01_あの日の記憶
これは、幼き頃のクスカの話ーー。
「泣き虫な奴だ。いちいち泣くなよ」
「こんな魔法もできないなんて、魔法の才能ないんじゃないの、何で、ここにいるんだろう」
「見ているだけで、イライラしてくる。どうして、できないんだ。努力が足りないんだ、努力が」
さっそく、クスカに対する同級生の心ない言葉の数々が聞こえてきます。彼女にとっては耳を塞ぎたくなるような汚ならしい言葉です。
クスカは、臆病で泣き虫な性格で、魔法を使うのが苦手だったこともあって、魔法学校では、昔から、クラスの同級生から、馬鹿にされていました。
何もしなかった訳ではなく、見えないところで、魔法を使える努力を続けていました。人の何倍も努力しても、その努力がなかなか報われませんでした。
こんなにも生きるのが、つらいだなんて、知らなかった。私には、魔法の才能がないのかな。
馬鹿にされる日々が続き、自分に自信を持てなくなったクスカは、ある日、学校をサボって村から少し離れた山の中に行ってしまいました。山のなかは、人気がなく、近頃では、魔物が出てくる噂が広まっていましたが、とにかく、人のいない、一人になれる場所が、欲しかったのでした。
誰かの上に立ちたいんじゃない。みんなと一緒になりたい。ただ、それだけなのに。一緒に、さえなれないなんて。私は、どうしたらいいの。肝心なことは、誰も、教えてはくれない。
クスカは、木陰に座り、新緑から射し込む木漏れ日を見ながら、自らの歩むべき道を考えていました。何が正しいのか、どこに向かうべきなのかは、自分自身で決めていく必要があります。
「うっ!?人間の匂いがするな。思わず、よだれが出ちまうぐらいの美味しそうな匂いだ」
「ああ、この辺に、人間がいるんじゃないのか」
どこからか、魔物が出てくるというフラグを回収するかのように、ゴブリンたちの話し声が聞こえてきました。
幸いなことに、まだ、クスカは、ゴブリンたちに気づかれていないようです。
ゴブリンたちが、近くに来てる。どうしよう。
次話は、6月24日の投稿予定です!しばらく、クスカの過去編が何話か続きます。主人公のカゼキリは、出てきません。




