05_クデュ
何が起こったのでしょうか。とてつもなく嫌な予感しかしません。即刻、この場から、立ち去った方が良いですが、何が起こったのか気にもなります。
クスカはというと、木陰に隠れて、周りを警戒し、ゴブリンたちの声がした方を見ます。
「なんだ、お前。クヒヒヒ。人間、美味しそうだな~」
後ろの方から、突然、癖の強い笑い声とともに話しかけられ、クスカは、恐る恐る後ろを振り向きます。
振り向いた先には、痩せ細ったクデュが石の上に座って、不気味な笑顔を浮かべながら、ゴブリンの頭にかぶりつきます。よくよく見てみると、クデュが片手に持っている、この頭は、先ほどクスカを襲ったゴブリンの頭です。叫び声を上げていましたが、このクデュにやられたようですね。
叫び声がしてから、5秒か10秒くらいしか時間は経っていないのに、クスカの後ろに回り込んでいるのは、衝撃です。クスカは、クデュとの圧倒的な実力差を感じ、一歩も動けなくなりました。
「あなたは、何者。見たところ、救世主とかではなさそうね」
クスカは、平静を装いますが、内心は、怯えて、泣き出しそうな思いです。
「クヒヒヒ、救世主!救世主だって!面白い、面白い。でも、違う。違う。俺っちは、クデュ。君を美味しくいただくつもりだから、よろしくね。でも、俺っちは、優しいから簡単にはやらないよ。さっきのゴブリンたちみたいに、少しずついたぶってからだ」
クデュは、食べかけのゴブリンの頭を投げ捨てて、座っていた石から、降りると、片手を鎌のような形に変形させます。まさか、武器ではなく、自分の腕を変形させるとは、予想外です。人外であること確定です。
「悪趣味ね、絶対に殺られやしないけど」
怖い、でも、ここで終わらせたくない。ろくでもない人生だったなんて、後悔しながら、終わるなんて嫌。最後まで、あがいて、生きてやる。
クスカは、近くに落ちていた木の枝を掴んで構えると、クデュの攻撃に備えます。とはいっても、木の枝は、ただ木の枝です。攻撃力1くらいの、最弱武器と言ってもいいでしょう。ないよりましですが、クデュに、効果があるとは思えません。
「そんな木の枝ひとつで、俺っちと対抗する気なのかい。いい、いいね。威勢はいいよ。気に入ったから、余計に苦しむ姿が見たくなったじゃないか」
次回は7月3日投稿予定です!




