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蚕と化け物と異世界と  作者: 空飛びパスタ
6/8

幕間:一方その頃......

......枯木工房。

カイコが持つ会社であり、カイコにとって唯一の家でもあるこの会社。

主に製造などを行っており、様々な用途に合わせた機械を作り、

時には既にありながらも潰れてしまってパーツが取り寄せれない機械の修理に必要なパーツ製造など......

幅広いビジネスを展開している大手企業である。

そんな会社ビルのとある一室、会議室では社内に居る重役が数人だけだが揃って会議をしていた。


「トリガーの転移システムを受信したのに作動しなかった?」


そういう濃い茶髪の女性の名はカブト。

主にパーツの運搬や流通を管理する役職に付いている。


「はい。TRIGGERシステム・・・異世界に転移される社長が自らが作り、

一般でも稀に発生する転移事件や事故の発生後にすぐに元の場所に帰れるように作られた近未来の転移システムです」


説明をしている黒い髪に所々黄緑色のメッシュが入った女性の名はアゲハ

カイコの秘書の一人であり、勤務中のカイコの身の回りの世話など様々なサポートをしている。


「アゲハちゃんの言う通り、このシステムのおかげでこの世界及びこの都市に発生している異世界転移事件の解決数が爆発的に上がったもんやねぇ。

それはもう消えずにボォボォ燃え盛る火事状態から天から大雨が降って鎮火された恵の雨の如くになぁ・・・」


色っぽく、そして緩やかな口調で言う黒髪に紫色のメッシュを入れている女性の名はクロアゲハ

同じくカイコの秘書であり、このような色気ある見た目と口調であるが仕事をキッチリこなすベテラン秘書である。


「クロハちゃんの言う通り、社長の作ったこのトリガーはこの世界に大きな革命とも言える投資が与えられたと言えます。

運搬・旅行・運航といった様々なビジネスがこのシステムに着目し、改良され、今ではこの世界に無くてはならないシステムとなりました。」

「まぁそのおかげでこの会社がここまででっかくなったわけだしな」

「カブトちゃんの言う通りです。・・・ですが、このトリガーは本来社長の特殊体質に対応するために作られたものです」

「それがどういうわけか反応はしたものの、社長は戻らず仕舞い・・・と・・・」


そう話し合っているとドアが開き、少し汗を掻きながらハァハァと息を切らしながら一人の男が入ってくる。

名をクワガタ。

カブトとは幼馴染の間柄だが少し犬猿の仲に近いが仕事はしっかりとこなしており、

主な仕事の役割は社内にある製造工場の管理などを行っており、自らも製造に携わっている。

遅れたのもその仕事の影響によるものだろう。


「すまん遅れた!」

「クワガ、遅いぞ。社長なら許してくれるだろうが、私は許さんぞ」

「お前の許しなんか居るかカブト。それでアゲハさん、社長が戻らないって本当か?」

「事実です。TRIGGERシステムは社長からの信号を受け取って反応もしました、だけど・・・」

「システム事態が動かなかったってわけか・・・どういうことだ?アンテナの整備は俺や信頼ある社員が受けてるが、

整備してからこれまで不調が出たのは一度もないぞ?」

「クワガタくんの言う通りやねぇ、この一年でも社長の転移事故は1~2件確認されはしたけど・・・

どれもちゃんとシステムが作動して帰還も出来てる、なのに今回は帰還が果たされてないとなると・・・」

「何者かによる妨害とか?」

「アホかクワガ。あのシステムの解析データはトップシークレットで、

今もシステムはバージョンアップされているんだぞ?」

「でもそれぐらいしか思いつかねぇだろが」

「この前入社してきた新人、経歴が少々嘘偽りがあるように見えたがな」

「なっ・・・! お前、うちの仲間疑うってのかよ!?」

「可能性の話だ」

「てめ―――」


パンっ!と手を合わせ打つ音が鳴り響き、その場に居る全員が無言になり音のする方へと振り向く

音を鳴らしたのはクロアゲハだった。


「ここは言い争いをする場所ちゃうよ? 無駄に喧嘩するだけやったら二人とも帰ってくれてええんよ?」

「・・・わかった、すまない」

「悪かった・・・」


クロアゲハの豹のような静かにだが確実に相手を捉えるその黒い瞳に威圧されてか、

カブトとクワガタは小さく謝りながら静かに椅子に座りなおした。


「さて・・・まだ社長が帰らずからまだ数時間しか経過してないとはいえ、

このまま一日経過でも帰らない場合は・・・」

「えぇ。社長の指示通り、警察機関や八咫烏ヤタガラス隊の助力を求めます」

「まぁこうなってしまった以上はしかないだろうな」

「私も賛成だ、社員全員に通達しよう」

「お願いします。念のために今後のスケジュールの見直しもします、後日各部署に連絡網を回しますので確認を」

「了解した。他の都合で来れなかった奴らに今回の話をしとかないとな・・・」

「お願いします。今回は異例中の異例でしかも突如として起きた事案ですからね・・・」

「じゃあアゲハちゃん、ウチらはウチらでやることやらんとなぁ?」

「はい!」

「それじゃあ通常通りの業務に戻る」

「また呼び出しあったら伝えてくれ!すぐに来るからな!」

「分かりました!」



――――――・・・



......ここは八咫烏隊本部。

警察とは違うが、この世界に潜む常識では想定も出来ないような出来事を解決するのが

主な役割を持つ特殊な役所である。

その八咫烏隊本部に一本の電話が掛かる。


「はい、こちらヤタガラス隊本部・・・あぁ、アゲハさんですか。今日はどういった要件で?」


電話を取ったのは受付を担当する梟という男。

主に八咫烏隊の解決した事件などの書類を纏めるのが主な役目であるが、

数ヵ月前に前任の受付を担当していたが退職してしまい、現在は代わりに受付を担当している。


『どうもフクロウさん、実はそちらにご依頼したい事がありまして・・・カラスさんはいらっしゃいますか?』

「総隊長ですか? あ~・・・すみません、あの人今日は大阪の新世界にスマートボール打ちに行ってますね・・・」

『あらまぁ・・・いつ頃お帰りになりますか?』

「そうですね、このお昼ちょっと過ぎた頃だから、時間帯なら・・・6時過ぎぐらいには満足して帰ってくると思います」

『わかりました。では伝言をお願いします』


―――我が社の社長が異世界転移をしたまま帰ってこなくなりました。



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