第15話 魔法科学校の不良 ~ロニの魔術指導~
「自分でビルドしたいようにすれば、いいかな? あんまり初手で効率とか考えると、めっちゃつまんないし」
たしかになぁ。
「おすすめとかは?」
「それも、ビルド組んでいきながら、自分で考えて。ギルドにお金を払えば、再設定も可能だから」
この世界の冒険者は、冒険者ギルドで少額を払えば、ビルドを一から再構築できる。気に入らなければ、ビルドを組み直せるのだ。
「種類的には、どんな感じがあるんだ?」
「基本攻撃魔法で組んだビルドでも、ザコ一掃型かボスキラー型に分かれるよ。私はどちらも優先したから、中途半端だけど」
どんな敵にもマルチに対応しようとすれば結局弱くなると、ロニは気づいたらしい。
オレは魔法は素人だが、冒険者としては先輩だ。
そっちは、オレが教えていくか。
「他にもからめ手型やトラップ型、補助型ってのもある。といっても、どれが一番強いってのは、わからないんだよね。私は、実戦的なビルドしか知らないから」
「ロニは、ゴリゴリの戦闘系統術ばかりでビルドしているんだよな?」
「私は、実戦派」
学校が推奨している研究派閥の生徒とは、最後まで馬が合わなかったらしい。
「実戦的な魔法は、覚えることさえ制限されている。仮に覚えたとしても、学校で使えるのは、型稽古だけ」
「魔法科学校って、そんなに戦闘向きの学習をしていないんだな?」
意外だった。もっと、攻撃魔法などを専門的に教えると思っていたが。
「まともに教えると、使っちゃうから。私みたいに」
なるほど。生徒が調子に乗って、イキると。
「大昔に、生徒同士で『どっちが強いか』で揉めてさ。実戦魔法バンバン使って、二人とも退学になった。学校の資料とか、全部弁償させられたらしい」
校舎を半壊させて、学校の貴重なアイテムなどをすべて燃やし尽くしたという。
「そいつら、どうなったんだ?」
「勇者と魔王と呼ばれて、退学後も殺し合った」
おおう……。
「私は学校からしたら、明らかな不良生徒だったよ」
「学校って、なにを習うんだ?」
「錬金術の理論、魔法の歴史、どれもつまんない、実戦で使えなさそうなものばかり」
【攻撃魔法】という概念は、冒険者しか使わない野蛮な行為なのだという。
「お前さんの国は、平和な世界なのか?」
「そうでもない。でも、冒険者の身分は、めちゃ低いよ」
ただ、戦闘は冒険者や騎士がやるものらしい。学校の魔法使いは、歴史を受け継ぐ、城を守るなどの役割があるという。
「魔法での戦闘なんて、型稽古止まりなのに」
成績はよかったが、そのせいでフリーダムすぎる生徒だったそうだ。
「ていうか、ヒガン時代は、どうして魔法とかを駆使しなかったの?」
「ビルドの組み直しをお願いしようとした矢先に、すべての力を失ったんだよ」
正確には、セカンドキャラを組もうとした途端、【フュージョン・ワールド】のサービスが終わってしまったのだ。
世界にダンジョンができた、ちょうどそのタイミングで。
ああもう。オレのFIREゲーム満喫ライフが、おじゃんに。
リアルダンジョンには、絶対にツケを払わせてやる。
「だから、魔法に関しては調査不足なんだ」
ヒガンのときは、風魔法を中心に武術スキルと複合させていた。
「風魔法は勝手を知っているから、それ以外のビルドで攻略したい」
「なら、雷ビルドなんてどう?」
「雷ビルドか。いいかもな」
炎の効果も多少付与され、氷系の弱点も付ける。風魔法の素早さも手に入るため、魔法使いビルド特有の【鈍足問題】にも、対処できるだろう。
【魔法使い】ビルドは素早さや体力を魔力に奪われてしまうため、どうしても貧弱なビルドになる。
だから【忍者】ビルドで補強するか、【純魔】……純粋魔法使いとなって、スキルによって移動力を確保するかに絞られるのだ。
「ロニ、お前さんも、【テレポート】は取るんだよな?」
「うん。私は純魔で、ヒガンほどの素早さはマネできないからさ」
雷ビルドと言えば、テレポートだ。
【ライトニングボルト】に、スキルの大半をぶち込む。派生して、【チェイン・ライトニング】を覚えた。
後は、敵からアイテムを盗める【テレキネシス】を習得する。
「でも、気を付けて。雷ビルドは複合的なスキルがいっぱいある分だけ、威力は他の魔法に劣るよ」
各属性魔法への耐性もあるが、誤差レベルしかないんだとか。
「心得た」
また、魔法使いと言えば【エナジーシールド】だ。魔力でできたバリアを張って、物理や魔法のダメージを一定の割合でカットする。
今はレベル一しか取れないが、あるとないとでは大違い。ダメージにかなり差が出る。
試しに使ってみるか。
ちょうどいい。ゴブリンが弓を引いている。
「エナジーシールド発動!」
オレは、わざと敵から矢の攻撃を受けた。
うん。聞いていない。
「今度はこっちの番だ、テレキネシス!」
オレはテレキネシスというスキルで、ゴブリンの矢を跳ね返した。
矢が軌道を変えて、ゴブリンアーチャーの眉間に突き刺さる。
「やりい」
「魔法には、こういう使い方もあるから、色々ためしてみて」
「はい、ロニ先生!」
オレは、ロニに敬礼をした。




