03_逃走
「な、なにっ!?炎の魔法だと.....なんだ、全然、痛くない。見かけだましか」
最初は、不意をつかれて驚いたゴブリンでしたが、実際のところは、ダメージはほぼ0です。炎があまりに小さすぎて、全く攻撃が効いていないようです。
魔法が苦手なクスカでは、ゴブリンたちと対抗する手段が残されていません。クスカは、周りを見て、この窮地を脱するための、何かがないかと見渡してみますが、都合よく使えそうなものはありませんでした。
今さら、震えた足では、例え逃げ出しても、すぐに追い付かれて、ゴブリンの餌食になってしまいます。
私、ここで死ぬの。私は、一体なんのために、生まれてきたの。何も果たすことができなかった。ただ、馬鹿にされて終わるだけのろくでもない人生だった。でも、何故だろう......私、死にたくない。生きたいと思ってる。
やっぱり、このままじゃ、嫌!
馬鹿にされて終わる人生なんて、絶対に許さないんだから。
クスカは、一旦心折れかけましたが、なんとか、気持ちを立て直して、近くにあった木の枝を、とって構えます。ろくに、剣術に関しては、両親から、少しだけ教えてもらったことがありました。
剣術は廃れていたこともあって魔法学校では、ほとんど 習ったことがありません。昔に、こんなものがあったよと言う扱いです。
「おいおい、そんなもので俺たちと、戦うつもりか」
「言えてるぜ、俺たちの鋼鉄のように硬い体を、傷つけることすらできない。フハハハ」
ゴブリンたちは、木の枝を持つクスカを見て嘲笑します。
「そんなこと分かってる。でも、だからってここで終わりたくはないのよ。最後まであがいてやる!」
「ほう、威勢のいい奴は、嫌いじゃない。まあ、せいぜい、苦しまないように、終わらせて、美味しく調理してやるよ」
ゴブリンたちは、余裕の表情で、不気味な笑みを浮かべて、クスカの方を見ています。クスカのことを完全に甘く見ているようです。
クスカは、心の奥底にあった勇気を振り絞りゴブリンたちが油断している瞬間に、ゴブリンたちのほうに走ります。そして、ゴブリンの一体に、木の枝を、目に向かって突き刺します。
「うっ!?い、痛いぃぃぃ!!!」
油断しているところを、不意をつかれたゴブリンは、思わず、両手で、目を覆い、痛がっています。さすがに、鋼鉄のような硬い身体を誇るゴブリンであっても、目には、弱いようです。
クスカは、すかさず、持っていた木の枝を握り直し、もう一体のゴブリンの方を見ると、思いっきりゴブリンの目に向かって投げつけます。
とっさの行動にもかかわらず、投げた木の枝は、見事にもう一体のゴブリンの目に、命中し、怯ませます。
ゴブリンが怯んでいる隙に、村にある方向に向かって、森のなかを駆け抜けます。
絶対に、生きて帰る、絶対に。
次話は6月29日の投稿予定です!次回はなんとか、クスカは、ゴブリンから、逃げ出すも、さらにやばそうな事態に。




