02_緊迫
「変わったのは、あなただけじゃない。私も、あの頃の私から変わったの。弱いままの私じゃない」
クスカは、迷いを断ち切り、カラドを倒す覚悟を決めました。本当は、かつて自分を救ってくれたカラドと戦いたくなどありません。とても、つらく悲しいことです。それでも、大切な人を傷つけ、昔と何もかもが変わってしまった彼を止めなければなりません。
《この重圧感。こっちも、全身全霊で、立ち向かわないと》
カゼキリが、カラドから放たれる禍禍しい重圧感を感じ取って、呟きます。
「だ、だれ!?私に、話しかけるのは......」
突然、聞こえた声に、クスカは、驚きます。
それに、カゼキリも、びっくりします。
《聞こえるのか!?俺の声が》
「まさか、刀の声なの?」
《ああ、俺はカゼキリ、よろしくな!クスカ。そんなことより、あいつ、かなりやばめなオーラ放ってるから、俺たちも本気出さないと、やられるかもな。ちょっくら、本気出しますか》
「分からないことだけど、色々と話している暇はなさそうね。カゼキリ、私だけでは、カラドにはかなわないかもしれない。あなたの力を借りるわ」
《ああ、力を貸すよ。俺たちが協力すれば、きっとこの窮地も乗り越えられるはずだ!》
「ええ!」
クスカとカゼキリの言葉と意志が通じあった直後、カゼキリの刃が、光を帯始めます。心がひとつになったことで、カゼキリ本来の力を引き出すことができたようです。
「この輝きは何?!」
突然、カゼキリの刃が輝きだしたので、少しクスカは驚きます。
《すまん、俺も分からない。なんで、俺は、光ってるんだろ。たぶん、心がひとつになって、力が引き出された的なやつだと思う》
「そうなのかな。確かに、前よりも、力が溢れてくる感じ。今ならカラドと戦える気がする」
《やろう。俺たちなら、やれる。あいつに、きつい一発食らわして、目を覚まさせよう!》
「ええ、覚悟はできてる。大切な人を傷つけたカラドは許せないし、私が、止めなければならない」
クスカは、輝きを放つカゼキリを構え、カラドの方を、見ます。
「その剣の輝き。剣と一体になることに成功したって言うのか。信じられねーな。だが、剣と一体になったところで、俺のボルグの前では、全く無意味だということを教えてやる」
カラドは、禍禍しいオーラを纏った大剣を両手に、持ち言います。徐々に、大剣が纏うオーラは、大きくなって、その禍々しさが増しています。この大剣を、生身で受ければ、骨すら残らずに、この世から、消え去ってしまうでしょう。
「あなたは、私の憧れだった。あなたがいたから、つらいことがあっても前に進むことができて、剣士になることできたの。でも、あなたは変わってしまった。私は、剣士として、あなたをこの場で止める」
「ほざくな。俺を止めるだと。それは、俺より、強い奴が言う言葉だ。クスカ、お前は、俺に敗れ、圧倒的な力の前では、どんなに頑張っても無意味だと思い知って終わるんだ!」
お互い、見つめ合い、二人の間で、熱い闘志がぶつかって、火花が激しく散ります。見ているだけでも、一瞬の隙も許されない緊迫した雰囲気が漂ってきます。
時間が止まったかと思うくらい、周囲は静寂に包まれ、お互い、剣を構えたまま、動きません。出るタイミングをうかがっているのか、分からないでいるのかは、図りかねますが、二人が動き出し、剣と剣がぶつかり合った時、勝敗が決まるのではないでしょうか。
そして、その時が早くも来ました。
次回は7月23日に投稿予定です!




