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第02話 勇者の資格に関する考察。


【勇者】って、何だと思う? 何をイメージする?



 強い。



 そうだな、まず、それは外せない。

 あと、どっちかって言うと剣だよな。

 魔法も使うけれども、メインは剣。

 聖剣とか持ってそうだし。



 実は、誰それの血筋。



 ああ、うん。そういうのもあるかもな。

 まあでも、今回はちょっと違うんだ。

 ソイツは孤児院育ちで、両親共に親は不明。

 もちろん、どちらかがスゴい血筋を引いていた可能性は否定出来ないけど……。

 とりあえず、物語中でそれが明かされたりはしなかった。



 勇気がある。



 そう、それな!

 勇気。これ大事。

 どんな強敵にも、どんな困難にも挫けない。

 負けることがあっても、立ち上がって、最終的には勝利をつかむ。

 そういう勇気を持つからこそ、勇者だよな。





 で。




 俺が、その勇者だと言ったら……正確には、勇者だったって言ったら、どうする?




 笑う。




 うん、そりゃあ正しい。

 ぶっちゃけ、俺も笑われた。

 逆に、俺が誰かに言われても、俺も笑うと思う。

 だいたい、勇者ってのは剣と魔法の世界にいるもんだ。

 この日本に、そんな奴はいない。


 それでも勇者だって言い張るんなら、証明しなきゃ。

 手っ取り早く、力で。

 それが出来なかったら、そりゃあ笑われても当然だろう?




 それでも。

 それでも俺は、勇者だったんだよ。

 マジで。



 まあ、“ただし”ってつくけど。

 そう、“ただし”だ。



 そして、夢の中では、と続く。





 そうなんだよな~、そう。

 夢の中で、なんだ、うん。


 いや、俺は昔っから、やけにディテールの細かい夢を見ててさ。

 そこは、それこそ剣と魔法のファンタジー世界でさ。

 人間の住むいろんな国が、魔王の率いる魔物の軍隊に侵略されてるわけ。

 その世界で俺は、最初は調子乗りな若造だったんだけれども、徐々に力をつけていって、その中で勇者としての資質を開花させていって……ていうね。

 ある種、王道展開に乗ってたわけ。



 いや、それがホント、リアルでさ。

 しかも、ちゃんとした続きもんなんだよな。

 夢の中で、自分はその勇者として行動してて、勇者目線で物語を進めてるんだけれども、同時に、「あ、これ前の夢の続きだ」っていう意識もあんの。


 それ、最初に見たのが幼稚園の時だったっけなぁ……。

 最初は、母親に言って、すごいねーって言われて。

 友達にも言って、同じように言われて。


 たださあ。

 その夢を見るのは毎日じゃあなかったけど、話としてはだから、ちゃんと続いてたんだよな。

 いや、同じシーンを何度も見たり、多少の前後もあったりはしたけどさ。



 で、小学校3年の時だ。

 何かで夢の話になって、俺は得意気に、その話をしたんだ。

 したら、笑われてさ。

 その時、俺は悟ったさ。

「あ、これ、笑いのネタになっちゃうんだ」ってね。


 いや、実を言うと、それまでに本もそこそこ読んでたんで、「この夢って、俺の前世? 勇者転生来たコレ!?」とか、一人でワクワクしてたりもしたんだよ。


 でも、ちゃんと現実的に考えてる部分もあってさ。

 冷静に、自分にツッコミも入れてたわけ。

 俺が本当に勇者だったら、せめて何か魔法を使えるとか、すごい力を出せるとか、何かあるだろう? って。


 もちろん、当時の……言うまでもなく、今の俺にもそんな力はない。

 だから、俺はやっぱり現実的な解釈をした。

 多分、親父のやってたゲームか何かの話を、自分なりに再構成して、それを夢で見てたんだろうって。

 実際、それが一番、説得力があると思うんだ。

 だからまあ、実を言うなら夢はその先もけっこう続いてたんだけど、それを誰かに話したりは、もうしなくって。


 いや、ネタとして話すことはあったけどな?

 でも、俺にとってももう、“前世の夢”は、ネタに過ぎなくなってたの。

 けっこう前から。



 それ、なのに……!!


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