SideStory 国宝
「わぁ。キレイ」
ルイスに着けてもらったキラキラ光るネックレスをミサキは嬉しそうに眺めた。
少し透けていそうなのに固く、まるでオパールのように白にも黄色にも赤にも見える不思議なネックレス。
「ドラゴンの逆鱗だ」
結婚式には間に合わなかったと言いながらルイスはミサキを後ろから抱きしめた。
「えっ? 逆鱗? ってあの時のドラゴンの?」
「あぁ」
「で、でも逆鱗って1個しかないんでしょう?」
こんなにスゴいのもらって良いの? と焦るミサキ。
ルイスは青い眼を細めながら微笑むとミサキの細い首に顔を埋めた。
「逆鱗はお守りだ」
ルイスの柔らかい金髪がミサキの首をくすぐる。
「みんなにもらったイノシシの牙もお守りだよね」
「あぁ。だが牙は肌に刺さると危ないから飾っておこう」
右手が使えないミサキは一人でネックレスの着け外しが出来ない。
王都に帰ってからイノシシの牙を着けてくれないのはどうしてなのか疑問だったが、牙が危ないからだったのか。
「ありがと、ルイス」
「コレは丸く加工してもらったからずっとつけていても大丈夫だ」
取りたい時は言えというルイスにミサキは微笑んだ。
「……なんて言っているけれど、ただの独占欲だよね」
やれやれと補佐官ディーが笑う。
「心が狭いっすねー」
「他の男にもらったイノシシの牙を着けさせたくないって正直に言えば良いのに」
「国王陛下に逆鱗くれって頼んだって本当?」
「ホント。結婚祝いにくれって」
国宝にしようと思っていた宰相が困っていたとディーがバラすと、みんなの視線は一気にミサキに向いた。
「……え? みんなどうしたの?」
後ろから抱きしめられながら首を傾げるミサキ。
「……国宝か」
「まぁ、存在そのものが国宝か」
「国宝が国宝をつけている」
「いや、国宝をつけた国宝を、国宝を振り回す男が抱えている」
国宝『逆鱗』のネックレスをつけた人間国宝『ミサキ』を、国宝『聖剣』を持つルイスが抱えているのだ。
「ココ、危ないじゃん!」
ジョンの言葉に頷くガイルとリッキー。
「しっかり護衛しろよ」
国よりも大切だとルイスはミサキを抱えながら微笑んだ。




