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世界にダンジョンができたせいでセミリタイアに失敗した男、冒険者になって無双  作者: 椎名 富比路
第二章 FIRE失敗民、異世界地元民の少女を母親と和解させる

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第16話 スケルトンキング(初級ダンジョンの本来のボス

 二階に降りた瞬間、新たな敵が現れる。

 

『ミツルさん、ロニさん。新しい敵が来ました』

 

 人体模型が武器を持ったような敵が、眼の前に。


「スケルトンだな」


 骨モンスターの動きを止めるため、オレはアイスボールを撃つ。


 しかし、スケルトンは向かってくるのをやめない。


「氷に耐性があるな」


 なので、杖の先端の【ジュエル】を、炎タイプに切り替える。


 オレの杖は、炎と氷を複合させた【ジュエル】という宝石をはめていた。

 炎と氷で、魔法を切り替えることができる。


「【ファイアボール】!」


 スケルトンの身体が、火だるまになった。


『まだ来ます』


 続々と、スケルトンが向かってくる。

 機械的な動きだが、明確な殺意は感じた。


「キナ子、さっきあげた武器で殴ってみろ!」


『了解。【ファイアナックル】をどうぞ』


 キナ子が、手甲型の武器で、スケルトンを殴る。

 

 クマからドロップした【炎のクマの牙】を、鍛冶屋に加工してもらった武器だ。

 撃ったスキルも、装備品に付属している。


『倒しました。レベルも結構上がりましたね』

 


 キナ子のビルドは、マリエが構築しているようだ。武闘家として、そつなくスキのないビルドにしている。防具は装備しているが、武器は必要ない。全身武器だからな。


「スケルトンって行っても、冒険者の死体とかじゃないんだな」


 骨の構造が、スッキリしすぎている。どこか、作り物っぽい。


「スケルトンの正式名称は、【スパルトイ】。わかりやすくいうと、召喚獣」


 何者かに操られて、骨を再構築して作られた人工物だという。


「冒険者や魔物の死体なのは確かだけど、複数の死体から作られているよ」


 案内役のロニがずんずんと進み、敵のヘイトを稼ぐ。魔物たちを、こちらに誘導するためだ。【純魔】……いわゆる純粋な魔法使いタイプなのに、よくやる。


 ロニはオレと同じく、雷属性のシードをブーツにはめて素早さを上げて、風属性のシードをフードに装着して回避率を上げていた。

 その姿は、まさしくオレが以前に使っていた『ヒガン』を思わせる。

 もこもこフードに短パンと、ビジュアルは女の子っぽいんだけど。



 最序盤ダンジョンの階層は、二階までしかない。


 そろそろボスが、出てくるだろう。


「スパルトイっていうのは、誰かに操られている。その操り主は、とても強い魔力を秘めて死んだ可能性が高い。たとえば」


 ロニが、玄室の奥を指差す。


「あんな感じの」


 最奥に、そのボスは鎮座していた。


 おいでなすったな。


 王冠をかぶったガイコツが、王笏に似た棍棒を立てかけている。

 

「スケルトンキングだ!」

 

 玉座から、スケルトンの王が立ち上がった。人の大きさじゃない。バスケットの選手より、一メートルはデカいかも。


「たしかに、スパルトイは作り物だってわかるサイズだな」


「あれも作り物だよ」


「そうなのか?」


「あんな大きな人間はいない」


 配下である死霊を取り込んで、自分の身体に作り変えているのだという。


「とんでもない魔改造だな」


『あんな人工物に生まれてなくて、ワタクシは幸運でした』


 ちげえねえ。


 まあ、これだけ出かければ、魔法の的になる。


「思う存分に、ぶっ放すぞ。キナ子!」


『ワタクシも、殴り飛ばして差し上げます』


 キナ子が、スケルトンキングに殴りかかった。炎の爪をつけた手甲で、ひっかく。

 

 オレは遠距離で、魔法を撃ち込む。


 スケルトンキングのヘイトが、オレに向いた。キナ子をスルーして、オレめがけて王笏をぶん回す。


『そちらに行きました。カバーします』


 腕を交差させながら、キナ子がオレをかばおうとした。


「必要ない。【エナジーシールド】!」


 オレは自分に魔力のバリアを張って、攻撃を無理くりに防ぐ。


「おおおお! 思っていたより強い!」


 予想以上に、スケルトンキングは強かった。


 あっという間に、エナジーシールドが破壊された。低レベル帯のエナジーシールドは、こんなに心もとないのか。


「チュートリアルのボスにしては、やるじゃないか!」


 実はこのボス、ゲームだと『レベリングキャラ』として重宝する。


 ダンジョンを出ればすぐに復活するので、コイツを狩るだけで、レベルがみるみる上がるのだ。


 そのため、初心者はまずコイツを狩りまくって、次のステージに進む。


 しかし、このスケルトンキングは、ゲームの仕様とは違うようだが?


 やはり、ゲームの世界観と、勝手が違うようである。

 

 とはいえ、ちょっと強い程度だ。こちらのレベルが、少々弱いだけ。


「できうる限り、ありったけを叩き込むぞ!」


『承知しました!』


 オレとロニは、とっくに初級ダンジョンをクリアできるレベルである。

 

 キナ子がスケルトンキングに挑むのは、まだ少しレベルが足りない。


 それでも、プレイヤースキルで乗り切ることに。


 オレは徹底して、サポートに回った。


 今のキナ子は、真正面からスケルトンキングと対峙してちょうどいい。相手が少しだけ強い分、危機感を持って挑める。


 だが、見ていても大丈夫……おや?


『このまま押し切って……』


 キナ子がボスにとどめを刺そうと、突撃したときだった。


 スケルトンキングの背中から、もう二対の腕が伸びている。


「離れろ、キナ子!」


 オレはキナ子に、回避指示を出した。


 とっさにキナ子が、ボスの攻撃を避ける。


 伸びた腕が、キナ子のいたポイントをえぐっていた。


「第二形態だと!?」

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