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今日は、葉名(はな)が家に遊びに来るのだという。

アレベがこの家に居候を始めてから一ヶ月、聖美(さとみ)の家には今まで、友人が訪ねて来た事は無い…

というか、忙しくてそれ所では無かったというのが正しい気がした。

早朝のアルバイトに、大学の授業、家に帰ってからは、レポート課題に取り組み、空いた時間で、近所の小学生の家庭教師のアルバイトもやっていた。


昨夜も寝る時間を削り、レポート課題をしている聖美を眺めていたら、そこには…“門田”の文字が見えた気がして、改めて凝視すると…

なんと、聖美は…門田のレポート課題まで、してやっていたのだ。


「聖美…それは本当にダメだと思うぞ…」

一応注意はしたが…しかし、変なとこで頑固な聖美は、アレベに返答した

「門田さん、今、体調崩してるんですよ…可哀想じゃないですか…レポート課題出さないと落第まであと一歩らしいんですよ?」

それは、自業自得というヤツだぞ…とアレベは言いたかったが、聖美があまりに真剣な表情の上、少し涙目の聖美を攻める事など出来ず、そもそもは、門田が悪いのに、聖美を攻めるなど…お門違いだと思った。


ふぅっと溜息をついて、夜遅くまで頑張る聖美の横に居た。

コクリコクリと眠気に襲われた聖美に声を掛け、現実世界へと引き戻すのがアレべの役目で、何度も声を掛けた。


しまいには…あまりに何度も寝落ちするので、相当疲れているのが分かり、身体を壊してしまうのでは無いかと心配になってきて、もう寝た方が良いんでは無いかと思い直し、結局、起こすのは辞めた。


朝日が窓から差し込み始め…、聖美はカバリと飛び起きた。


「アレベさ〜ん!何で起こしてくれなかったんですかぁ!」

「すまんな…我も寝てしまった故な…」

これは全くの嘘だが、そう言うしか無い。

死神は基本的には、寝なくても困らない。

しかしながら、ずっと起きているのは、時間をあまりにも持て余してしまう為、仕方無く眠るようにしているだけだった。

聖美は、そんな死神事情を知らないから、自分が攻めてしまった事に落ち込み

「そっか、すいませんでした。ワガママ言って…」

なんて謝ってきた。


「そもそもは、門田自身の問題であって、聖美がそれを手伝う必要など無い…と我は思う」

ぴしりと言った。

それを聞いた聖美は、シュンとしてしまった。

ここに来て、初めてくらいのキツイ言葉だったからだろう。

普段、聖美のする事を否定する事など無い。

今回は、サボった奴なんかの為に、聖美が身体を壊すのでは無いか…と心配になったから出てしまった言葉。


「いや、我は…聖美の身体が心配だっただけだ…」

「アレベさんは、誰かの為に…って行動した事は、無いですか?」

真剣な表情で聞いてくる。

思い当たる事は、一つあった。

今…地獄でシャカリキに罰を浴びてるであろう彼を…思い出した。


「我も…ある。助けてやりたいと思い、少し無理をした…」

聖美の顔が輝いたが、アレベは言った

「しかし…正解かどうかは、今も分からぬし、悩んでいる。だから聖美も、本当に相手の為になるなら、助ければ良いが、可哀想だから…は、安直であろう?」

聖美はハッとした顔をしたかと思うと、俯いた。


「そうですね…門田さんには、ちゃんと言います」

優しいだけではダメなのだと、何でもかんでも自己犠牲してはダメだと…

アレベの想いは伝わっただろうか?


他人の意見を素直に聞けるのは、聖美の良いところだが、もう少し、自己肯定と譲れない想いというのも持たせてやりたいと。

導きたい…と思うのは、やはり元天使の性分なのかもしれないな…とアレベは思った。


ピンポン。


葉名が来たのだろう。聖美が玄関へと向かった。

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