プロローグ2 地獄?
最初の方は短めです
段々と眠りから覚めるように、意識が浮上してくるのがわかる。あの世に到着したのだろうか。
一つ懸念があるとすれば天国と地獄のように行く先が別れていたらということぐらいか。僕は紛れもない善人なので天国に行けるだろうが他の悪友たちはほとんど地獄行きだろうし。まあ、彼らに聞いたら僕こそ地獄行きがお似合いだと言うだろうが。まったくもって酷い話だ。
例外は妻くらいか。彼女だけは誰がどう見ても天国に行くのが相応しいと答えるだろう。
(さて、僕はどっちだろうね?)
ゆっくりと目を開けて、視界に入った景色は予想外のものだった。僕がイメージしていた天国と地獄のどちらにもそぐわない薄暗くて不気味な木々が辺りに生い茂っていた。
感じからして天国ではなさそうだが、地獄に木という生命のようなものがあるものだろうか。ただ、あくまで僕が思う地獄像は勝手な想像だから間違っていても不思議はない。
(しかし、これは妻には会えそうもないね)
どう控えめに見てもここは楽園のようなところとは思えない。ということはいるのは悪友達の多くだろうか。久々に会えるのは嬉しくないわけじゃないんだが、会ったら会ったで面倒くさいのがわかりきっている。
ため息をつきながら起き上がろうとして体が動かない。年を取って体が動かなくなったとはいえ、さすがにこの程度の動きができなくなることはなかったのだが。あの世に来てまで老化が進んでしまったのだろうか。
それとも死んだ時の状態があの世でも続くだろうか。そうなると話すのもほぼ不可能だし、それは勘弁してもらいたいところだ。
待っていても何も起きないし、次第に眠くなってくる。凄まじい睡魔でどう頑張っても意識を保っていられなかった。
意識が消える瞬間に、誰かの声が聞こえた気がしたがそれを確かめることで出来ずにまた眠りの世界に落ちていった。