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なんだろう?…良い匂いがする…
アレベは、寝ぼけた頭を左右に動かし、匂いの方向を辿る。
出汁の香り、聖美が毎朝作ってくれた味噌汁と同じ香りがする…
ガバリと起き上がった。寝巻きのままだったが、気にせず、キッチンへと駆け足で行った。
そこには、聖美が鍋をかき混ぜている姿があった。
「おはようございます!勝手に材料貰いましたけど、良かったですか?味噌が無くて困ったので、お隣から少しお借りしました」
お隣…どんなヤツが住んでいるのかすら、アレベには、記憶に無い。
それなのに、聖美は、この世界に来た翌日には、隣りの家で味噌を借りてきたる…
なんというコミユニケーション能力だ?と、アレベは、驚いた。
「さすがだな…」
「味噌汁は、毎日作ってますからね」
味噌汁もだが、違う意味で賞賛したのだが、どうやら伝わっていないらしい。
「さっき、隣の方から、アレベさんの彼女ですか?って聞かれて、驚きましたよ〜僕は男ですからって、答えんですけど…」
「あぁ、死神の世界には、男女の区別は無いが、やはり…聖美は、女性に見えるのか…」
「いや、僕は、どこからどう見ても!男ですよ?」
本人に自覚が無いらしい。
まぁ、男だろうが、女だろうが…可愛い人物は、その存在だけで、癒しになる。
「味噌汁…食べたい」
アレベそう言うと、聖美が嬉しそうに、お椀によそった。
久しぶりに食べた気がする。
ほんの数日の事なのに、懐かしさすら感じる。
「おばあちゃん直伝ですからね〜コレ。ポイントは、じゃがいもです。僕が一番好きだったのは、この具です」
「そうか…味噌汁は、奥が深いな」
「いやいや、大概の野菜は合うので万能なだけですよ…今度は豚汁にしましょう」
「とんじる?」
楽しみにしててくださいと笑顔で言われ、人間界でよ日常が一気に蘇ってきた。
「そういえば、こうやって同じ大きさで2人並んでご飯を食べるって、新鮮ですね」
アレベは、聖美の金銭的な事を考え、食費に響かないよう、食事摂取の際は、身体を小さくしていたから。
「確かにな…この世界にも良い事が、あるんだな。食事は気にしなくても、魔力で材料は出せるので、言ってくれ…作るのはお願いするがな」
アレベは、ここの世界での2人の暮らしが、再びまた、突然終わってしまわない事を祈らずにはいられなかった。




