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2-5.次走

「藤森先生、ホークアイ陣営は再戦を望んでいるようですが?」

 藤森調教師が記者さんたちに囲まれている。


「ホークアイ陣営?

 吉住さんが言ってるの?」

「いえ、イギリスから来ているオルコット調教師が……」

「そうだろうねぇ。

 吉住さんがそんな馬鹿げたこと言うわけないわなぁ。

 残念だが、ホークアイとの再戦はないね。勝ち逃げさせてもらうよ」

 藤森調教師の答えに記者さんたちは不満そうだ。


「ということは大阪杯には出走しないと?」

「そういうことだな。

 ビーアンビシャスの目標レースは春の天皇賞1本に絞っている。

 大阪杯を使ってる余裕はないな。距離適性も今ひとつではあるしな」

「京都記念の2200メートルは見事な勝ち方でしたし、2000メートルも行けるでしょう」

「んー、まぁ行って行けないことはないだろうけど、得意適正とは言えないしな。

 そのあたりはもう少し成長してからでいいだろう。

 まだまだ伸びるよ、こいつは」

「確かにそうでしょうけど、春の天皇賞までにはまだ間隔がありすぎなのでは?

 もう1戦2戦使ってもいいのではないですか?」

「うん、確かにそのとおり。

 阪神大賞典を予定してるよ。

 3000メートルはこいつにピッタリだ。菊花賞と同じだしね。

 春の天皇賞に向けて、距離を伸ばして行かないとな。

 ここで2000メートルを使うのは論理的じゃない」

「阪神大賞典ですか……人気になりそうですね」

「他の連中はどこ使ってくるのかね。本番まで楽させてもらえると助かるけど、こればっかしは希望通りいかないからねぇ。

 これまで毎回予定外の大物にジャマされてばかりだ。

 こいつ、強い馬がいると必要以上に力を使っちゃうからね」

「わたしたちとしてはそちらのほうが盛り上がってくれていいんですけどね。

 人気集中しちゃうと予想紙の売り上げも伸びないんですよ」

「ハハハ。

 まぁそれはそれとして、そういうことだから、ホークアイもうちのと再戦したかったら阪神大賞典か天皇賞に出走してもらうしかないねぇ。

 とはいえ、吉住さんがそんなことは許さないだろうがね」

 そんな感じで取材は終わったようだ。


 ということで、オレの次走は阪神大賞典らしい。

 その名のとおり阪神競馬場で行われるG2レース。芝3000メートルの伝統のあるレースだ。昔から春の天皇賞のための前哨戦として有名である。

 とはいえ、大阪杯がG1に昇格して以降、阪神大賞典より大阪杯を使ってから春の天皇賞に向かう馬が多くなり、実績から見ても大阪杯を使ってきた馬が好成績を収めている傾向にある。

 ただ、これは実力馬が大阪杯に回ることが増えたってだけの理由ではないだろうか?

 まぁオレとしても藤森調教師の方針に賛成だ。

 正直、大阪杯で2つめのG1に挑戦したい気持ちがないではないが、今短い距離のレースに出て強い馬たちとガチな戦いができるかどうかと言ったら少々不安がある。

 ここは万全の体制で春の天皇賞に向かいたい。

 そして親子制覇って感じで話題になってもらえば、オレの将来に箔がつくってもんだ。

 まぁ前にも言ったとおり長距離レースの実績が種牡馬としての評価にどれだけプラスとなるかは疑問がないではないが……


 勝ちたい……

 とにかく、適性から見て得意距離である春の天皇賞に勝てないようでは、オレの将来は真っ暗闇だ。

 そのために前哨戦で負けていては始まらない。


 これから1戦1戦、敵はどんどん強くなってくるだろう。

 その強敵たちに勝つためには今はひたすらトレーニングだ。


 明日の勝利を目指して!

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