第24話 違法ダンジョン
このダンジョンは、違法に改築されたものだ。
「ミツル。これが、違法ダンジョン?」
「ああ。これだ」
オークの装備品を、ロニに見せた。
「装備品の構造が、近代的すぎる。これは、どこかの業者が持たせたものだ」
それに、ルートに不自然な空洞がある。
「この空洞から、違法ダンジョンにつながっていると思っていい」
「入ろう! 妖精たちが、ムリヤリ働かされているのかも!」
オレは、焦るロニを抑え込む。
「止めないで! こうしている間にも妖精たちが」
「わかってる。だから、事前に準備しねえと」
オレはキナ子に、冒険者ギルドに繋げるように伝達する。
「ロニは、入口に戻れ。さっきの半魚人ニーチャンに、応援を要請してくれ」
この距離なら、ロニに直接行ってもらったほうが早い。
「わかった」
ロニを行かせて、オレは地球側のギルドに通信を入れた。
『その管轄でしたら、ホグビィド盗賊団が怪しいですね』
受付のお姉さんが、そう伝えてくる。
「ホグビィド盗賊団?」
『ジェラーノの街を拠点とする、大規模盗賊団です。非合法の盗賊ギルドといってしまったほうが、その規模は理解してもらえるかと』
盗賊ギルドに合法も何もあるのか、というツッコミは、この際抜きにする。
「で、その盗賊団が、どっかからの入れ知恵で、ダンジョン違法建築に関与していると」
『はい。盗賊団単独の行為とは、考えづらいです』
盗賊団と言っても、家業は物取りだけではない。違法ダンジョンの開発にも、関与しているという。
しかし、決定的な証拠は掴めず、彼らも行方をくらませていた。
『やけにおとなしいと思ったら、こういうことだったらしいですね』
「相手は盗賊団か。運が悪いと、暴力刃傷沙汰になるかもしれん。相手が人間の場合、最悪はPKになる」
プレイヤーキル……つまり、冒険者同士の殺し合いに。
『許可します。指定盗賊団ですので』
「わかった」
ギルドが全責任を負うので、盗賊団の関与が発覚次第、撃滅してくれとのことだ。
「空洞に入るぞ、キナ子。録画を頼む」
『セッティング完了です、ミツルさん』
キナ子の目をカメラ代わりにして、違法ダンジョンを調査する。
「トラップだ」
オレはナイフで、罠のワイヤーを外した。
「罠は原始的だが、盗賊団の知恵じゃねえ」
特殊な魔法が、かかっている。こんなもの、盗賊団が作れるはずがない。
「ロニが戻ってきたら、調べてもらおう」
灰色の道を、ソロリソロリと進む。
「わああああ!」
ダンジョンの奥で、悲鳴が上がった。
「いくぞ、キナ子!」
冒険者が、盗賊団に襲われている。装備からして、娯楽目的の富裕層のようだ。
盗賊団たちは、クロスボウなどで武装していた。装備品も、魔法でコーティングされている。明らかに、何者かの手が加えられていた。
冒険者のお供であるはずの傭兵が、死んでいる。
「待ってろ、助ける!」
「お前らの相手は、オレだ!」
魔法使いのスキル、【チェイン・ライトニング】で、その場の盗賊団全員を感電させる。
スキル調整の際、チェイン・ライトニングの範囲を六から一八へと一気に上げた。
「決めちまえ、キナ子!」
『はい。【旋風脚】!』
跳躍からの回し蹴りで、盗賊団どもの首をへし折る。
「一人も生かさん!」
オレは、残党も容赦せず撃退した。
すべての敵を倒し、オレは傭兵の死体を改める。
『首になにか、刺さっていますね』
「毒の矢だ」
さっきの毒矢トラップに、やられたんだな。
盗賊団の全滅を確認していると、ロニがやってきた。
ギルド職員に、冒険者を任せる。
「みんな、殺したの?」
初めて殺人を見たのか、ロニの足がすくんでいた。
「殺傷は、許可してもらっている。というか、盗賊はダンジョンでは【モンスター】扱い」だし」
正規ギルドを通していない盗賊団は、少なからず魔族と契約している。あるいはダンジョンの魔素を吸って、正気を失う。
「魂だけではなく、肉体も変質していくんだ。あんな風にな」
無数のオークが、オレたちを取り囲んでいる。
「ミツル、ひょっとしてコイツら全部?」
「ああ。元盗賊団だろう」




