世界の干渉と条約という鎖
世界の干渉と条約という鎖
私はこの世にいらない
不要物でしかない私
この世界にあってはいけない異物
私は干渉してはいけない
干渉できない存在である私
干渉しない存在である私
私はこの世にいない
私はこの世にいる
世界にいない私は干渉できない
世界にいる私は干渉できる
世界にいない私は干渉してはいけない
世界にいる私は干渉してはいけない
私は半身でしかないから
世界にいる私といない私
半身であるから干渉してはいけない
でも、世界にいる私は干渉できる
世界は二つにしか分かれない
世界は
干渉できるものと
干渉できないもの、だけ
世界は二つにしか分かれない
世界は
この世にいるものと
この世にいないもの、だけ
これが世界の条約
たとえ干渉できないものが
干渉したとしてもそれは
干渉とはならない
世界は歪む
干渉できるものが
干渉したとしても、
条約に反せばそれは
干渉とはならない
境界は曖昧に
結果は変わらない
もしくは
干渉できないものが
干渉できるものだったか
世界とは所詮そんなもの
運命とは所詮そんなもの
また
世界において
少しでも生を受けたものは
たとえ死んだとしても
どこかしらで干渉している
それもまた、条約である。
そして、
条約には秘められた、
隠されしモノもある。
この世にいたとしても、
干渉できないものがいる。
それは、
半身
そう、
私たちのような、半身であるもの。
稀に存在するモノ。
知覚されているのに、
干渉できない、
命のない、魂が半分なモノ。
それは、こちらに引きずられてくるものもあるし、
最初から、半身であちらに生まれでるモノもある。
原理は判明されていない。
自分の片割れが、こちらとあちらで
分かたれてしまったものたちは、
どちらの世界でも
仲間はずれの、異物。
干渉できないから、
世界を渡ることも出来ず。
ただ、
分かたれたままの自分の片割れを想う。
空虚になり、虚ろに夢想し、
自分の半身を想う。
物足りなさを感じ、
異物感を感じ、
それを取り払う術を知っている。
なのに、それを実行することは不可能で、
苦しくて、
それでも、自分の片割れを、
自分の半身を想い続け、
夢想し、心だけが、
世界を渡り、
二度と戻れなくなる。
どちらの世界でも、
仲間はずれの異物。
同じなのは自分の半身で、
だからこそ、そのかけがえのない存在を求め合う。
だからこそ、自分たちは、
逃げるのだ。
鎖を解き放つために、
自分の半身に想いを寄せて、
そして、二人の、二人だけの世界へと、
そう、思いながら、二人で知らない地へと、半身を見つける旅に出る。