destructive beauty
貴方は本当に綺麗な人ね
美しくて手を伸ばしてしまうの
触れたくて触れたくて
それだけ
夢中になってしまう
欠片も残さず魅了されるだけ
他の人なんて目に入らない
貴方以外なんて邪魔なだけ
けれど
この手は幼すぎて醜すぎて
貴方の美しさには
近付けない触れられない
だからかしら
美しいものほど壊したくなる
手の届かないほどの美しさを
手に入れられた気持ちになれるから
気高い恍惚に至る指先
触れた場所から
広がり滲む聖なる快感
背中の翼の色なんて
何色でも同じでしょう?
さぁ何でもおっしゃって
貴方は何を望むのかしら
貴方の為なら何でも
してさしあげましょう
貴方が優しさを望むなら
私は苦しみを与えたくなる
貴方が憎しみを望むなら
私は悦びを与えたくなる
貴方が自由を望むなら
私は束縛を与えたくなる
貴方が生を望むなら
私は死を与えたくなる
貴方が望むものと
正反対のものを差し出したくなる
この衝動が
欲しいかさえも貴方に聞いて
その正反対をしたくなる
正直で美しい貴方
私に嘘をけして云わない貴方
そんな貴方の純粋さが好きよ
さぁ笑って
私だけを想って笑う
貴方の顔が見たい
貴方の為になら
何だってしてさしあげる
でも望むことはしてあげられないの
何故かしら
その答えが
何処にあるかも解らないけれど
こんな愛し方しか出来ない
私を許して
でももし
こうなったことに理由があるなら
それは貴方の方でしょう?
ねぇ、次は何をしてほしい?
何がしたい?
あの女に逢いたい?
あの女にもう一度だけ
笑いかけてほしい?
醜い顔で唇を吊り上げるあの女よ?
それなら逢わせてあげる
首より上だけね
今用意するわ
貴方が
笑うあの女に逢いたいと望むなら
私は
怯えるあの女に逢わせてあげる
ねぇこうやって
貴方の精神を少しずつ
少しずつ蝕ませていけば
手に入るかしら
本当に美しい貴方
私になつくまで
私を乞うまで
苦しめてあげる
それに名があるなら調教ね
嗚呼そう
こんなに美しい貴方が
私を乞うなんて
そんなに素晴らしいこと
他にある?
ほら、そんな歪めた顔も
誰にも敵わないほど綺麗
触れてもいい?駄目なのね
それなら抱きしめてあげる
貴方の冷たい膚に
積もる苦しみをどうしても
増やしたくなるの
貴方の精神が犬のように
従順となるまで
その魂ごと壊してあげる
どうして震えるの?
どうして泣いているの?
恐いものなんて何もないでしょう?
どうして謝るのかしら
貴方は何か悪いことをしたの?
してないと思っているなら
私に反抗し尽くせばいいでしょう?
解らないわ
ねぇ教えて
私のこと、好き?
どうしてそんなことを云うの?
私は貴方の死を望んだことなんて
一度もないのに
貴方は何故私の死を望むの?
胸が引き裂かれる痛み
魂が千切れる音
鼓動が口から飛び出る感触
血が血管を壊す香り
貴方に解る?
涙が溢れそう
赤い雫が足を濡らす
ねぇどうして私を傷付けるの?
私が欲しいの?
私が貴方を欲するように
貴方も私を欲するの?
違うのね
でも貴方が私の死を望むなら
私は生を望んでしまうの
やっぱりこれだけでは
まだ足りないのね
貴方を手に入れるには
そうね
貴方はそれだけ美しいもの
それに
簡単に手に入るものなら
求めるだけ無駄だもの
それはまるで
貴方の望みが叶わないように
もう少しだけ貴方のこと
苦しめてあげる
大丈夫よ
すぐに済むわ
苦しくなくなるから
貴方も、そして私も
壊させて
貴方の全て
欲しいの
私をみつめる瞳と笑顔
冷たくても構わないから
ほら笑って
貴方の望みは何?
生きたい?
殺さないで?
そう
それなら貴方に死をあげる
美しい美しい
壊れにくい貴方
心を壊せない
美しさを手に入れられない
気高い貴方
それなら
貴方に教えてあげる
最期を告げる吐息
そうすれば
貴方は私だけのものに