第二話 物語の幕はとある青年によって開けられた
さてさて、今日はシルフィアちゃんがちょっとだけ喋ります。……バシッ、バシッ、という音はあんまり気にしない方がいいのかもしれませぬ。ハイ。
さて、話題のシルフィアは現在─────私のことを叩いている。かなりの強さで。正直痛いですダレカタスケテ
伯爵令嬢たる彼女がそんなことをしているのには理由があった。
それは……前世の記憶があること。(いや前世の記憶があっても普通人のこと叩かないですよね?変な人だ…)
シルフィアの前世は劇団員をしている28歳だった。ちょうど劇団員としてのキャリアを積んできて、出世街道を駆け抜けようとしていたところを交通事故で帰らぬ人となったのだ。
前世のシルフィアの実家は野菜農園で、彼女も将来は農園を継ぐ予定だったのだが、演劇の道に進みたかった彼女が半ば強引に家を出る形で─────────
「ほらほら、長ったらしい口上はいいから!さっさとお話を始めましょうよ!!」
全く、せっかちなお嬢様だ。それでは、始めましょうか、愛に生きた美しき伯爵令嬢シルフィアの恋物語……はいはい分かってますって、叩かないで下さいよ。
『白百合姫は笑わない』
そうそう、先ほどから貴方にお話ししている私は……
…いや、今は内緒にしておきましょうか。その方が楽しいですし。まあ、仮にルイと名乗っておきましょう。せっかくこのお話を読んでくださっている皆様に名乗らないのは失礼ですからね。
それでは、今日はここまで。今宵も良い夢を。
あの青年は一体誰なんでしょう?(作者は実際まだ決めてません←