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別に…フテたという訳では無い…

でも、何となく…仲良くしてる聖美と葉名を、只々見ているだけなのが、嫌になってしまったアレベは、そっとその場を離れた。


スーッと上昇し、屋根をすり抜け…

青く広がる空の、ど真ん中で、一人ゴロンと転がった。

フワリフワリと浮いて、上空の雲を眺める。


聖美が友達と仲良くするのは、もちろん良い事だと思う。

しかも、葉名は、門田を怒ってくれた頼もしい友達なんだろうと思うのに、アレベは、頭では理解するが、心が拒否してしまいそうになる。

それは多分、葉名が聖美に密やかな好意を持っているから。

アレベは、今の聖美との同居が居心地が良すぎて、このままが続けば良いと思ってしまっている事に、ハッとした。

そんな事は、不可能なのに…

そして、恋人が出来たら、完全に邪魔者にしかならない事を分かってしまったが故に、今の上空でのフテ寝だ。


しかし、アレベは、ジワジワと迫るこの穏やかで無い感情の持って行き場が無いと分かり始めていた。

嫉妬…

死神が嫉妬するなど聞いた事も無い。

能力に対しての嫉妬はある。

階級への嫉妬や待遇への嫉妬。

それとは…微妙に違う。

そもそも、アレベは、嫉妬される事はあっても、自分が誰かに嫉妬するなど、有り得ないと思っていた。


葉名は、悪い人間では無い。

むしろ、聖美にとっては、当たり前に、恋人になっても良い人間だ。

それなのに…

恋人がどうとか、家族がどうとかでは無く、アレベは、聖美にとって、一番の存在でいたいと思い始めている。

どういう立場で…とかでは無い。

もしかしたら…独占欲と呼ばれるモノか。

やっと気持ちが見えて、スッキリした反面、非常に困ってしまった。

死神が、そんな感情を持つ必要など無い。

聖美に取っても迷惑であろう。

しかも、聖美の元から、ゆくゆくは去らなくてはならないのに…アレベは、彼に執着しているという事。


このまま一緒に居ると、別れは辛くなる一方だ。

死神鳥からの連絡をジリジリする想いで待っているというのに、うんともすんとも…連絡が来ない。


モヤモヤした感情を持ったまま、アレベは、再び聖美の部屋へ戻った。

そこには、葉名の姿は無い。

もう、帰ったのか…と思っていると、大声の聖美が声を掛けてきた。


「アレベさん!!よ、良かったぁ…急に屋根をすり抜けて行っちゃったから、もしかして、天界へ帰ってしまったのかと…本当に…どうしようかと」

「すまん…ちょっと散歩だ」

見られていたとは思わなかった。

聖美は、葉名との会話に夢中なんだと思っていたから。


「もう、会えないのかと思って…僕は…どこを探したらいいのかも知らないし、なんだか、迷子になった子どもみたいな気分でしたよ…」

「今度からは、一声かける…約束する…」

祖母を亡くしたばかりの聖美に取って、アレベが側にいる事は、寂しさを紛らわせる一つの事になっているのだろう。

半泣きの顔の聖美の頭を撫でる振りをした。

触れられないのは、こういう時、非常に虚しく感じる。


「葉名は、どうした?」

「あぁ、帰りましたよ…」

「帰して良かったのか?我は邪魔なのでは…無いかと思い、少し離れたのは…それでだ」

「なんでですか?葉名ちゃんは、友達ですから、アレベさん…も、僕の友達…です。迷惑かもしれないけど…」

照れながら言う聖美は、可愛いかった。

愛おしい存在というのは、こういう事だろう。

庇護しなくてはイケナイ気持ちになる。


やはり、護るべきであって、他の感情は、捨てなくては…とアレベは思った。



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