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洞窟の奥は、出口の先の光も見えない程に、暗闇だった。
とにかく、歩き始めた。
焦る気持ちに追い立てられるように…足は速くなる。
しかし暫く進むと、ふと、足が止まる。
アレベは、自分のせいで人間界に落とされ、更にはそこでも裁かれ…地獄に堕ちるはめになった事を…聖美に言って、彼がどう反応するのかが…分からない。
そして、震える程に、怖いという感情が湧き上がってくる。
彼と生活を共にし、親密になったが故に、恐怖を感じる。
足が一気に重たく感じられた…
一歩進む度、行かない方が良いのでは…と逃げ出したくなった。
いや、それでも…例え、激怒されようとも…
二度と笑って貰えなくなったとしても…
行かなくてはいけない。
今、聖美が、どんな目に合っているのかも分からない…
アレベは、心を決めて、再び走り出した。
息が切れる程、走ったのは、いつぶりだろうか…
そもそも、空を飛ぶ方が速いので、走ることすら普段はしない。
走るのはどうにも苦手で、つい足がもつれそうになる。
しかし、この洞窟は不思議な力が掛けられてるのか…魔力が使えない。
という訳で、走るしかないのだ。
駆けて、駆けて…
出口を目指した。
やっと、抜けたと思ったが、太陽のもとのような明るさでは無い。曇りの日のようなどんよりとし暗さ。
赤黒い空が、頭上に広がっていた…
足元は、黒土と岩でボコボコした道…お世辞にも歩き易いとは言えないそこを、ジャリと音をさせ踏んだ。
既に遠くからは、悲鳴が聞こえる。
どんな拷問が行われているのか分からないが、空間すら切り裂くような叫び声から想像するに…
かなりの痛みや不快感等を伴うのなのだろう…
食事は、虫を食べる…と聞いた事がある。
国に寄っては、ある程度の耐性がある場合もあるが、日本人として生きていた聖美には、辛いだろう。
いつだったか、忘れたが、テッドから世間話の延長で、聞いた事がある。
地獄での様々な苦行の末に魂が浄化され、やっと解放され、輪廻のルートに戻れるらしく、それまでは、人間界での姿形や思考がほぼ残っているのだと…動物や植物には、地獄での苦行など無い。
死んだらまた輪廻ルートに戻るだけ…たまに、人間界への輪廻へと道が変わる物もいるらしい。
それは、人間も同じで…
人間だったから、かならず、再び人間に…という訳では無いと。
本人の希望など、聞いて貰えるはずもなく、全ては運、もしくは神の采配によって、次の生が決まる。
死神や天使が、何百年も生まれ変わらないのは、それとはまた別のルートがあるらしい。
2つの存在は、100年やそこらで、出来る仕事では無い故の、神の意思という事か。
それなのに、天使から堕とされたアレベと聖美。
しかも、聖美に至っては、神の子。
そう沢山の人数がいる訳では無い…神の子は、5人だけだ。
相当な事が無いと…人間界への輪廻ルートに回される事はありえない。
何か…策略で貶められたとしか考えようが無い。
神の子も特別な待遇は無く、人間界へも堕とされるし、地獄へも堕とされるのか。
天使と死神の仕事は、遠いようで近い、どちらも、死を与え、魂を導くのが仕事である。
たまに死を扱うという内容に耐えきれず、辞める申告をする死神も居るが…
アレベの周りも、数百年変わらないメンバーなので、日常に安心はしているが…逆に言うと、変化が無く凡庸な日々だ。
そんな事を考えていると、聞きこ覚えのある声が耳に入った。
聖美?




