第16話 スケルトンキング(初級ダンジョンの本来のボス
二階に降りた瞬間、新たな敵が現れる。
『ミツルさん、ロニさん。新しい敵が来ました』
人体模型が武器を持ったような敵が、眼の前に。
「スケルトンだな」
骨モンスターの動きを止めるため、オレはアイスボールを撃つ。
しかし、スケルトンは向かってくるのをやめない。
「氷に耐性があるな」
なので、杖の先端の【ジュエル】を、炎タイプに切り替える。
オレの杖は、炎と氷を複合させた【ジュエル】という宝石をはめていた。
炎と氷で、魔法を切り替えることができる。
「【ファイアボール】!」
スケルトンの身体が、火だるまになった。
『まだ来ます』
続々と、スケルトンが向かってくる。
機械的な動きだが、明確な殺意は感じた。
「キナ子、さっきあげた武器で殴ってみろ!」
『了解。【ファイアナックル】をどうぞ』
キナ子が、手甲型の武器で、スケルトンを殴る。
クマからドロップした【炎のクマの牙】を、鍛冶屋に加工してもらった武器だ。
撃ったスキルも、装備品に付属している。
『倒しました。レベルも結構上がりましたね』
キナ子のビルドは、マリエが構築しているようだ。武闘家として、そつなくスキのないビルドにしている。防具は装備しているが、武器は必要ない。全身武器だからな。
「スケルトンって行っても、冒険者の死体とかじゃないんだな」
骨の構造が、スッキリしすぎている。どこか、作り物っぽい。
「スケルトンの正式名称は、【スパルトイ】。わかりやすくいうと、召喚獣」
何者かに操られて、骨を再構築して作られた人工物だという。
「冒険者や魔物の死体なのは確かだけど、複数の死体から作られているよ」
案内役のロニがずんずんと進み、敵のヘイトを稼ぐ。魔物たちを、こちらに誘導するためだ。【純魔】……いわゆる純粋な魔法使いタイプなのに、よくやる。
ロニはオレと同じく、雷属性のシードをブーツにはめて素早さを上げて、風属性のシードをフードに装着して回避率を上げていた。
その姿は、まさしくオレが以前に使っていた『ヒガン』を思わせる。
もこもこフードに短パンと、ビジュアルは女の子っぽいんだけど。
最序盤ダンジョンの階層は、二階までしかない。
そろそろボスが、出てくるだろう。
「スパルトイっていうのは、誰かに操られている。その操り主は、とても強い魔力を秘めて死んだ可能性が高い。たとえば」
ロニが、玄室の奥を指差す。
「あんな感じの」
最奥に、そのボスは鎮座していた。
おいでなすったな。
王冠をかぶったガイコツが、王笏に似た棍棒を立てかけている。
「スケルトンキングだ!」
玉座から、スケルトンの王が立ち上がった。人の大きさじゃない。バスケットの選手より、一メートルはデカいかも。
「たしかに、スパルトイは作り物だってわかるサイズだな」
「あれも作り物だよ」
「そうなのか?」
「あんな大きな人間はいない」
配下である死霊を取り込んで、自分の身体に作り変えているのだという。
「とんでもない魔改造だな」
『あんな人工物に生まれてなくて、ワタクシは幸運でした』
ちげえねえ。
まあ、これだけ出かければ、魔法の的になる。
「思う存分に、ぶっ放すぞ。キナ子!」
『ワタクシも、殴り飛ばして差し上げます』
キナ子が、スケルトンキングに殴りかかった。炎の爪をつけた手甲で、ひっかく。
オレは遠距離で、魔法を撃ち込む。
スケルトンキングのヘイトが、オレに向いた。キナ子をスルーして、オレめがけて王笏をぶん回す。
『そちらに行きました。カバーします』
腕を交差させながら、キナ子がオレをかばおうとした。
「必要ない。【エナジーシールド】!」
オレは自分に魔力のバリアを張って、攻撃を無理くりに防ぐ。
「おおおお! 思っていたより強い!」
予想以上に、スケルトンキングは強かった。
あっという間に、エナジーシールドが破壊された。低レベル帯のエナジーシールドは、こんなに心もとないのか。
「チュートリアルのボスにしては、やるじゃないか!」
実はこのボス、ゲームだと『レベリングキャラ』として重宝する。
ダンジョンを出ればすぐに復活するので、コイツを狩るだけで、レベルがみるみる上がるのだ。
そのため、初心者はまずコイツを狩りまくって、次のステージに進む。
しかし、このスケルトンキングは、ゲームの仕様とは違うようだが?
やはり、ゲームの世界観と、勝手が違うようである。
とはいえ、ちょっと強い程度だ。こちらのレベルが、少々弱いだけ。
「できうる限り、ありったけを叩き込むぞ!」
『承知しました!』
オレとロニは、とっくに初級ダンジョンをクリアできるレベルである。
キナ子がスケルトンキングに挑むのは、まだ少しレベルが足りない。
それでも、プレイヤースキルで乗り切ることに。
オレは徹底して、サポートに回った。
今のキナ子は、真正面からスケルトンキングと対峙してちょうどいい。相手が少しだけ強い分、危機感を持って挑める。
だが、見ていても大丈夫……おや?
『このまま押し切って……』
キナ子がボスにとどめを刺そうと、突撃したときだった。
スケルトンキングの背中から、もう二対の腕が伸びている。
「離れろ、キナ子!」
オレはキナ子に、回避指示を出した。
とっさにキナ子が、ボスの攻撃を避ける。
伸びた腕が、キナ子のいたポイントをえぐっていた。
「第二形態だと!?」




