09_剣とひとつになる
カラドの大剣が、クスカに振り下ろされる最中。
カゼキリの叫び声が響きます。
《諦めちゃ、駄目だ。俺が守る》
カゼキリは、自ら動き、カラドの大剣による攻撃を防ぎます。間一髪のところでした。カゼキリが、いなければ、どうなっていたか想像したくもありません。大量のトマトケチャップが飛び交う展開もあり得ました。
「刀がひとりでに、動いた。どうして......」
クスカは、カゼキリが動いて、自分を守ってくれたことに、一瞬、驚きますが、差し迫った状況なので、瞬時に気持ちを切り替え、カラドとの戦いに専念します。
「まさか、今の一撃を、受け止めるとは、クスカ、お前も、成長したものだ。だが、俺は、お前が女だからといって遠慮することはないぞ」
カラドは、そう言うと、大剣を、振り回し、重たい一撃を繰り返し、クスカを、徐々に追い詰めていきます。ですが、なんとか、カゼキリが、動いて、大剣の攻撃を受け止めています。
《ヤバいな!?この攻撃は。一撃がかなり重たい。気を抜けば、折れてしまいそうだ。こんなところで、折れて即刻、この世界から退場なんて嫌だぞ。じいさんの時みたいに、力が溢れてくる感じがないんだよな》
今は、なんとかクスカたちは、耐えていますが、時間の問題です。レイブは、そんな様子を見て、クスカに言います。
「クスカよ、剣とひとつになるのじゃ!そうすれば、その刀、カゼキリの力を存分に発揮できる」
クスカはカゼキリを見ながら、呟きます。
「剣とひとつに......」
剣とひとつになると言う言葉は、昔から、剣術の修行を受けている際に、レイブから言われてきた言葉でした。剣とひとつになる、つまり、剣と心をひとつにすることで、自分の身体の一部のように剣を扱うことができます。そのためには、雑念を捨て、剣の声を聞く必要があるのですが、今まで、クスカは、剣の声を聞くことができず、成功したことがありませんでした。
「剣とひとつになるか、俺も、昔、レイブに言われた。俺には、できたが、女であるお前が、その境地に達することができる訳がない。そして、お前が俺にかなうはずもない」
「なによ......カラド、あなただけが、私のことを一人の剣士として認めてくれたのに。自分に自信が持てなくなって、落ち込んでいた時に、あなたが、言ってくれた優しい言葉は嘘だったの?」
クスカは、悲しみと悔しさといった様々な感情が込み上げてきて、悲しい表情を浮かべます。
次話は、6月22日に投稿予定です!次回はクスカの幼き時の話です。時を何年か戻します。




