4-4.2回目
初めての種付けから1週間経ったある日。
2回目の種付けのようだ。今度は前日に連絡がなかったな。まぁ連絡を催促するのもなんだし、いいか。
2回目のお相手は……なんか見たことある!
っていうか、サワノルージュじゃないか。
「おやまぁ、今年のお相手はあなたなのね。
知ってる相手と種付けとか初めてだわ、わたし」
「オレもそうだよ。
っていうか種付け自体、これが2回目だけどな」
まぁ知ってる相手だと話は弾む。
過去にこいつのフケのせいで馬っ気出してしまったのもいい思い出……じゃないな、あれは黒歴史だ。
「2回目かぁ……ってか、わたしもそうだわ」
「そうなんだ」
「うんうん、去年が初めての種付けだったから、今年で2回目」
まぁ牝馬の方はそういうものか、ちゃんと種付け成功すれば1年に1回で終わりなわけだ。
「無事に産まれたんか?」
「うんうん、可愛い牝馬。
大きくなってもあなたにはあげないわよ」
ん? そういうケースも将来的にはありうるのか?
ありうるんだろうな、まぁ。
「そうか、サワノルージュもお母さんなんだな」
「うんうん、自分の子供ってこんなにかわいく思えるとは想像してなかったわ」
「まぁそうだろうな、きっと自分の子はかわいい。当たり前だな」
「そだね、当たり前か。まぁあなたも無事に種牡馬なれたようで、めでたいわね。弱かったのに」
「え、弱かった?」
「弱かったじゃん。わたし1回しか負けてないし」
「そうだっけ?」
過去の戦績をもう一度思い出してみた。
初対決は例の黒歴史の阪神大賞典。このレースでサワノルージュに負けたのは悔しいけど間違いない。
2度目の対決は春の天皇賞。このレースはオレが間違いなく勝ってる。
そして、3度目は確か宝塚記念、このレースにもサワノルージュは出てたな。オレは8着と惨敗。あのレースたしかサワノルージュは……正確には覚えてないけど、たしかにオレより先着してる気がする。
そうなると直接対決はオレの1勝2敗。負け越してるわ。
オレに勝ち越してる馬とかそんなにはいないはずなんだけどなぁ。
「確かに負け越してるみたいだ、おかしいなぁ」
「でしょ?
わたし強いんだから。
ってか、世間話しててもしかたないし、やることやりますか!
記憶によれば、あなたのはずいぶん立派だったね。
お姉さん楽しみだわ」
そういえば、こいつ年中フケまくりの色ボケ牝馬だったわ。
今もフケきてるが、これはいいのか。今はこれが正解。
なら、オレのほうもスタンバイするのがマナーだな。
2回目の種付けもすんなり成功。
「うん、いい感じに来たわ。これは孕んだわ。
んじゃ、いい子を産むね。
またねー」
やっぱ、サワノルージュってこういう馬なんだな。
なんかなー、気品ってのを感じないけど、まぁこういう馬なんだからしかたない。
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