その感情の名
あの女が憎らしい
尻軽な笑顔
軽薄な言葉
軟派な態度
全てが癪に触る
もっと束縛されればいい
二度とそんな笑顔出来なくなるまで
二度とそんな言葉吐けなくなるまで
二度とそんな態度見れなくなるまで
無性に苛立つ
何より苛立たしいのは
あの女に近付いてくる人間共
あんな愚かで浅はかな醜く俗世に穢れた群れに揉まれるなんて恨めしい
奴等全員俺がこの手で鏖殺してやりたい
そして何よりも殺してやりたいのはあの女
嗚呼そうだ
あの女がいるから俺は全てが憎くなる
あの女が見る物
あの女が聞く物
あの女が知る物
あの女が喰う物
あの女が匂う物
あの女が触る物
あの女が感じる全てが疎ましい
瞬き一つ
呼吸一つ
言葉一つ
毛一本から
筋肉の一筋
骨の一本に至るまで
全て束縛してやりたい
意思の余地など与えてやるものか
藻掻け
苦しめ
這いずれ
狂おしい
あの女が苦痛に歪ませた顔を想像するだけで
この身体に巡る血が沸き立つ
何もかも俺の意思に依存して
感情の籠らない空虚な瞳で見詰める
そんなものさえ狂気染みた笑いで罵ってやりたい
もう下等なあの女の生死さえも支配してやりたい
嗚呼
なんと愚かで憎らしい女だ
(一番愚かなのは、愛と憎しみを見分けられない己)