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王子の溺愛があったとしても、言葉が通じない異世界でドラゴン討伐なんて無理!  作者: 和泉


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42. 王宮

「……ナタリー!」

 2日後、別邸にドレスを持って訪れた侍女長ナタリーと騎士ニックにミサキは目を潤ませた。


「ごめんなさい、ごめんなさい」

 勝手にいなくなってごめんなさいと謝るミサキをナタリーはそっと抱きしめた。


『ご無事でよかったです』

 母に抱きしめられたような安堵感にミサキが切なそうに微笑む。

 目が合った騎士ニックも優しく微笑んでくれた。


「さぁ、着替えです!」

「え? 待って、ナタリー。それ」

 ニックが持たされているのは、レオナルドとデートしたときに着ていた豪華なドレス。


 え? それを着るの?

 何で? いや、待って。

 これを着て、レオナルドに謝りに行くとかそういうオチ?


「き、着ない」

「ダメです」

 首を横に振るミサキを騎士達が笑う。


「ル、ルイス」

 助けてとルイスを見ると、ルイスは「着る」と答えた。


 なんでー!?


 ルイスに深々とお辞儀をするナタリーとニック。

 まさかの顔見知り!?


 助けてくれる人が誰もいない状況の中、ミサキはルイスの部屋へ連行された。


『こんな傷が……こんな危険だったなんて……』

 目を潤ませ、ミサキの傷を見るナタリー。


 シャワーを浴び、薬を塗りサラシを巻いてドレスに着替える。

 以前よりもさらに細くなってしまったミサキを見たナタリーはツラい旅だったのだと目を伏せた。


 うわー。

 もともとドレスだけでも重くて辛かったのに、背中と肩が痛くて無理!

 歩けない!

 いやいや、無理!


「ナタリー、ノー。ドレス、ノー」

 左手で右肩に触れると、痛いのだとナタリーは察してくれた。


 急いでドレスを脱がせ、王宮で着ていたワンピースに替えてくれる。

 髪にはいい匂いの液体を塗り、上だけ編み込みに。

 軽いメイクもしてくれて以前のように別人の誕生だ。


 最後にシュッと良い匂いの香水がかけられた。


「ありがとう、ナタリー」

 この姿をルイスが見たら驚くだろうか?

 騎士のみんなは可愛いと言ってくれるかな。


 ナタリーに連れられてリビングに降りると、騎士達はミサキに注目した。


『え? マジ?』

『めっちゃ可愛いんだけど』

「ミサキ、可愛い!」

『サイコー!』

 わぁ! と盛り上がる騎士達。


『ドレスは?』

『痛いとおっしゃって、着られませんでした』

 ディーに質問されたナタリーは着てみたけれど、痛くて立つのも無理だったと説明した。


「……ミサキ、可愛い」

 綺麗なレースのワンピースを着用したミサキにルイスの青い眼が揺れる。


 待ってー!

 ルイス、教会で着ていたキラキラ服!

 ディーもあんなようなのを着ていた気がする!


 ということは、今日行くのは教会?


 えー、マズいよ。

 追い出されたんだもん。


「ルイス、えっと、行く?」

 手でお祈りポーズを取るミサキ。


 教会へ行くのかと聞いているのだろう。

 ルイスは首を横に振った。


『王宮』

 知らない単語にミサキが首を傾げる。


「大丈夫」

 腰を抱き支えてくれるルイス。


 教会で着ていた白いキラキラ服は、いつもの黒い服よりも大きく見える。

 たくましさ倍増だ。

 あの時、大きなルイスが怖そうな顔をしていて怯えたんだよね。


 こんなに優しいのに。


「ミサキ、可愛い」

 耳元で囁くのは犯罪だ!


「あ、ありがと」

 ミサキは真っ赤な顔でルイスに答えた。


 馬車に乗り王宮へ。

 馬車はまたルイスの膝の上だ。

 前はこのまま寝ちゃったんだよね。

 チラッとルイスを見ると、綺麗な青い眼と目が合ってしまった。


「大丈夫か?」

 そっと背中を触ってくれるルイス。

 ミサキは大丈夫だと微笑んだ。


 いやー! 待って!

 ここも来てはいけないところ!

 逃げ出した王宮の入口を馬車がくぐり、薔薇が咲いていた場所を通り過ぎ、噴水が見える場所で止まる。


「ノー、ここ、ノー」

 ルイス達は私が王宮から逃げ出したって知らないのかもしれない。

 降りたくないとアピールするミサキにルイスは困った顔で微笑んだ。


「……レオナルド、ノー?」

 もう咲いていない薔薇園を指差しながらルイスが苦笑する。


 えっ?

 知っている?

 何で?


 驚いたミサキがディーを見ると、ディーも困った顔で微笑んだ。


 ディーも知っているの?

 なんで?


 騎士達がドラゴンの素材を赤い布が敷かれた木の板の上に並べていく。


「大丈夫。ミサキ、大丈夫」

 何度も大丈夫だと言われたミサキは、渋々馬車を降りた。


 ルイスに支えられながら建物の中へ。

 逃げ出すときに通った扉ではなく、もっと大きくて豪華な扉。

 赤絨毯が敷かれた廊下を豪華な装飾品と大勢の人達の拍手に囲まれながら進む。


「……大丈夫」

 不安そうな顔を察してくれたのだろうか?

 ルイスは耳元で大丈夫だと囁いた。


 大きな扉が開かれると、中にも大勢の人たち。


 うわー、あの人って国王陛下?

 漫画でよく見る謁見の間ってやつ?


 国王陛下は白髭のお爺さんだ。

 でも奥さん3人?

 えー、もしかしてこの世界は奥さん何人でもOKな世界?


 すぐ下の段には、男性と女性が2人。

 そして金髪キラキラ王子のレオナルドの姿。


 ミサキの身体がビクッと反応する。

 ルイスはミサキがレオナルドに気づいたことを確認し、切なそうに微笑んだ。


 じゃぁ、おじいさんが国王陛下で、その下のおじさんが次の国王で、その息子がレオナルドって事?

 

 あ、あの人はディーのお父さん。

 わー、眼鏡もいる。

 怒っているかな?


 ごめんなさい、ごめんなさい。

 逃げてごめんなさい。


 ミサキは心の中で謝罪しながらルイスに連れられ赤い絨毯の上を歩いた。


 騎士達がドラゴンの素材を献上し、後へ下がると盛大な拍手が止む。


『ルイス、此度はドラゴン討伐ご苦労だった』

『ただいま戻りました』

 ルイスがお辞儀をすると騎士達も合わせてお辞儀をする。

 再び盛大な拍手が鳴り響き、ミサキはどうしたらよいのかわからず目を泳がせた。

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