never end
私は小さな蜜色の鍵
ここではない世界の扉を開ける
私の仕事は、ただ一人の少年を語り続けること
まだ誰も知らない、けれど私はとてもよく知っている
強く幼気で真っ直ぐな少年の話を
私だけが告げられる物語を
あなただけに教えてあげましょう
けれど
私にできることはあなたに扉を開くことだけ
あなたはあくまで傍観者
あなたはお茶会には参加できない
彼の用意した招待状を私は
あなたに渡す前になくしてしまいました
それでもどうぞ聞いてください
言葉に閉じ込められてしまった少年に
ほんの少しだけでも触れてあげてください
さぁ鍵をあけました
どうぞ、この扉を開けて
礼儀正しくノックも忘れずに
迷わないようにパンの欠片を落としながら
夜道を照らすランプの火を頼りにお進みください
ゆっくりでいいです
自分のペースで進んでください
長い長い間私の守り続けてきた鍵穴は
もう時の錆でふさがりかけています
私は鍵を辞めなければいけなくなるでしょう
けれどもし、もう一度あなたに会える日が訪れたなら
あなたこそが、私という鍵を捨ててしまうでしょう
そしてあなたが
彼を新しい世界へ連れていく鍵になることを
私はとても望んでいます
私が彼を閉じ込める鍵なら
あなたは彼を連れ出す鍵になってください
あなたがこの物語の続きを紡ぐことを
何よりも願っています
それではお入りください