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第33話 2人目の転生者、現る!


「ねッ……姉、ちゃん……?」

「うん?」

「い、いいいい、今ッ……今、なん、と……?」

「うん? ああ、だから“魔王”とデートをしていた理由を教えてって」

「ッッッッッ!!!???」



 何でッ!?

 何で姉ちゃんが、“魔王”なんて知ってるのッ!?

 何かの比喩ッ!?

 そうッ! そうだよねッ!

 魔王って、そうと知らなくっても、何か絶対、魔王っぽいもんねッ!?



「ッ……い、いや、あの……ね……?」

「ん?」

「そ、そそ、そッ……その、魔王っていう、のは……ッ?」

「もちろん、今日、一緒にいた彼女のことだよ。“深淵の魔王ルグン”、その生まれ変わりの、ね?」

「ッッッ!!!???」



 おぉおおお~~~~っとぉおおおッ!!!

 ここでいきなりの大技が炸裂だぁあああああッッッ!!!

“深淵の魔王ルグン”!!!!

 その名は、あちらの世界を知っている者しか知らないはずの名前だぞぉおおおおッ!!!???

 いかがですかッ、解説の谷山さんッ!?



 そうですねッ!

 確かに今の一撃は大きいですよッ!?

 何しろ、関係者しか知り得ない名前というのは、確実ですからねッ!



 ええッ、そうですよねッ!

 ですが何故ッ!

 問題はッ、何故ッ、お姉様がその名を知っているのか、ということだと思うのですがッ!?



 はいッ!

 ココで思い出していただきたいのは、昼間の魔王のセリフですッ。



 と、言いますとッ!?



 この世界と元の世界は、近い位置にあった……!

 それを繋ぐ穴を、魔王が広げてしまった、と……!



 ということはということはということはぁあああっ!?



 はいッ、お姉様も転生者である可能性が極めて高いッ、ということですッ!!!



(まさ、か……そんな……ッ? え……ッ? マジ、で……?)



 だったら……だったら、分かる……ッ。

 俺が“魔王”とデートしてりゃあ、そりゃ怒るだろう……。

 何しろ相手は“魔王”……なんだから……ッ。



「ッ……あ、あの、さ……姉……ちゃん?」

「なぁに?」

「姉ちゃん、もッ……姉ちゃんも、何かそういう……夢……を見てたり、する……の?」

「夢?」

「……だ、だから……何かそう、いう……剣と魔法の、ファンタジー的、な……」



 緊張に、汗をダラダラ流しながら、俺は姉ちゃんにそう、尋ねた。

 姉ちゃんは、ちょっとまた首を傾げて……。

 そう、して……。



「ああ、なるほど。悟くんの転生は、あんまり上手く行かなかった感じなのかな?」

「……………………はい?」

「でも、大丈夫。お姉ちゃんが保証するよ? 悟くんは間違いなく、勇者アシュタルの生まれ変わりだから」

「ッッッッッ!!!!???」



 ここでッ!!

 ここでまたしても“保証”が付いたぁああああああッ!!

 今のはッ、今のは魔王との初対面時と同じ展開ですよッ!?



 そうですねッ!

 まるで測ったように、見てきたように同じ展開ですッ!!

 ですがそれだけにッ、破壊力は抜群ですッ!!

 あの、最初の魔王の攻撃で、悟サイドに耐性ができている訳ではまったくありませんッッ!!!

 むしろ、弱点をさらけ出されている状態ですッ!!

 そこへ、二度目の直撃ですッ!!

 これはもう、決まったかも知れませんよッ!!!



(まだだ……ッ! まだっ、終わりはせんよ……ッ!!!)


 俺は、歯を食いしばって全身の力を振り絞る!

 顔を上げた、その先に……ッ!

 姉ちゃんはッ……姉ちゃんは、いつもの優しい笑顔を浮かべて、いる……ッ!

 その姉ちゃんに……ッ!

 その姉ちゃんに、俺は反撃の一手を放つ……ッ!!



「そう、いう……ッ」

「うん?」

「そういう、姉ちゃんは……いったい……ッ!?」

「えっ……?」



 お~~~っとぉッ!?

 意外や意外!!

 ここでお姉様が、何か驚いているぅうっ!?

 コレは本当に、反撃の一撃が決まったのかぁッ!?



 いやッ、油断は禁物ですッ!

 今のは確かに不意を付けたようですが、これは……ッ!!



「……もしかして……気付いて……なかった?」

「え……?」

「……あ~……確かに、今さら自分で言うのは恥ずかしいなぁ……」



 姉ちゃんは、モニョモニョと恥ずかしそうに身をよじる。

 そうして、赤くした顔で、俺を上目遣いに見るみたいに、笑って……。



「向こうでの私の名前は、ロゼッタ。“聖女”ロゼッタ……なんて言われてたんだよ?」

「…………………………ぇ゛!?」



 決まったぁああああああああッ!!!!

 完ッッッッッ璧な、あまりに完全過ぎるッ、まるで美しい芸術作品を見ているような返し技だぁああああああッ!!

“聖女”ロゼッタ!!!!!

 それはッ……それはそれはそれはッ!!

 それは“勇者”アシュタルの、旅の仲間ぁあああああああああッ!!!!



 これは……ッ!

 これはさすがに、立てないでしょう……ッ!!

 魔王とのデート、それに続く魔王パパの強襲というダブルヘッダーかと思いきや、予想を超えてのトリプルヘッダー!

 その最後の最後に、この大技ですよッ!?

 これで立てというのは、酷なものですッ!!



 決まったかぁッ!?

 これはもう決まってしまったかぁッ!?

 悟のライフはもうゼロなのかぁッ!?



「……悟くん?」

「………………」

「お~~い、悟く~~ん?」

「………………」



 座ったままッ!?

 座ったまま気絶しているぅうううううッ!!??

 ここでッ!!

 ここでレフェリーが大きく両手をクロスッ!!

 試合終了だぁあああああああッッッ!!!!!



 いや~ッ、悟選手、頑張ったんですけどねッ!

 ここでまさかの、旅の仲間の登場ですッ!

 その前の勇者認定からの流れで、もう満身創痍だった訳ですからねッ!

 よくッ、ここまで戦ったというべきでしょうッ!

 お疲れ様でしたッッ!!!


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