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ジャイアントスパイダーの素材

 五六匹のゴブリンが固まって白い糸にグルグル巻きになっておらの足元の地面に落ちて来た。


 ドシャッ


 そしてその背後に同じように糸で巻かれたゴブリンたちを引きずりながら、灰色の大きな塊が現れた。


 ズルズル


 ズルズル


 その塊って正面に赤い目のようなものが二列に並んで、両脇に長い脚のようなものが沢山動いている。





「蜘蛛くも?」





 おらはアレックさんに教えられた目玉や口や肛門を捜そうとしたが、ちょっと分からなかった。


 目は小さくてたくさんあるし、口も小さくてなにやら牙のようなものに囲まれている。


 洞窟いっぱい体が塞いでいるので、後ろに回らないと肛門は見えない。


 というか後ろからは糸を出すから迂闊には近づけない。


 だから狙うとしたらセオリー通りじゃなく、あそこしかないっ。


 そのときにおらは飛び出した。


 蜘蛛の動きがゆっくりになると、おらは八本ある足の根元にダガーを突き刺した。


 パキッと足が一本簡単にもげる。


 恐らく高速にダガーを突き刺したので、効果があったんだろう。


 パキッパキッパキッ


 反対側の足も根元から折る。


 パキッパキッパキッパキッ





 すると時間の流れが元通りになった。


 折った足はビクビク動いているけれど、蜘蛛の本体はだるま状態になって動けない。





 さあ、どうしよう?


「よくやった、ミッキー。まさか足を全部もぎ取るとはな」


 アレックさんが引き返して来て言った。


「ゴブリンたちは入り口の穴からそのまま墜落して行ったよ。


 後は任せろ」


 アレックさんは蜘蛛の頭部と胸部の境目に剣を突き立ててザクッと切り離した。


 それから体を裂いて魔石と糸袋三つと毒腺を取り出すと、おらに向かって奥の方を顎で示した。


「奥に行けば巣がある筈だ。


 だがどうして蜘蛛の巣があるのにゴブリンがあんなにたくさんいたんだ?」


 アレックさんは火打石で火を起こしゴブリンの棍棒に脂やにを塗って松明にした。


「ちょっと様子を見て来るぞ。付いて来い」





 行ってみると一番奥の広間の壁が崩れてそこに蜘蛛の巣があった。


 壁が崩れる前は蜘蛛がそばにいるとはゴブリンも気づかなかったに違いない。


 別方向の洞穴がこの壁のすぐ手前まで伸びて来ていて、何かの衝撃で崩れた為貫通したのだ。


 そこに直径一メートルほどもある丸い卵があった。


 それを巣から外すとアレックスは松明の火で炙って燃やした。


 すると薄い皮でできた卵はメラメラと燃えて、中にいた無数の蜘蛛の子がプチプチと爆ぜて死んで行く。 


「こいつらはしっかり殺しておかねえとな。


 それとこの巣にかかってる糸には三種類あってな。


 よく見な。このちょっとガタガタしてるのが粘り気のある糸だ。


 この細いのは普通の糸で、ちょっと太くて青みがかってるのが物凄く強力な糸だ。


 これでゴブリンの首を絞めれば首が切れてもげてしまうくらいだ。


 これを集めておけ」


「どういう風に?」


「他の糸は火を近づけると簡単に消えてしまう。


 その後残った糸を糸巻きになるものに巻き付けるんだ。


 切るときには赤く熱したナイフの刃で切る」


「うん、わかった。やってみる。


 でもこれはなんの役に立つの?」


「後で教える。お前の役に立つから、とにかくやれ」


 おらは言われた通り巣に張られた強い糸だけ木切れに巻き取って行った。


 岩にくっついている糸の端はダガーで削り取った。


 触り方を間違えると、糸が丈夫なので指の皮膚を切ったりする。


 終わるとかなりの量になった。


「それだけあれば何とか間に合うだろう」


「何に?」


「だからそれは後で教えるよ。


 今度は蜘蛛の皮を剥げ。


 腹の皮にはよく見れば薄い線が走っている。それに沿って切るとうまく切れる。


 ドロドロの肉や体液は皮の裏側からそぎ落としておくんだぞ」


「これも何かに使うんだね」


「そうさ、お前の冒険者のスタートに是非必要なものができるんだ」


 

続きます。

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