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聖美は、今日も安定感のあるお人好しっぷりを発揮している。

今朝から3人目となる、おばあさんを助けていた。

1人目は、お財布の中身をぶちまけたのを手伝い。

2人目は、赤信号なのに渡ろうとした所を止めに入り、危うく聖美が、引かれかけていた。

3人目は…認知症なのだろうか?言っている事が、支離滅裂な上に、何度も同じ事を繰り返し訴えられていた。

優しく頷きながら、話を聞いていると、向こうから慌てて、年配の女性が走ってきた。


「すいません!うちのばあちゃんが!」

髪を振り乱し、苦しそうな顔の彼女を、聖美は、(なだ)める。大丈夫ですよ…と何度も繰り返していると、ホッとしたのか、急に泣き出した彼女の背中をさすっていた。


聖美はそんな風に、毎日、誰かを助けている。

時々、悪い輩が寄ってくるが、それはそれで…あまりの聖美の人の良さそうな感じに、なけなしの良心が痛むのか…意外にも、騙される事は無かった。


聖美は、アレベと同じく元天使なのでは無いかと思う時がある…

人間らしい感情が、逆に欠けている。

喜怒哀楽の怒りの部分が…異様な程に抜けている。

あとは、嫉妬とか羨望、そして卑下など…マイナス感情が薄い。


彼女を作ろうとしないというか、恋愛感情が見えないのも、それだと納得出来る。

同じく元天使…か。

聖美も堕天使だとしたら…彼はどんな罪を犯したのだろう。

アレベ自身、どんな大罪を犯したのか記憶が無いので、何とも言えないが。


元が同じ種族なのだとしたら…アレベが妙に惹かれ、護りたくなるのも、分かる気がした。

しかし、死神のアレベは、他への興味が薄かった自分を思うと、もし、何か…関係性があるかもしないとしたら、もっと深い繋がり…か。

全ては過去で繋がっている予感がした。


裁きの対象になっているのも、アレベが、堕天使なのも…聖美が元天使だとしたら…

人間界から天界に戻す為の裁きかもしれないと…思い始めていた。


それでも、推測でしか無く、決定事項となるものは、何一つ無いので、アレベは、毎日の修行を欠かさなかった。

既に肩まで具現化する事が出来ていた。

物を持って動かす事も可能としていた。

ゴミ箱にゴミを捨てられた時の喜び。

時々、雑巾で床掃除をしたり、窓を拭いてみたり、家の中での作業が出来ることがあるのは、喜びでしかなかった。

居候から、少しだけお手伝いさんにレベルアップした気がする。


聖美と一緒に居る時に、物が落ち、つい拾いかけた。

危うくバレてしまうところだった。

完全に取得してからお披露目したいので、中途半端な今は、まだ、隠しておきたいのだ。


アレベは、この世界の初心者であり、そして、話す相手は聖美しか居ない。

だからこそ、聖美はアレベに本心を見せ、弱さを露呈しているのかもしれなかった。

アレベから誰かに伝わる事は無く、安心して吐露できる相手として。

まぁ、それでも、聖美の弱さは、優しさ故の物。


今日あった出来事を頷きながら聞いているだけ。

嬉しそうに話す聖美に、逆にこちらが癒されていた。

人を悪く言わないということがどれだけ困難か、知っているだけに、いつも感心する。

自分を放置している両親についても、恨み言を言うわけでも無く。

元気にしてると良いんだけどね…なんて、言う始末で。

呆れる程に、人が良い。


「まだ、帰らないでね…」

少し寂しそうに言われると、なんと返事したら良いのか困る。

旅行に来て迷った…と初めに言っただけで、長い事、迷ってるアレベを追い出すどころか、帰るな…となどと言う。

アレベの気分次第で、此処に居るのだと思っているのだろう。

本当は違うのに…

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