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3-2 拾い物をするのは心の広い者

 わたくし及び三人(他は満ショダイと山恵ナナ、ジャック・帰満・二世・真慢)の仲間たちはピンチに陥っていた。戦車三台と戦いうち二台は右目盲目左目の視力もゼロに近い狙撃手リンリン・李院・凛鈴・リンリリンリ・李院・輪鱗(リンリン・リイン・リンリン・リンリリンリ・リイン・リンリン)とわたくしの力によって一台づつ撃破されたが最後に一台が厄介であった。なぜならわたくしたちは補給が乏しいため対戦車兵器をほとんど使い果たし、わたくしたちの仲間で最も戦力の強い(あくまでも銃撃戦や狙撃の腕がいいだけで協調性等を入れると最強とは言えないかもしれない)李院は砲弾で木っ端みじん。そして、わたくしの捨て身の挑発作戦も仲間との連帯の悪さから頓挫。

するとわたくしに残された最後の手段は二百m先に離れた建物に隠した対戦車ライフルか。だが、敵はおそらく温度センサーでわたくしの動きを把握しているに違いない。よし、こうなったら建物まで百mほど近づいたら罠のひとつを起爆。敵がそれに気を取られている隙にライフルを確保→接近→零距離射撃→WIN。考えが整ったらすぐに罠の起爆スイッチを片手にダッシュ。よしっ!あと百mだスイッチオン!

 ドン!

 確かに爆弾は爆発した。しかし、場所を誤った。戦場から離れた場所の爆弾が爆発したのであった。あれ?こっちだっけ?わたくしは別の起爆スイッチを取り出したののもう遅い。砲身がこっちに向いている。どうする?今私にできることはピストルを乱射するか手榴弾を持って特攻するか。逃げるってのも悪くない・・・いやっそれはまことにも申し分けない気がする。たった今真だ李院やわたくしを指導してくれた一人奈ラブカさんに・・・女だけじゃなくて和国を守るために戦ったり死んだりした同士たちにも。そういえば旧旧日本(今でいう旧日本)でも似たようなことがあったような。確か特攻とか言ったかな。若者たちがヒコーキ乗って敵戦艦に突っ込んでいったってやつ。(その他潜水艦等バリエーションはさまざま、もちろん命じる側作る側はやらない)確かあれ書類上には拒否するって選択肢あったよな。けどほとんどは「熱望する」を選択して・・・そりゃ周りが行っても自分だけが手を上げないわけにはいかないよな。と言ってもわたくしは今和国にそんな恩を感じちゃいないやっぱ逃げようかな。待てよ、逃げた所で帰るところがない。和国の連中はわたくしを仲間を捨てて逃げた卑怯者として白い目で見てくるだろうし真自にもっていくほどの手土産もないし。やっぱり突っ込むかな、それしか選択肢ないし。やっぱ悟りを開くのは行かせるやつじゃなくて行くやつか。道理で人類、いやっ日本人が進歩しないわけだ。じゃあ行くか。

わたくしはすばやく前方に飛び込むと受身を取ってから戦車に駆け寄る。それから手榴弾の栓に指を掛ける。さらばこの世!

 ボスッ!ボスッ!ボスッ!

 何だ?

 「ハッチだハッチ!」

 え?李院?よく見ると戦車のキャタピラに三つの大きな穴が開いていて移動ができなくなっていた。とういことは生きてたのかあいつ。おっとのんきに喜んでいる場合じゃない。わたくしは再び戦車に向かって駆け出し飛んで跳ねて戦車の上に乗る。するとハッチが開いて乗組員が出てくる。するとわたくしは何の迷いもなしに上から蹴り飛ばして乗組員を戦車の中に突き落としてから手榴弾を放り込む。その後戦車から飛び降りると建物の影に飛び込む。

 ドオオオン!

 音がやむとわたくしは建物の影から首を出して様子を伺う。戦車はハッチから黒い煙を上げながら燃えていた。どうやら乗組員たちは手榴弾を外に輩出できずに全滅したらしい。しかし、まああの時足ではなく手を出していたら中にいた人たちは全員助かっていたのかな。おっと忘れていた。

 「おーい李院無事か?おーい。」

 「早く来て、負傷したわ。あなたから見て三時の方向よ。」

 「おーい。」

 私は声を頼りに李院を探し出す。彼女は銃口から煙を出す対戦車ライフルの横に仰向けに寝転がっていた。右太ももには血で赤く染まった包帯が巻かれていていて彼女の足が向いている方向には血でできたカタツムリの足跡のようなものができていた。

 「匍匐前進で来てやったのよ。感謝してほしいわ。」

 「ああ、ありがとう。え~ととりあえず安全なとこまで運ぶよ。ショダイたちとも合流したいし。」 

 「その必要はないわ。そこ、コソコソしてないで出てきて。」

 すると先ほどわたくしが手榴弾を投げ込んだ戦車の残骸の影からショダイとナナとジャックが出てくる。ショダイはヘラヘラしながらわたくしをからかった。

 「何だ、ハジメもっと積極的に攻めろよ。いろいろできただろ。」

 「ラノベじゃあるまいし・・・」

 オギャーオギャー

 おやっ?どこからか赤ん坊の泣き声が聞こえる。気のせいとは思えない。わたくしたちはキョロキョロと辺りを見渡す。

 「なんだおまえたちもうヤッっちゃったか?」

 「ざけんな、冗談にもほどがある。」

 「こっちね。」

 李院は優れた聴覚ですぐに赤ん坊の居場所を突き止める。わたくしとショダイは声の聞こえる方に行き他はその場に残る。(五人で固まって動くと地雷や機関銃で全滅する恐れがある)しばらく歩いていくと女性の死体が建物の一つの中にあり例の赤ん坊に覆いかぶさっていた。死んですぐのようだった。死因は傷野付き方から先ほどの戦闘での対人兵器によるものだと考えた。わたくしとショダイは赤ん坊を抱えて仲間たちの元に戻る。

 「いたぜ、とりあえずどっかの建物にでも入って休もう。えっと李院は負傷してるからナナ、ジャックあっちの女の死体のある建物の中にいくらか物資があった。取ってきてくれ。始めは李院にでも肩を貸してやれ、そこの青い建物に集合。」

 「了解。」

 わたくしと李院とショダイは例の青い建物に入り十分後くらいナナとジャックが戻ってくる。そして、会議が始まった。

 「というわけで俺たちの残りの食料は三日分、対戦車兵器はほぼ使用済み。お荷物あり負傷者一名、対人兵器だけはたっぷり。」

 「赤ん坊は殺すべきよ。食いぶちの問題はともかく泣かれでもすれば私たちの位置がと特定されかねないわ。」

 「気味が悪いのですが。」

 「自分はこの子を生かすべきだと思います。」

 「何だ?この私に口答えをする気か?戦車二台ぐらいで調子に乗るなよハジメ。」

 「まあ待落ち着けって。今求められるのはすばやい判断だ。よーし多数決、恨みっこなし。今から俺が三十秒数え終わったら生かすべきと思う人は手を上げてくれ。」

 三十秒後採決スタート、わたくし、満ショダイ、山恵ナナが挙手したことによって三対二で赤ん坊は生かされることとなった。わたくしたちは交代で赤ん坊の世話をしたり敵が来ないか見張るようにした。わたくしたちの戦力はだいぶ削られていたので戦車の様なゴツい敵が来たら撤退することにした。李院の足のケガも考えると少々非現実的な作戦ではあったが。

 まずはわたくしとジャックが高い盾桃の屋上で見張りをしてショダイとナナが赤ん坊を世話することにした。ついでに李院は二十七時間ぶりの仮眠。


 「ショダイさん物資の中に粉ミルクが。」

 「えーとマニュアルどうりに作るとするか。あーめんどくさいな。なーナナお前が作ってくれ。」

 バッチーン!!

 「誤解するなって。」

 セクハラはいかんけど子供の前での暴力は慎もう。

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