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我が家へ…一歩入った聖美が大きな声を上げた。
純白の神殿は、薄暗い死神の世界では、特に輝いて見えるだろう…
「え、こんな素敵なとこに住んでるんですか!?」
「いや…多分、聖美が天使で、神の子だった頃は、もっと凄い所に住んでいたと思うぞ…」
何だか、申し訳ない気持ちになってくる。
アレベのせいで、二転三転…転がり堕ちた訳で。
「すまなかった…」
「だから、謝らないでくださいって」
「我は…何とかして…聖美を天界へ…戻してやりたい…それなのに、方法が分からない」
「それは、アレベさんも同じですよね?元は天使でしょ?」
「我は…死神でも、かまわぬ…さして、困っておらん」
「僕もですよ?」
そんな訳は絶対に無い…
勝手に連れてきたが、今も、本来なら、聖美は地獄の苦行を受けなくてはいけない身の上で。
天界へと戻れぬなら、せめて、地獄からの解放だけでもしてやりたい。
「提案なんだが、一緒に死神…をやらないか?」
「え?僕がですか?」
地獄から抜けれるとしたら、死神鳥に頼み込んで、死神の仕事をさせる…くらいしか、思い付かない。
その後は、また、天界へと戻る方法を少しづつ探れば…
遠回りになるかもしれないが…
一足飛びには、事が運びそうに無いので、今は…この案しか。
苦い顔になっていたのだろう…
聖美は、心配そうな顔で言った…
「僕に死神が務まりますか?」
出来そうに無いから、苦い顔をしているのだと受け取ったらしい
「いや、違う…聖美なら、仕事は出来るだろう…しかし、我らの仕事は、地獄へ送る事…果たしてそれが、優しいお前に出来るかどうか…」
「あぁ、なるほど…確かに辛いかもしれないです…特に御年寄には、弱いので…」
そうだよな…これは、難しいと、アレベは思った。
そうだ!
では、お手伝いにするのはどうだろうか?
それならば、裁く必要も無く、家事全般が出来る聖美には、適材適所と言える。
アレベは名案が思いついたとばかりに
「決まりだ!」
声に出していた。
そして、聖美の意向も聞かず、筆を執ると、すぐに内容をしたためた。
そのまま、死神鳥へと手紙を魔力を使い飛ばす。
返事を今か今かと待ち、まんじりともせず、イライラと動き回るアレベを見て、聖美も落ち着かなそうだった。
窓から手紙が凄いスピードで入ってきたかと思うと、ゆっくりと机の上に着地した。
封書から手紙を取り出すアレベの手が震える。
焦っているのが丸わかりだった。
「よしっ!」
アレベの顔に晴れやかな笑顔がさした。
聖美に向き直ると早口で言った
「聖美は、今日から我の助手兼家政夫だ!」
驚きの顔の聖美は、イマイチ状況が理解出来なかった。
ただ、非常に嬉しそうなアレベを見つめたのだった。




