
カラドは、自分以外に守るべきものがないことに、どこか虚しさを感じつつ、天井を眺めながら、ソラに言います。カラドには、本当の親がそばにいませんでした。赤子の頃、親に、路上で捨てられていたところを、ソラが拾い育てられました。
「そうか。なにも、おかしいことはない。剣士のなかには、自分自身を守るために剣を振るものもいる。それも、いいだろう。何か、自分にとって、守るべきものが明瞭になれば、剣術は、格段に上がる。いずれ、剣の声が聞こえるようにもなる」
カラドは、ソラの言葉に、少し驚き、まっすぐ天井を見上げていた顔を彼の方に向けます。
「剣の声だと!?強くなれば、剣の声が聞こえるというのか。例えば、この竹刀の声も聞こえるということか?」
「まじで、こいつ、下手くそ。疲れたわ。と、竹刀は、言っている」
ソラは、床に無造作に置かれた竹刀を、見つめ言った。
「まじか。この竹刀、そんなことを思ってやがったのか」
次回は、7月26日17時投稿予定です!




