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第63話 勇者覚醒……?


「熱っぁああああああああああああッッッ!!??」



 何か熱いのが!?

 熱いのが腕から流れこむ!!??

 心臓ッッ、がッッッ……ッッ!!??



「あぢぢぢぢぢぢぢぢぢっ!!?? 焼けっ、焼けるっ!? てかっ、焦げてる焦げてる焦げてるぅうううううっっっっ!!??」

「シッカリしろ、悟! 今、お前の身体を魔力が駆け巡っているのだ! その感覚を、身に付けろ!」

「無理無理無理無理無理ぃいいいいいっ! 痛い痛い痛い痛いたいたいたいたいたぁあああああああい!!」

「頑張って、悟くん! 痛みはちゃんとっ、消してるから!」

「うっそ嘘ウソうそっ、ずぅぇぇっったいっ、ウソぉおおおおッッ!! 超痛いっちゅうねぇえええええええんッッッ!!」



 マジ痛い!

 半端無く痛い!!

 今までで一番痛い!!

 だってだってだって!!

 何か身体の中からメリメリッ、音っ、してるし!!

 ミシミシミシミシッ、内側から広げられてる、みたいな!!



「ごめんごめんごめんごめんごめんっ!! ホンットごめんっ!! 俺が悪かったぁあああああああああああッッッ!!」

「すまん、悟! 今さら止められん! 耐えてくれ!」

「簡単にッッッッッ、言うなぁあああああああああああっ!!!」

「ごめんね、悟くん! ごめんね!」

「うひゃおほぉおおおうッッ!!??」



 なっ、何じゃコラーーーっ!!??

 姉ちゃんが、姉ちゃんが後ろから抱きしめてきてるん、だけどっ!!??


 スゴい!!

 おっぱいスゴい!!! 超スゴい!!!

 身体中、超痛くって、バックンバックン、痛みが弾けそうなくらい脈打ってるのに!!


 それなのに、おっぱいの柔らかさが超わかる!!

 スゴい! 超痛いのに、超柔らかい!!

 ふにっふにですよ! ふにっふに!!

 ふにっふにっ!! ふにっふにっ!! ふにっっふにっ!!

 何なの、コレ!? 何なの、コレ!?

 パライソ!? パライソ!? イル・パラッツォ!?

 ここが天国の門!!??



「むぅぅっ……何か、気に食わん……ッ!」

「へっへーーーーんッッ!! お前の機嫌なんか知ったことかぁあっ! ヒャッホイヒャッホイヒャッホーーーイ!」

「えぇいっ、ならばこうしてやるっ!!」

「ふにゅぉおおおおおおおっ!!??」



 前からも、後ろ、からもっ!!??

 後ろから姉ちゃんに、抱きしめ、られてて……!!

 前から魔王がしがみついて、きてて……!!

 ボリュームは、圧倒的に姉ちゃんの勝利、だけど……!!

 魔王の胸の、このっ、姉ちゃんとは違った、ちょっと硬さの残る柔らかさ的な……!!??



「って! 俺は痛みの中で何を分析してんねん!!?? 俺はおっぱいマイスターかっちゅうねん!!??」

「あ、あははっ、大丈夫大丈夫! 好きなだけ分析していいからね?」

「ぬぅうっ、望むところだ! 大きさだけがすべてでないことを教えてやる!」

「ふみゃぁあああああああんっ!!??」



 姉ちゃんが、姉ちゃんがギュッてして、きたら……!

 魔王が、魔王がグリグリッ、グリグリッ……!!??

 ぬぉおおおおおっ!? 何っじゃこらぁあああああっ!!



「ふっ、ふんッ、どうだ、悟ッッ……わ、私の魅力を理解ッ、したか!?」

「アバババババ!! 大きさも柔らかさも、姉ちゃんのが上です~~~!!」

「くぅうぅううっ……!! ならば、これでっ、どうだっっ!!??」

「はぅおおおおおおおおおおっ!!??」



 魔王が! 魔王が立った!?

 いや、立ったっていうかッ、膝立ちだけど!!

 それで! それでそれでそれで!!

 俺の頭を、グイッて……グイッて、胸の中にっっ!!??



「マズいマズいまマズいマズいぃいいいっ!!?? コレは何かマズいぞ、おぃいいいいいっ!!?? 離せ離せ離せ離せ離せぇえええええええっ!!??」

「誰が離すものか! お前に私の魅力を刻みつけてやる!!」

「にゅふぅうううううううううううっっ!!??」

「はいはい、悟くん、大丈夫大丈夫、大丈夫だからね~?」

「全然大丈夫ちゃうわぁあああああああっっっ!!??」



 魔王がッ、魔王がグリグリッ、俺の頭を自分の胸に……ッ!!

 姉ちゃんもッ……姉ちゃんもギュギュギュッて、俺の身体を強くっ……ッ!!


 これは……これはアカンやつや!!

 柔らかいだけやなしに、何か、何か、何か!?

 何で!?

 せやから何で、女の子はこんなに良い匂いがすんのん!?

 石鹸の匂いとかとも、全然違うし!!

 香水とか、つけてるわけでもないはずやのに!!

 何なん!? この“女の子の匂い”はッ!?

 何で女の子は、こんなにフローラルなんよ!!??



「ッッッ!!??」

「あれ……? 悟くん……?」

「だ、大丈夫か……?」



 姉ちゃんと、魔王の声が……遠くから聞こえてくる。

 けれども……。

 俺は……俺は今、温かく柔らかな光に包まれて……。

 それ、で…………。



「…………………………最っ低」



 香月の吐き捨てるような言葉を聞いたのを最後に……俺は意識を手放した。










「あ~~~~………………何かえらい目に遭った……」

「………………へー」



 ようやく起き上がった俺に、香月が冷たい目で睨んでくる。

 いや……確かにちょっと、アレだったと我ながら思わなくもないけどだなぁ?

 痛みのせいで錯乱していたと思えば、それも仕方ないだろう?

 実際、おっぱいがなければ、マジで錯乱してたくらいに痛かったんだしさ。



「まあ良いではないか。悟は無事に、試練を耐えぬいたのだからな」

「そうそう。終わりよければすべてよしってね?」

「………………」



 やり遂げた感に満足そうな魔王と姉ちゃん。

 一方、一人、部屋の隅に避難していた香月は、悔しがってるような、苛立っているような、何とも言えない顔をしている。

 その目がチラ……と、自分の胸元を見下ろしたのを、俺は確かに見た。


 ……いや、まあ、うん。

 魔王じゃないけど、女の魅力はおっぱいの大きさじゃないから、あんまり気にしない方がいいぞ?



「……ふぅ……まあいいや。とりあえず、ホントに上手くいったの? その辺のところ、どうなのよ、水嶋?」

「あ~……どうだろう? とりあえず、痛みはないけど?」

「いや、魔力よ魔力。その循環を、感じられる?」

「……う~~ん……?」



 言われて、自分の身体を見下ろしてみる。

 サッパリ、わからん。

 いや、だから正直、わかる方がおかしいんだってば。

 だって、普通、自分の血流がどうなってるかとか、認識できないだろ?

 血液が流れてるってのを、わかってはいてもさ?


 魔力ってのも、言ってみればそういうモンで。

 わかるヤツにはわかるらしいけど、わからんヤツにはわかんないんだよな、うん。



「いやいやいや、それを分かるようになるために、アンタ、緋冴に無理やり回路をこじ開けてもらったんじゃんか」

「まあ、そうなんだけどな?」

「本当に……魔力を感じていないのか、悟?」

「う~~ん………………?」



 手を開いて、ニギニギしてみる。

 普通に動く。

 でも、それだけだ。



「サッパリわからん」

「なっ……何、だと……ッ?」

「う~ん……悟くんの中に、ちゃんと魔力の循環は、さっきより強く感じるようになってるんだけどねぇ……」



 姉ちゃんも、首を傾げている。

 そう言われても、サッパリわからない。

 試しにグッと拳を握って見るけれども、ただ腕に力が入っただけだ。



「いや、魔力ってのは筋力じゃないからね?」

「わかってるって、そんなことは」



 呆れ気味の香月に、そう答えるものの……。

「考えるな、感じろ」とか言われてもだなぁ?

 何を感じればいいのか分からんのだから、感じようがないってのが正直なところだ。



「む~~~~~~~~ッッッ……!」

「……」

「はぁああっ!!」

「ひゃうっ!?」



 握った拳を開きざま、思い切り香月に向かって突き出した。

 香月が驚いたように、ビクッと身体を跳ねさせる。



「お? 今の、何か出た?」

「出てないし! ていうか、万一のこともあるんだから止めてよね! アシュタルは、そういう戦い方も得意だったでしょうが!」

「ああ、すまんすまん。そうだったな」



 そうなのだ。

 “魔力”と一括りにして話しているけれども、それは間違いじゃあない。

 魔法使いのいう“魔力”と、剣士や何かがいう“オーラ(気力)”は、ぶっちゃけ、同じものだ。

 自分自身の生命力、ともいえるんだけど、重要なのは、自分もまた世界に繋がる大いなる循環の一つである、という認識というか何というか。

 まあ、アレです。

 燃料元は同じでも、出力の仕方と、実際に出力した時の現象が違うと思ってもらえればOKかな。


 んで。

 とりあえず、アシュタルはいわゆる“遠当て”も上手かったんだよな。

 もちろん、一撃で倒すくらいの威力も出せたけれども。

 ジャブのように軽く素早い一撃で相手の出鼻をくじいて、ストレート的な剣の一撃を入れるとか、まあ、騎士が見たら怒りそうな戦い方を、よくしていた。

 だから、香月の心配も分かるんだけど……残念ながら、俺の手からは、何も出ていないようだ。



「暗黒面に落ちた方が良いのかなぁ……?」



 そう呟きながら、香月に伸ばした手を、何となくニギニギさせる。

 と。



「ひゃうっ!?」

「お?」

「うん?」

「今の……」



 確かに……確かに、手応えがあった!

 確かにこの手に感じたぞ!?

 なだらかだけど、柔らかなふくらみの存在を……!!



「おお、何だコレ!? すげぇっ!?」

「ちょっ!? きゃっ!? ンッ……ッ!!」



 ふにふにと手を動かすと、確かに“おっぱい”の存在が……!

 そして俺の手の動きに合わせるように、香月がちょっと、身悶えるみたいな……?

 それは……それはつまり……!



「ていうことは、これは香月の……!?」

「ッッッッ…………………………死ぃっ……ねぇええええええええええええええええっっっ!!!!!」

「AGYARYUALAAAAAAAAAッ!!???」



 涙目になった香月の雷撃が、俺の身体を貫いていた……ッ!


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