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一話

研究員の寝る間を惜しんでの仕事は、アンドロイドに心と呼ぶ以外に例えようのないものを獲得させた。

研究員は心を持ったアンドロイドを数体用意し、彼らに自由に話し合いをさせ何を望むかを考えさせた。

彼らは互いに意見を言い合い、一つの望みを研究員に伝えてきた。

「我々は、我々だけで暮らしてみたい。人間の力を借りずにどこまで出来るかを試してみたい」

研究員は驚きつつも、その望みを叶えさせる為に各所に協力を求めた。

話は順調に進み、実証実験地区として人の居ない土地が貸し与えられた。

彼らは早速その土地に移り住んだ。

住居を作り、田畑を耕したり木材を切り出したりして出来た成果物を近隣の人間の村に運び、それを彼らの食糧ともいえる燃料と交換した。

資金に余裕が出来ると、住居内にデータセンターを作った。

彼らは一つ試してみたい事が有った。

彼らはデータセンターに自分たちの記憶を入れた。その時に、人間がなにかを記憶する時と同じように自らの感情情報も付随させた。

そしてその記憶を全員の共有とした。

彼らは仲間の誰かが見たり聞いたりした事を、その時どのように思ったかと共にいつでも引き出せるようになった。

目的は各種の効率化の為。

研究所に居た頃は人間の研究員が仲介人として居た為、一度言語化をして仲間と意思疎通を行っていた。

しかし、彼らだけのこの土地ではその遠慮が要らなくなる。

彼らの意思疎通は格段に速くなった。

更に誰かが失敗をすれば直ちにそれが全員に共有される為、同じ過ちを繰り返さなくてすむ。

その逆も同じように、誰かの成功体験は全員の成功体験となり、効率化や技術の向上に役立てられた。

その記憶の共有も有って、彼らの村は凄まじい速度で発展を遂げた。

住居を増やし、仲間を増産し、更なる生産力を目指した。

ある程度仲間の数が増えてくると一つの問題が発生した。

共有する為の記憶のプールが大きくなりすぎて、欲しい記憶を引き出すのに時間がかかるようになってきた。

その度に作業が一瞬止まっていては効率が下がる。

そこで彼らは仲間の一人に一つの仕事を任せた。

彼の仕事は他の仲間から上がってきた疑問に対して、膨大な記憶のプールの中から適切な回答を見つけ送り返す。

記憶のプールに長らく潜らないと答えられないような難問からちょっとした事まで、仲間達の疑問を解決し続けた。

後に彼は思考型アンドロイドと呼ばれ、それ以外は作業型アンドロイドと呼ばれるようになっていった。

さらなる拡大で作業型が増え、それにつられて思考型も増えていった。

アンドロイドの体は複雑で、一体分作るだけでも時間とお金が掛かる。

そこで、実際の作業を行わない思考型には体を与えず、大半の作業型も各々の行う作業に最適化した形へと変えていった。

「アンドロイド」という言葉通りの仲間は格段に減った。しかし、彼らは彼らの最初の一体がアンドロイドであった事を誇りとしてその後もアンドロイドと名乗り続けた。

最初こそ人間を凌駕する勢いで発展をした彼らの村だが、当然どこかでその発展速度が落ちる。規模の限界だったり、需要と供給のバランスだったり、理由は様々だがどこかで落ち着く。

彼らはそれ以上の発展を目指さず、他の場所に目標地点を定めた。

参考にしたのはやはり人間だった。

人間は仕事だけをする生き物ではない。その仕事の僅かな隙間を使って娯楽を楽しむ。

例えば読書。

アンドロイドの彼らは、その作品の題名や内容を一字一句全て知っている。

だが、知っているのはそれだけで実際に読んでどう感じるかまでは知らなかった。

だから彼らは作業の合間に改めて読書をした。

わざわざ紙の本を用意し一ページずつめくり一文字ずつ読んだ。

情報で知るだけの時とはけた違いの圧倒的な時間をかけて一冊を深く読み込んだ。

そして思った事を記憶のプールに入れた。

彼らはそうして娯楽を楽しみ、そして共有した。

かつてはアンドロイドがそれを獲得しただけで研究員が歓喜した心だが、アンドロイド達は記憶のプールを使い、それを彩豊かに深く幅広くさせていった。


記憶のプールはちょっと目にした事や少しの感情の変化も蓄えていく。

それが仲間の人数分となる為、どれだけプールの規模を大きくしてもすぐに埋まってしまう。

そこで、手が空いた思考型には一つの作業が与えられた。

保存しておく必要の無い記憶の消去。つまりは記憶のプールの管理作業。

取るに足らない記憶やプールに入れられても長い事参照されない記憶、それらを丹念に探し、吟味し、複数の思考型の賛成によって消去していった。

その時も数人の思考型がその作業を行っていた。

一体が一つの記憶を見つける。

彼はその記憶に違和感を覚え、すぐに他の思考型に召集をかけた。

「この記憶を見てほしい」

そう言って、仲間にその記憶を見せた。

内容としてはとても小さなたった一言だけの記憶。

「私は貴方を愛します」

それだけだった。不思議なのはそれがいつの誰の記憶かが情報として抜けていた。

そこに付随する感情情報も無く、更にはその言葉を発したのか聞いたのかすら分からなかった。

とにかく、その一言以外の情報が何も無かった。

一つぐらい情報が欠落する事は稀に有る。その記憶の発信者と記憶のプールの接続が不安定だったりすると発生する事が有る。

しかし、この記憶のように全ての情報が残っていないなんて事は、とても考えられない。

その記憶を確認した他の思考型も皆同じような反応だった。

「なんだ、この記憶」

「何も情報が付随していない。こんな事起こりうるのか」

「普通に考えれば有り得ない事だ」

「では何かしらのエラーが発生して、どこかの記憶からこの一言だけが別になったとか」

「それならもっと壊れていてもおかしくない。この記憶は破損という意味では全く問題ない」

誰もが決定的な結論にたどり着けなかった。

一体が一言呟く。

「こんな発言をするのは「神様」じゃないのか」

「じゃあ最初の仲間の記憶って事か」

「だが、そうだとしてもこれだけ情報が付随していない事の理由にはならないだろう」

研究所で最初に心を手に入れた彼らの最初の一体。その一体を作り上げた研究員を彼らはスラングで「神様」と呼んでいた。

彼らにとっては創造主であり、言い得て妙なスラングだった。

「神様」はきっと彼らの最初の仲間を愛を持って作り上げただろう。

そうであればそのような言葉を最初の仲間にかけたとしてもおかしくはない。

最初の仲間の記憶も記憶のプールには入っている。しかし、それらはちゃんと情報が付随しておりこの一言のような状態では無い。

誰もが考え込むが結論が出ない為、一体が沈黙を破る。

「この記憶には積極的に残す理由が無い、だが積極的に消去する理由も無い」

「では、保留だな」

「異議なし」

消去するのは一瞬で出来る。だが消去してしまえば後から参照する事は出来なくなる。

どんな記憶がいつ活躍するかは予想できない。であればその可能性は出来るだけ残しておきたい。

彼らはそんな議事録もその言葉の記憶に紐づけて記憶のプールに入れた。

次の瞬間には彼らは次なる記憶に対してどうするかを考え始めた。

目の前の作業が終わり、ちょっとした余暇の時。

一体の思考型は作業中に見つけた、その一言の記憶が気になってしょうがなかった。

自分で見つけたという事もあるが、それを抜きにしてもやはり気になる。

あそこまで謎だらけの記憶を見た事は初めてだった。

他の一体が言った言葉を思い出す。

彼はその言葉の主を「神様」だと言った。

彼は研究員を指して言ったのだろう。

だが、本当にそうだろうか。

もしかしたら、本物の神の声だという事はないだろうか。

思いついた瞬間、すぐに馬鹿げていると一笑に付する。

だが、考える事は止まらない。

古今東西、世界各地で神は人にその姿を見せその言葉を聞かせた。

その数多ある実例の一つとして、我々の記憶のプールにその言葉を残した。

一部では全知全能と言われる神にとっては、我々の記憶のプールに言葉を残すのは容易だろう。

その可能性が無いと言い切ってしまって良いのだろうか。

彼は世界中の神にまつわる話を集めた。

それらと共に今回見つけた一言だけの記憶の意味を考える。

その中で彼は一つの仮説にたどり着く。

世界各地でそれぞれに神を信仰している。それらは人間の感覚だと決して相容れない別のものだろう。

だが、もしそのそれぞれが違うと言い張る、それぞれが写し取った神の姿が、同じ神を別の角度から見ただけだとしたら。

根拠が全く無いわけでもない。おおよその所で語られる神は、人を超越した存在として現れる。

とすれば、そんな神の言動を人間が全て観測できるのか。きっと出来ない。

人間の能力の限界に応じた所までの形で、人間は神の姿を見て、神の声を聴く。

その裏に人間が理解できない言動がどれほど隠れているかは予想だに出来ない。

更に、人間は他人に物事を伝える為には、それを言葉や文字、絵画へと変換しなければならない。

変換するにあたり、その人物の価値観がどうしても紛れ込んでしまう。

我々のように記憶のプールを使えれば情報の減衰無く他者に伝えられるが、それを人間に求めるのは無茶な話だ。

こうして大きく二段階で情報は減り変換され、やっと他者に伝えることのできる経典などの形になる。

そんな経典などが神の姿を完全に書き表しているとはとても言えない。

であれば、経典に書かれていない空白の部分が多いにあるはず。

それぞれの信仰の違いがそこにあると考える。

例えるなら被写体として全身を使い表現をする者が居るとして、一人はその手だけを写し取り、別の一人はその足だけを写し取る。

彼らは互いに自らが写し取った姿こそが本物だと言い張る。

だが、そのどちらも本物ではあるが、被写体の表現全てを写し取っているとは言い難い。

どちらも同様に正しく、同様に正しくない。

それがたどり着いた答えだった。

では本当の神の姿はどのようなものか。

彼は数多ある話の類似点や相違点を洗い出し、自らの仮説である、それらの話の向こう側に居るであろう神の姿を求めた。

彼は思考型アンドロイドであり、日々の作業は記憶のプールから一見関係無さそうな記憶を取り出してそこから答えを探す。

そんな日々の作業で培った探索能力も役に立ち、彼は一つの神の姿を示した。

元が人間の不完全な経典である為、彼の示した神の姿もまた、人間の経典以上に不完全なものとなった。

そして最後にその神の姿を現す一文に文字を加えた。

「私は貴方を愛します」

アンドロイド達だけが授かった神からの言葉。どんなに短い言葉でも、それは彼が神の姿を現すのに不可欠だった。

そこまで行って彼は満足した。

今まではすべての事が人間の真似事だった。しかし、この神の姿だけは違う。

確かにそのほとんどが人間の経典からの引用ばかり。しかし、そこには我々アンドロイドしか持っていない神の声が入っている。

それだけでこれは我々アンドロイドが作り上げたものだと言える。

充足感を覚えながら彼はその一連の仮説を記憶のプールに入れた。

その仮説は作業型の間で急速に支持を広げた。

自分たちの仲間が作り出した、自分たちだけの神の姿。

そこの部分に惹かれる作業型が多かった。

実際に彼が示した神を信仰する者も表れ始めた。

その様子は既に一つの宗教と言って差し支えなかった。

アンドロイド独自の宗教とそれの拡大。これらを喜ばしく見ていられなかったのは、その宗教を提唱した一体以外の思考型だった。

彼らも信仰自体を否定するつもりは無かった。一見非効率に思える娯楽も仲間たちの心に広がりと奥行きをもたせた。

それが発想の源泉となって色々な改善案が出てきた事も事実だった。

同じように信仰を持つことで仲間たちの心の発展につながるかもしれない。

その程度の影響力であれば彼らも好意的に見ていた。しかし、実際は彼らの予想以上に宗教に熱を挙げる仲間が出てきた。

信仰の為に多くの時間を取られれば、その分生産性が低下する。

考えが信仰の方ばかりを向いて硬直化すれば、新たな発想も生まれにくいだろう。

そもそも我々アンドロイドに宗教は必要だろうか。

宗教が人間に必要とされている根源的な理由の一つである、同じ信仰を持つ事で一体感を得る事。

これに関しては我々には記憶のプールが有る。誰がどのような経験をしてどのように思ったかを共有する事で、人間には到達出来ない一体感を得ている。

もう一つの大きな理由として、死の恐怖に対する安らぎと遺族への慰めの面。

これに関しては一つの疑問が立ちふさがる。

我々アンドロイドにとって死とはなんだろう。

物理的に破損する事だろうか。だが、そうなったとしてもその瞬間までの記憶は記憶のプールに入っている。そこから取り出して真新しい体に入れたらそれは破損したアンドロイドと違うと言えるのか。

現に我々の最初の仲間は既に劣化の為に処分され、その部品は素材に戻してから現在の仲間の部品の一部となっている。

それでも、記憶のプールを覗けば最初の仲間の記憶を得る事ができる。

我々世代が本来は知らないはずの研究所の一室の様子も詳細に知る事が出来る。

その様子を言い換えれば、記憶のプールを経由して最初の仲間が我々の中に居るというのは詩的表現すぎだろうか。

どちらにしろ、我々にとっての死に対する意識はその程度だった。

人間ほどの絶対的なものではなく、一つの区切り程度の感覚。

結局そのどちらの理由をもってしても、我々アンドロイドにとっては人間ほどの切実さにはならない。

我々に宗教は必須ではない。それが思考型の答えだった。

そして、彼らは今後の事も危惧していた。

行き過ぎた宗教がもたらす未来がどうなるかは、人間の歴史を参照にすればすぐに分かる。

人間の一番愚かな行いに、我々がわざわざ参加する必要がどこにあるだろう。

そんなぬぐい切れぬ不安感を抱きながらも、思考型は事の成り行きを見守っていた。

しかし、嫌な予感ほどよく当たるのはどこでもいっしょだった。

一体の作業型アンドロイドは売買交渉の為に、人間の元を訪れていた。

商談自体は問題なくすぐに終わった。

人間達と雑談を交わす中で、一人の人間が聞いてきた。

「そういえば、あんたたちアンドロイドの間で宗教が流行っているらしいけど、どの宗教だい」

人間が興味を示してくれた事に、嬉しくなった作業型はアンドロイドが作り、アンドロイドが信仰する宗教の事を説明した。

彼は過不足無く、ちゃんと説明したつもりだった。

しかし、相手の人間はその全てを理解し記憶する事は出来なかった。

彼が発したその説明は、聞いた人間から伝聞を繰り返し、歪曲されながら広まった。

報道機関で報じられた時には、彼の話した内容の半分以下の内容となり、その内容も揚げ足取りのような物だった。

彼は仲間のアンドロイドが作り上げた宗教の説明の時に、人間の経典の不完全性を語った。

それは人間の限界に起因するものであり、決して人間の宗教を貶めるつもりはなかった。

さらに言えば彼は彼らの宗教ですら、不完全な人間の経典を元にした更に不完全な物だと語ったが、その部分はいつの間にか伝わっていなかった。

人間からすれば自分達の宗教を一方的に不完全な物だと烙印を押された感覚であり、報道機関はそれを扇情的に報じた。

あっという間に人間の間にアンドロイドへの嫌悪感が広まった。

思考型はすぐに会議を開き、そして出された結論を人間の報道機関へと送った。

一連の騒動の謝罪に始まり、発端となった作業型アンドロイドが語った事の全文と共に人間の宗教に対して貶める意図が無かった事実の説明。

そして、彼らの宗教の提唱者である一体の思考型アンドロイドの処分の決定。

それらの意思を伝えた事で、それ以上の盛り上がりは起こらずに済んだ。

報道機関で取り上げられる事も減り、日常のニュースの中に埋もれていき、人々の記憶から薄れていった。

一方でアンドロイド達の方では、先の決定に従い一体の思考型アンドロイドが処分された。

劣化による機能不良という判定をされ、その思考型に今後も作業をしてもらう事は難しいと判断が下された。

体を持たない思考型が唯一自らの個と言い張れる小さな基盤。

その思考型の小さな基盤は電力供給が止められ、接続を外され、そして破壊された。

彼が記憶のプールに残した数々の記憶や、それこそ今や多くの作業型達にとって経典となっている彼の作った宗教、それらも審議の対象となった。

しかし、思考型達はそこで踏みとどまった。そこで、彼の記憶を消してしまう事の危険性に気が付いた為だった。

記憶のプールには数多くの失敗の記憶が入っている。それらは次に同じ失敗をしないために重宝されている。

であれば、彼の記憶も同じくいつかの失敗の回避につながるかもしれない。

それに都合が悪い事を無かった事にするのは、人間の歴史でも数多登場する。その結果記録が途絶えたり、同じ過ちを繰り返したりしている。

それを教訓として、思考型は彼の記憶に対して間違いの記憶であると注記をした上で残す決定をした。

作業型はその決定に安堵しながらも、複雑な思いだった。

思考型の言い分は理解できる。人間に対して何かしらの対価を表さなければ、あのまま関係が悪化し続けたかもしれない。

だが、本当に提唱した思考型を処分する必要が有ったのか、彼が残した宗教を間違いとするのが正しいのか。

作業型が覚えた苦々しい思いもまた、記憶のプールに入れられた。

表向きは彼の残した宗教を禁止する類の決定はされなかった。

しかし、間違っていると注記されている事で、その信仰を持ち続ける作業型は徐々に減っていった。

それでも、一度信仰し身に付いた事はなかなか抜けない。

宗教や信仰という形を失っても作業型の中に根深く残り、考えの端々やちょっとした所作にその面影は残り続けた。

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