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「文章力」と「なろう系」という名の魔物

作者: DEED

 これは個人的な気持ち的なものをまとめたものであるということを最初に言い訳として書いておきます。


 最近ツイッターを見ているとフォローしている人の関係なのですが、

「なろう系の作品には文章力が足りない」

「なろう作品を書いてる人は文章力を軽視している」

「小説家になろうでランキングあげたいなら作品はコピペでいい。あとは営業力」

 なんて感じの言葉が結構見受けられます。


 この手の意見を上げる人は全部ではないですが、いわゆるなろう系(長文タイトル、異世界転生・転移、スローライフ、追放、落ちこぼれ、村人、悪役令嬢、チート能力などを扱うもの)などのランキングに上がりやすいものではない作品をお書きになられてる方が多いイメージがあります。


 私は当時としてはなろうで受けやすいジャンルであった異世界転移の飯テロ系である『夢味亭へようこそ! -異世界の女神が愛したレストラン-』を書いておりますし、最近の作品では『「僕は何人殺しましたか?」』のような非なろう系であるミステリーも書いてます。

(『夢味亭へようこそ』は、確か総合日間6位がマックスなのでちょっと語るには不適かもしれませんが)


 作品の好みとして強いて言えば、ランキング上位にあがるようななろう系は苦手な方でして、非なろう系のミステリーやホラーなどのほうが好みではあります。

 とはいえ、ランキング上位に上がる作品でも読んでみると面白いやんと思うようなどっちも好みになれるタイプの人間です。

 つまり、なろう系も非なろう系も執筆するし、どちらも好きな人間です。

 でも、若干非なろう系寄りの人間と言えるかもしれません。




 さて、自分語りはこの辺りにして、本題へと行きましょう。

「文章力」とは何なのでしょうか。

 私が思う「文章力」は「誤字や脱字がなく句読点などが適切に使われており文章として表現が破綻していない、わかりやすく読みやすい文章をかける能力」です。

(これに関しては、自分ができていませんが……)


「文章力」で検索してみると辞書系のページではなくノウハウ系のサイトが上に来ます。

 読んでみると、


 文章を読んだ人が書いてある内容をスッキリと理解できること

 「伝えたい相手に伝えたいことが届く文章」を書く力

 だれが読んでもわかりやすく、読みやすい文章を書く力

 と出てきます。


 つまり「相手に伝えたいことが伝わり、読みやすい文章」を書けることこそ文章力ということになるようです。


 ではなろう系の作品は「相手に伝えたいことが伝わり読みやすい文章」ではないのでしょうか?


 私はそうは思いません。

 むしろ、直接的でわかり易い表現が多くて比較的読みやすい文章ではないでしょうか?

 もちろんそうではない作品も結構ありますが。


 では、なろう系を否定する人が言う「文章力」とは何を指すのでしょう。

 これは私が想像するものなので外れているかもしれません。

 私は「語彙力が高く、文章表現が美しい、リズムが整っている、読み終わった後にその文章が頭に残るような余韻を与えるような人に伝わる文章が書ける能力」ではないかなと思います。


 こうなってくると求めるものが違うのがわかってきます。

 文章のわかりやすさと、文章の芸術的な美しさは両立するのが非常に厳しいものの一つだと思います。

 余計なものをこそぎ落とした後のシンプルな文章こそ美とも言えますし、適切に複雑で難解な言葉や比喩表現を使った難しい文章もまた芸術的な美しさを持つものだと思います。

 でも同じところを指しているところもあるのです。

「人に伝わりやすい文章を書く」という点においてはどちらも同じなのです。


 結局は自分が書く作品を誰へ向けたものとして書くか、そして自分が満足できる作品の文章とはどういうものなのか? を考えて書くしかない話なのではないでしょうか。

「人に伝わりやすい文章を書く」という点を考えればある程度の誤字や脱字がないなどの文章として破綻しない程度のものが書けるという基礎レベルを満たした上で考えることだと思います。

 そもそもそれなりに投稿できるような文章がかける時点で、ある程度の文章を書くという点に置いては基礎レベルができていると思います。

 長い文章が書けるってだけでも現代社会では割とすごいことなんです。

 それが人にしっかりと伝わる、わかりやすいかなどはもう一つ先の話で、それが作品として面白いか否かは更に別次元の話です。

 そしてそれが受けるかどうかに至ってはまた別の次元の話になるのです。

 連動している面もありますが、わかりやすい、伝わりやすいからと言って面白い作品になりませんし、誰かが面白いと思ってもそれがランキングに乗るようなヒットをするかはわからないのです。





 「文章力」に関してはこの辺にして、次の話へ行きましょう。

 なろう系を否定する方の中には、「こんな低俗なものがランキング上位に入ったり受けるなんておかしい」などの意見が見受けられます。

「小説家になろうでランキングあげたいなら作品はコピペでいい。あとは営業力」

 という最初に上げた意見のうちの一つもこれに該当すると思います。


 確かに、小説家になろうの日間総合ランキング上位を見るとなろう系が強く、非なろう系が入ることが厳しいのは確かでしょう。

 今執筆している段階で総合ランキングの上位50位ぐらいを見てもなろう系っぽい感じの作品や異世界恋愛やファンタジーが多く、それ以外となるとVRMMOや現代恋愛が僅かにあるぐらいです。

 非なろう系でランキングに入ることの難しさを示す一例と言えるでしょう。



 しかし、この「なろう系は……」みたいななろう系を下に見て、非なろう系を上に見るような意見は個人的には唾棄したい意見だと思っています。


 まず、小説家になろうというサイトはその規約に反しない限りはどのような作品を書いても構わないのです。

 なろう系であってもなろう系ではなくても問題はないのです。

 そして、別に小説家になろうはなろう系を推奨しているわけでもないのです。

 むしろ、異世界転移・転生作品をジャンル別ランキングから別ジャンルに移したり、夏のホラーや冬の童話祭を定期的に行うことを考えればむしろ非なろう系に力を入れていると言えるでしょう。

(もう少し他の企画がほしいってのは否定しませんが)


 ではなろう系がランキングで強いのはなぜか。

 評価、ブクマを入れてくれる人が多いジャンルだから。

 に集約されてると思います。


 ランキングに上がるような作品しか読まないという人のほうが多いでしょうから、この初動を起こしてくれるユーザーが多いジャンルがランキングに乗りやすいのは当然で、ランキングに乗る作品の中でもブクマ・評価を入れてくれる人が多いジャンルが強いのも同じように当然なのです。


 つまり、小説家になろうにおいて「なろう系」が受けるのは名前から考えてもわかりますが、当たり前の話なのです。


 そんな環境で、なろう系を否定して非なろう系を勧めても敵を生むだけにしかならないと思います。


 今受けてるなろう系を否定して別のジャンルを推すみたいな話は、はるか昔になりますがライトノベルと文芸の話で散々見た話なので、(まーたやってるわ……)って印象が拭えないところもあります。


 今のところはブームと言うほどではないですし、廃れる可能性も大いにありますが、スマホで見るチャット小説など言う形式も新たに出てきている中ではそんなところで争ってる場合か? となるところもあったりします。


 また、ユーザーからすればなろう系が面白いから推してるのに、その推してるのを否定されたらあまりいい印象を持たないでしょう。

 なろう系の作品を書いてる作者からしても、何いってんのこいつら? ってなることでしょう。



 私としては「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()」と言いたいのです。

 非なろう系を推す人がなろう系を否定すればするほど、非なろう系が伸びる可能性が減るんです。



 これは最初の文章力云々の話にも通じるところです。

 少数側が多数側を非難して、少数側の仲間意識だけ高めても勝てないのです。

 多数側からこっちの作品も応援してくれるように仕向けるほうが遥かに有意義なのです。

 幸いにも、なろう系を好きな方が非なろう系も好きになっても何の問題もありません。

 選挙での投票のようにブクマ・評価は1作品にしかいれてはいけないということもありません。

 対立を生むことに利点などないのです。

「文章力」と「なろう系」という名の都合のいい魔物に操られているだけなのです。


 繰り返しますが小説家になろうへは規約に反しない限りどのような作品を書いても問題ありません。

 あなたが好きな作風、作品を貫いても規約に反しない限りは何の問題もありません。

 拙い文章であっても問題はありません。散文であっても、文章力が低い作品であっても、規約に反しない限りはその作品を小説家になろうは掲載してくれるのです。


 でも、その作品を多くの人に読んでほしい。ブクマ・評価がほしい。小説家になろうのランキングに乗りたい。

 というのであれば、なろうの読者を見ないといけなくなってきます。

 書籍化したい。だけでしたらここは少し話が変わってきますが。


 ただ、ユーザーを見ただけで受けそうな作品を書いてもそれが少しは受けるとは思いますが、ランキング上位に上がれるほどに受ける可能性は決して高くはないでしょう。

 テンプレだけでランキング上位に入れるわけではないことはなろう系を執筆してる人であれば痛感するはずです。

 一方で自分が好みであってもユーザー受けしにくい非なろう系作品を書いてもそれが上位に入るのが厳しいのもまた事実です。


 だからといってそこでランキングやユーザーを非難しても逆効果です。

 プロレス会場で「プロレスなんてお遊び。総合格闘技こそ優れている」などといえば(喧嘩売ってんのか?)となるでしょう。

 日本酒の試飲会で「日本酒とか不味い。ワインとかブランデーのほうがいい」などという人はそうそういないでしょう。

 アイドルマスターのライブ会場で「アイマスとかオワコン。時代はラブライブ、バンドリだわ」とか言ってたら炎上しても仕方ないレベルです。


 なろうの読者やランキングを非難する人がしようとしていることはそういうことです。

 その方だけがそんな独善的で一方的な茨の道を進みたいのはご自由ですと言いたいところですが、その行動でネガティブなイメージに巻き込まれる他の作者にとってもあまりいい結果にならないと思います。

(まぁそれを止める権利も力も私にはありませんけれど……)






 非なろう系を書いてるおられる方へ。

 どうか卑下にならないでください。


 あなたが書いている作品も小説家になろうに掲載された現時点で75万近い数の中の素晴らしい一つの作品なのです。

 一方で「文章力」と「なろう系」などという都合のいい言葉に負けないでください。


 勿論、わかりやすい・読みやすい・美しい文章を書ける能力があることは素晴らしいですし、向上心を持ってそこを目指すことに関してはいいことだと思います。

 読めない文章では評価の仕様がありませんし、減点要素の一つになるケースも多く存在します。


「文章力が必要ない」などということはないでしょう。

 私も書いてると、何度もこの頭で描いているものを適切に表現できる力がないことを何度も悔やみながら足りない頭を絞り上げながら文章を打ち込んでいます。


 投稿した後に(なんだよこのひどい文章、誤字脱字まみれじゃないか……)と猛省しますし、指摘されて本当に申し訳ない気持ちになることも多々あります。


 そういう意味において適切に読める・わかりやすい文章を書ける能力は必要なのです。

 相手に伝わらない物語が評価されることはなかなかないでしょう。


 ですが、その先の話として。

 芸術的な文章を書けないといけないのか? となってくれば必ずしもそうではない。ということになるでしょう。

 物語の面白さは高い表現力の文章だけで生み出されるわけはなく、キャラやシナリオの素晴らしさや他の要素も色々あった上で成り立つものです。

 そしてその面白い作品が受ける、ランキングに入れるかはまた別の話なのです。

 それこそ最初の意見で見られた宣伝力の大切さを示すものでもあります。


 なろう系が受けやすい小説家になろうにおいて、主流ではない非なろう系で受けたいと思うならば、より高いレベルの作品の面白さや文章力の高さが求められ、そしてそれだけではなく自分を含めそれを宣伝してくれる人が必要になってくるのです。


 これは非なろう系でランキングに入りたいと思うならば避けれない要素だと思います。

 なろう系でも避けれない要素かもしれません。


 宣伝しなくても素晴らしい作品はそのうちヒットする。

 宣伝するのはその作品の面白さに不安があるからだ。

 宣伝は悪。

 みたいな宣伝の是非を問う話はまた話が変わってくるので避けますが、残念ながら戯言だと思っています。




 最後に。

「文章力」と「なろう系」という言葉は、実に都合のいい魅力的な言葉です。

 そう言う事によって自分の作品はそういうものに甘えていない素晴らしい作品だということができるのですから。


「文章力」「なろう系」という名の魔物はいつの間にかあなたを手下にしてしまって、

「なろう系の作品には文章力が足りない」

「なろう作品を書いてる人は文章力を軽視している」

「小説家になろうでランキングあげたいなら作品はコピペでいい。あとは営業力」

 などという暴言を撒き散らしていくように作り変えてしまうのです。





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― 新着の感想 ―
[良い点] 「文章力」と「なろう系」に関する考え方に、好感を抱きました。  特に、「喧嘩して無駄な対立を生む行為こそやめるべき」という考えにもっとも共感しました。  結局、全体的なマイナスにしかならな…
[良い点] 作者さんの優しさを感じました。 [一言] なろう系を批判するひとの考え方すべては解りませんが、なかには 「自分の作品が伸びないのに、同時期にスタートした別の作者さんの、似た系統の作品が伸び…
[一言] DEED様 イタリア皇帝です。 DEED様のより深い意見が聞けて嬉しく思います。様々な意見があるのは良い事ですが、(人の事は言えませんけれど)あからさまに他人を見下す意見は気持ちの良いも…
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