01_拒絶
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クスカの過去の話は、一旦終わり、舞台は、カゼキリたちがいるレイブの屋敷へ移ります。
「なによ......カラド、あなただけが、私のことを一人の剣士として認めてくれたのに。自分に自信が持てなくなって、落ち込んでいた時に、あなたが、言ってくれた優しい言葉は嘘だったの?」
クスカは、悲しい表情を浮かべながら、目の前にいるカラドに問いかけます。屋敷内は、なんとも言えぬ緊張感が漂っています。そんな緊張した状況下で、ただ一人、カゼキリだけは、クスカの握る手から流れる過去の記憶を垣間見て、驚きます。
《なんだ、今のは.....。クスカの過去の記憶なのか》
カゼキリとクスカの心の距離が徐々に、近づいているのかもしれません。カゼキリがクスカの記憶に驚いていると、耳をつんざくようなカラドの叫び声が響きます。
「俺が認めてくれた。覚えてねーな。そんなこと。どうでもいいことだ!ただ、ひとつ言えることは、クスカ、お前は弱い。反吐が出るくらいに」
カラドが、クスカの首めがけて大剣を思いっきり振り、命を断とうとしますが、瞬時に、クスカは反応しカゼキリで、剣をなんとか、防ぎます。重い一撃で、クスカの剣を握る手は、痺れて、若干、震えています。
「もう、あのときの、カラドではないのね。今では、すっかり変わってしまった。何が、あなたにあったの?」
「現実を知ったんだよ。いくら、頑張っても、圧倒的な力の前では、全く無意味だ。大切なものを、守ることすらできない。奪われて終わりだ。弱い人間は、強者にいつだって搾取される側なんだよ!」
カラドは、嫌な記憶が頭の中を駆け巡ったのか、感情的になって、話します。そこに、遠慮なく、クスカは、深堀していきます。
「キリナさんね。あなたと、クアルスターの戦いに向かった。戦いが、終わった後、あなたも、キリナさんも帰ってこなかった。キリナさんが原因で、あなたは変わってしまった」
キリナという名前を聞いて、カラドは苛立ちが沸き上がり、再び大剣の重い一撃をクスカに食らわせようとします。
《あ、あぶない。いきなり、また、攻撃してくるとは思わなかった。これは、アンテナ張り巡らしとかないと、やばいな》
カゼキリの俊敏な動きで、カラドの一撃をなんとか再び防ぎます。さすがに、何度も強烈な剣撃を食らい続けると、カゼキリの身が持ちません。異世界ライフの序盤で、カゼキリが折れてしまって、さよならということもあり得ます。
「キリナ、キリナ、キリナ。彼女の名前を言うな!もう、彼女はいないんだ。彼女は俺にとって生き甲斐そのものだった。俺は、一体、何を頼りに生きていけばいい。もう、失ってしまったんだ。何もかも。ただ、俺を置き去りにして、平然と誰かと笑う奴らが、妬ましくて仕方がねーんだよ。俺は、この感情をどこに向けたらいいのかもう分かりやしねーよ」
感情をむき出しになったカラドの剣の力は、徐々に、強さを増し、あまりの強大な力に、気を抜けば、押し負けてしまいます。
「私に向ければいい。その感情を私に向けて。かつて、あなたが、救ってくれたように、あなたを救いたい」
「俺を救うだって!弱いお前にできるわけがないだろ。お前は、弱い。俺が、その現実を教えてやるよ」
カラドがそう言うと、大剣を構え直します。どこからか邪悪な力が集まっていき、大剣は禍禍しい輝きを放ちます。あまりに重たく、強大な圧に、クスカに吹き付ける風すらも、凶器のように鋭く感じます。
強烈な一撃をくわえ、戦いをもう終わらせるという、カラドの強い意思でしょう。
次回は7月20日の投稿予定です!




