表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/12

6.戦いの終わりに見たもの






 思考は冴え渡っている。

 反対に、身体は熱を上げている。

 世界すべてが圧倒的に遅く、ボクは圧倒的に速く。


「――――――――!」


 右から一体。左からは二体。

 数は増えているけれども、そんなの大した問題とは思えなかった。

 いま、ボクの中から湧き上がる力は、あらゆる障害を過去のものとする。膨れ上がる熱量と期待と、焦燥、それらの狭間でボクは剣を振るうのだ。


 ヒュドラの腹を裂き、首を斬り落とした。

 その一連の流れは、自分の中にある『理想の人』の物真似だ。

 それでも、今のボクにある力は際限なく『その人』の足跡を追っている。


「これで、最後だ――っ!!」


 そして、その道行は終わりを迎えた。

 最後の一体。ダンジョンの奥へと逃げ出そうとしたそいつ。

 その首を断つ生々しい感触を手に、確かに感じながら、魔素の霧を身にまとった。


「はぁっ……!」


 いつから呼吸を忘れていたのだろうか。

 ボクは直後に大きく、胸いっぱいに空気を吸い込み吐き出した。

 改めて自らの手を確認し、さっきまでのことが夢ではないことを噛みしめる。炎が収束した剣を鞘に仕舞い、カインさんたちがいるであろう方へと振り返った。

 彼らはこちらを各々に、違う表情で見つめている。


 そんな二人に、どんな声をかければ良いのか分からなくなって。

 ボクはひとまず手を振ろうとした――。


「――あ、れ?」


 その時だ。

 視界が空転し、歪み、暗転した。

 ダンジョン内での意識喪失から、ボクの記憶はしばらく途切れている。



◆◇◆



 そうして見たのは、ある日の夢だった。

 それはボクにとって悲しい日々の始まりであり、同時に――。


『生きて、いるのか――良かった。まだ――!』





 冒険者を志すキッカケとなったものだった。



 


今日から、毎日一話更新ですかね?

よろしくお願い致します!



<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ