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世界にダンジョンができたせいでセミリタイアに失敗した男、冒険者になって無双  作者: 椎名 富比路
第一章 FIRE失敗民による、逆襲のダンジョン攻略

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第8話 コンパニオン契約

「ロニ。お前さんは、オレとコンパニオン契約がしたいと?」


「そう。コンパニオンでいい。ミツルのおっさんといっしょに、旅がしたい」


【フュージョン・ワールド】では、プレイヤー同士の交流やパーティを組むことはある。

 

 他に、異世界の住人を連れて歩くことも可能だ。

 これを、【コンパニオン】という。


 ただ、コンパニオンに『ロニ』というキャラクターはいない。

 オレが知っている限りでは。


 やはりゲームとは似た世界でも、ゲームのようにはいかないようだな。

 よそのダンジョンにいるボスが、序盤のダンジョンに現れたりなど、イレギュラーばっかり起きている。


「私なら、それなりに魔法は使える。ただの砲台代わりに、してくれたっていい。連れてって!」


 とにかく役に立つよと、ロニはアピってきた。


 こんなNPCは、初めて見たぞ。


 といっても、ロニはNPCではない。


 改めて、異世界の住人でも血が通っているのだなと思い知らされた。

 

「なんで、オレなんかと旅がしたいんだ? 異世界の住人なら、異世界にいればいいじゃないか」


 ロニには、ロニの人生があるはずだ。

 そちらを全うしたほうがいい。


「退屈なんだっ。当たり前の生活で、平凡な日常なんて送れないよ」


 動機は、好奇心かよ。


「そんなに、学校は嫌か?」


「嫌だね。魔法科学校で凝りたよ。冒険者がいい」


 地球でいう高校にあたるスクールに入れ、と親から言われて、ロニは家出したという。


「頭はいいのか?」


 いいんだろうな。魔法科学校を、首席で卒業したくらいだ。


「だから、こっちで身元の引受人を探して、雇ってもらおうって考えた」

 

 ロニなら、それなりに頭も回るだろう。偏見も、相当食らっただろうな。コイツの性格なら。

 周りと同調なんて、望めないだろう。


「それに、世界がヤバいって知ってしまった。無視はできないよ」


 なるほど。


 向こうでは、生きづらい性格のようだな。


 好奇心旺盛で、正義感も強い。多少の悪事を、放っておけない。


「ギルドには、オレが話をつけてみる。ご両親には、自分から説得するんだな」


「母親しかいない」


「……すまん」


「別にあやまんなくていい」


「とにかく、おふくろさんに連絡しろ。話は、それからだ」


「話さなくたって」

 

「親を説得できないやつが、冒険者になんてなれっかよ」


 ロニは黙りこくった。


「今日は、オレのパーティと顔見せだけな。親にはちゃんと、話すんだ」


「そう言って、私を厄介払いしない?」


「しない。魔法を教わりたいのは、ホントだからな」


 ウソではない。


 オレの前職は、魔法と言っても風魔法だけしかほとんど覚えなかった。

 魔法がなくても戦える【忍者】職だったし。


 ちゃんと魔法を覚えて、あのゲームを遊びつくそうと思っていたのに、サ終しちまった。


 あのゲームの魔法については、謎が多い。


 また、現実のダンジョンでどれが通じるのかも、確認したかった。


 現地人であるロニなら、教えてくれるだろう。なんたって、魔法科学校トップのお嬢様だからな。


「わかった」


「よし」


 改めて、アイテムを確認だ。

   

 ドロップアイテムの中でも、とっておきは【フレイムシード:レベル五】である。


 これを、どっちにつけよう? 武器か防具か。


 耐性はいくらあっても足りないが、今は重要じゃない。

 ひとまず、【クレイモア】に装着だな。

 柄に、シードを取り付けた。


「おお!」


【ファイアソード】って武器に、名称が変化した。 

 シードのレベルが高いと、起きる変化である。


 次に、壊れた装備の修理だ。


「よお。ミツル。おかえり」


「帰ってきてそうそうに、悪い。このすね当てを、直してくれ」


 ドワーフの鍛冶屋は、アイテムを直してくれる。


「随分、ハデにやりやがったな。待ってろ」


【ロングソード】を売って、修理費を相殺した。


「ありがとう」


 ついでに雷属性のシードを、再びすね当てに取り付けた。


「こいつは、どうしたら?」

 

【炎のクマの牙】を、鍛冶屋に差し出す。


「これは、手甲につけるかい?」


 手甲につけることで、炎に耐性がつく。さらに、仕込みナイフ代わりになるという。


 じゃあ、オレが装備しないほうがいいな。『アイツ』にやろう。今から来るやつに。


 で、ロニからもらったアイテムを。


「これは、どうしようかな」


「ほーっ。【ジュエル】かね? これは序盤だと、掘り出し物だね」


 ドワーフも、うなる。


【ジュエル】は一言でいうと、シードの上位互換だ。複数の属性を付与でき、複合的な使い方が可能だ。


 サイズこそ、小さい。しかし、こんな最序盤で手に入るようなものでもなかった。

 やっぱりあのクマー、【ボルケーノベア】は只者じゃなかったってわけだ。


 プチ家出少女を保護しても、オツリが来るってもんよ。


「火と氷の複合属性か。ミツルがどんなビルドにしたいか、にもよるけどねぇ」


「今までがスキル依存だったから、装備依存で行きたい」


「特化型じゃないんだな。じゃあ、魔法使いビルドの時用に、杖に付けるってのはどうだい?」


「……いいね」


 オレは早い段階で、魔法使い用ビルドを構築することにした。


 安い杖に、ジュエルをつけてもらう。


 よし、これでサブのファイトスタイル、魔法使い系のビルドがはかどって――


「いってええ!」


 しゃがんでいたオレの真上から、鉄拳が振ってきた。


「ミツル! アンタ! アタシという人がありながら!」


 見上げると、地雷系ミニスカファッションの女がいた。腰に手を当てて、オレを見下ろしている。


「なんだよマリエ、いきなり!」


「急にギルドに来てくれっていうから、何事かと思ったら! こんなちっこい子とイチャついている場面を、見せつけるなんて!」


「あの、この方は?」


 マリエが語っていた「ちっこい子」であるロニが、オレに問いかけた。


 ロニの前に立ち、マリエがあいさつをする。


「はじめまして。あたしは毬江(マリエ)・ヴィッカース。ミツルの嫁です」

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