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食事や寝床のお礼に、アレベも何か、聖実の望む事をしてやりたいと思って、色々と考えていた。
しかしながら、物体に触れる事は出来ず…
掃除を変わりにしてやる事も、料理を作る事も…
まぁ、そもそもそんな事は出来ないが。
アレベに出来る事と唯一の事と言えば…裁きを下す事。それは、今すべき事では全く無い。
あとは…美麗なる容姿を活かした天使のフリ…
そうか、それがあった!と、思い出す。
「なぁ、聖実…お前の何かお気に入りの漫画などのキャラクターは居ないのか?」
「え?お気に入りですか…」
「あぁ、出来れば…蒼銀髪のキャラクターだと尚良しだが…」
突然の質問に、聖実の顔にはハテナが浮かんでいる。
しばらく考えて、やっと口を開いた。
「えっと…異世界転生シェルターのザラビーってキャラクターですかね…えっと…」
聖実は、本棚から漫画を一冊取り出した。
パラパラとめくると、あるページを開き、アレベに見せた。
そこには、確かに蒼銀髪で美形なキャラクターが…
しかし、アレベのように腰までの長髪では無く、肩までの髪の長さ…
うーん、髪の長さなど…変えれるだろうか…と悩みながら、一心に念じてみる。
スーッとアレベの綺麗な蒼銀髪は、肩の辺りまで縮んだ。
「おーーーー!アレベさんって、髪の長さ自由自在?」
パチパチと拍手ししてくれた。
フフンって感じのドヤ顔をしてしまうアレべは
「まぁ、見ていろ…出来るかは、分からぬがな…」
と呟くと、天界の人間にしか分からない言葉を唱えた。
辺りに青白い閃光が放たれた。
聖実は、あまりの眩さに開けていられなくなり、両方の瞳をグッと閉じた。
「聖実…瞳を開けてみろ…」
言われた聖実が恐る恐る開いた瞳の前には、さっき、開いたページの…
「ザラビー?え?ザラビー、そっくり!!衣装まで!え、えっ?待って待って!もしかして本物?」
真っ白の甲冑を着たアレベは、まさに…漫画の世界から飛び出したような出で立ち。
その清廉なるその姿は、神々しさすら感じる。
驚きの余り、しばらくの間、息を吸うのを忘れていた聖実は、突然、ゴホンゴホンと盛大に咳き込んだ。
大丈夫か?と、背中を叩いてやったアレベは、苦笑いだった。
「どうだ?似合うか?」
「似合うどころか…そのものです…アレベさんは、何にでもなれるのですか?」
「いや、髪型を変えれるというのは、今初めて知ったし、着ている者の変換も、やってみたら出来た…むしろ、我も驚いている」
「ありがとうございます…夢みたいです。めちゃくちゃかっこいいです!!」
「そうか、いつも、色々迷惑をかけてすまんな…」
「わぁ〜そのセリフ、漫画と同じです!」
すっかり気を良くしたアレベは、それっぽいポーズを取ったりしていた。
写真に撮れないのが、残念です…と地団駄を踏んで悔しがる聖実に言った
「そんな記録に残されるのは、恥ずかしいぞ」
また、そのうちにな…と、元の姿に戻った。
聖実は、酷く残念そうにしたが、ハッとしたような顔になり、アレベに言ってくる…
「アレベさん、ご無理しないでくださいね…それって魔力とか、なんか…色々疲れそうですから」
まぁ言われて気付いたが、確かに…少し疲れた。
「楽しんで貰えたなら、良かったよ」
「はぃっ!また、頑張ってご飯作るので、ほんの少しだけで良いんで、ザラビーコスプレ、おかわりお願いしたいです!」
「コスプレ…そうか、これは…コスプレか」
ふむふむとアレベは納得した。
天使コスプレから、漫画のキャラコスプレへとレベルアップしたらしい。
なんだか、明るい音楽でも鳴り響きそうだ。
ほんの少し、恩返しが出来たようで、気持ちが満たされたアレベだった。




