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終章 千本鳥居
終章 千本鳥居
助けを呼んで、何者かの声が答えて、月が三つ笑う下で、飛び石と鳥居だけの世界に取り残された。飛び石を外れれば暗すぎる水面で、終わりのない飛び石を渡っていくしかない。託二少年は、水の深さに震えると抱きつくように鳥居の柱にしがみついた。
『坊、坊』
どこかからかけられた声に、託二は周囲を見回して、しかし誰もいない。託二はますます怖がってしまって、
「だれ?」
声は問いには答えないで、
『誰でもいいじゃないか。それより、ほれ。助かりたいなら私の言うとおりにすること。坊にできるかい?』
「う、うん、わかった。僕がんばるよ」
そして、託二は声の命じるままに、化け物を退けて、従うままに幾年が過ぎた。母を失ったこの日に、命を救われたと信じて、その実、死ぬまで鳥居の景色に囚われ続けた託二は生きていたといえるのだろうか。




