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王子の溺愛があったとしても、言葉が通じない異世界でドラゴン討伐なんて無理!  作者: 和泉


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26. 買い物

 一軒目は剣や防具の店。


 えっ?

 もしかして私も剣を持つの?

 

 店の奥に置いてあった服はディーに借りた服に似ている。

 あ、ディーの服は普通の服じゃなかったんだ。


『でかいな。この子に合うサイズはどこで買える?』

『ここを真っ直ぐ行って右に行った店が女用の店だ』

『そうか』


 何も買わずに二軒目へ。


 二軒目はさっきよりも花柄やきれいな色が多い。

 女性用の店?


『こいつに服と靴。冒険者用で』

『何色が良い?』

 おい、そんな無茶振りはやめろ。と思いながらもミサキの近くにあった服を適当に見せる。


 黒、青、赤、ピンクのシャツを見せると、ミサキは黒を指差した。


『黒?』

 もっと綺麗な色を選ぶんじゃないのか?

 王宮に出入りしていた令嬢達は赤やピンクのドレスが多かった。


「ズボン」

 ズボンを指差すとミサキは躊躇いながら黒いズボンを選んだ。


『そっちも黒かよ。下着も頼む。靴は適当に履かせて本人が気に入った物を』

「ありがとうございま〜す!」

 試着室に案内されたミサキは戸惑った。


 いやいや、こんなセクシー下着は無理!

 スタイルの良いセクシーお姉様じゃなければただの事故だ。


 下着も選ばせてもらい、服を着たが、ウエストがぶかぶかだった。


『あらやだ、細いわ。ちゃんと食べている?』

 ツーサイズ小さいズボンと交換し、ついでにベルトもつけるとようやくちょうどいいサイズに。


 着心地は良い。

 値段は単位がわからないけれどシャツが5000。

 5000円って思えば良いのかな?

 ズボン9000、下着が上下で6000だ。


「はい、靴」

 靴下を履き、ブーツっぽい靴を履く。

 こっちのブーツは重いのでたくさん歩くと疲れそう。

 こっちは軽いけれど足に合っていない。


 何足か履かせてもらい、ようやくミサキは靴を決めた。


『お待たせ。黒で地味だけど元が良いのね、可愛いわ。この子』

 店員の言葉に振り返ったルイスは驚いた。

 

 ディーのぶかぶかな服ではなく、ピッタリサイズの服を着たミサキ。

 

 こんなに細い身体であの長い距離を文句も言わずに歩いていたなんて。

 騎士達は少しゆっくり歩いたが、それでもこんなに筋肉がない足でついていくのは大変だっただろう。

 夜もすぐに寝てしまうはずだ。

 

『……悪かったな』

 もう少し配慮してやればよかった。

 謝罪の言葉を呟くルイスに店員は首を傾げた。


『これから北へ行くんだ。これに上着を頼む』

 少し長めで腰が隠れる物と注文するルイスに店員は微笑んだ。


『長い方が似合いそうよね』

『違っ、その方が暖かいだろ』

 焦るルイスを笑う店員のお姉さんにベージュの上着を渡されたミサキは、とりあえず羽織った。


『いいじゃない。可愛いわ』

 ミサキを鏡の前に連れて行き、上着を見せる。


 あ、普通に可愛い。

 東京で売っていても普通に買ったかもしれないコートだ。

 少し白っぽいベージュが可愛い。

 暖かいけれど軽くて不思議。

 素材はなんだろう?


『あとは、プラスで下着を2セットと中の服を似た感じで適当に』

 よくわからないうちにズボンも服も選ばれていく。

 ズボンは黒をもう一着、上は黄色、下着は色違いをお姉さんは選び、ルイスに見せた。


『もっとセクシーな方が良いわよね? この子はこんなの選んだけれど』

『いや、任せる』

 フイッと横を向くルイス。

 

 お姉さん! 下着をルイスに見せないで!

 真っ赤な顔で焦るミサキを店員のお姉さんは笑った。

 

『軽いカバンもくれ』

 着替えが入る大きさで丈夫なやつとルイスが指定する。


 お姉さんは茶色の斜めがけをミサキにかけた。


 軽い!

 え? なんで?

 皮っぽいのに、やる気のないトートバッグくらい軽い!


「OK?」

 ルイスに聞かれたミサキは頷いた。


 着てきた服と買った服はお姉さんがカバンに綺麗に入れてくれた。

 支払いはルイスがしてくれる。

 カバンも当然のようにルイスが持った。


「ありがとう、ルイス」

 ミサキがあざとい角度でお礼を言うと、ルイスはミサキの頭をグリッと撫でる。

 まるで小さな男の子の頭を撫でるかのようだ。


『櫛はどこで買える?』

『斜め前の緑の看板の店』

 ルイスはお姉さんが指差した店へミサキを連れていく。

 鏡と櫛を買い、ミサキのカバンに入れた。


『ノートとペン!』

 これがあればもう少し言葉を覚えられるかもしれない。

 ミサキは手に持ったままどうやってルイスに頼もうか考えた。

 買ってという単語がわからないからだ。


『欲しいのか?』

 そんな物が欲しいのか?

 ヒョイとミサキの手から取り上げ支払いを済ませるルイス。


「ありがとう」

 今日一番嬉しそうな顔をするミサキをルイスは不思議そうに見つめた。

 

 次の店では寝る時用のラフな服を購入、その次の店では綺麗なタオルを買ってくれた。


 ルイス、買いすぎ!

 こんなにたくさん買ってもらったけれど、良いのかな?


 最後に行ったのは紅茶とケーキの店。


「おいしい」

 久しぶりの甘い物が嬉しすぎる!


『……甘いな』

 一緒にイチゴのケーキを食べる姿が似合わなすぎてミサキは笑った。


『……笑った方がいいな』

 泣きそうな顔より良いとルイスが呟いてもミサキにはわからない。


 兄レオナルドの嫁になる娘。

 頭ではわかっているけれど目が離せない。


 こんな事は初めてだ。


 ワンピースを見せたら首を横に振った。

 買ったのは必要最低限。

 唯一、本人が欲しがったのはノートとペンだ。


 貴族の令嬢はドレスや宝石を欲しがり、冒険者の女は金を、街の娘は寵愛を欲しがった。

 

 ミサキはどれにも当てはまらない。

 兄レオナルドがいるので自分に媚びる必要はないのだろう。


 不思議な娘。

 聖女とはこういうものなのか。


 ルイスは甘酸っぱいイチゴを頬張るミサキを見ながら温かい紅茶を口に含んだ。

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