表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/55

2-4.京都記念

 2月の京都競馬場。

 めっちゃ寒い。北海道育ちのオレだから寒いのは慣れてるはずなんだけど、それでも寒い。

 ある意味、北海道より寒いんじゃないのか?

 いや、たぶん気温は北海道より高めだと思う。でも体感では寒いんだよ。


 オレが寒いと思うんだから、騎手とかめっちゃ寒いだろうな。なんか薄着みたいだし……と思ってたんだが。

「アンビの鞍上の時は重さ気にしなくていいから、たくさん着込めて助かるわぁ」

とか、言ってた。

 普段は見習騎手かつ女性騎手ってことで、重量にハンデもらってるおかげで、いろいろ軽装にしないと重量オーバーしちゃうらしいんだけど、重賞ではそういうの関係なく重量は規定重量で一定。

 他の男性騎手たちに比べればずいぶん体重も軽いジュンは、オレのときはオモリが必要なくらいだから、めいっぱい着込めるらしい。

 そんなものなのね……


 ってことは、体重がギリギリの騎手とかは薄着にしないといけないのだろうね。ご愁傷様です。


 さて、京都記念のパドック。

 今日は薄曇りだけど、しばらく雨も雪も降ってないので芝状態は良さそう。

 冬だから芝も枯れるのかなとか思ってたけど、オーバーシードってやつで青々としてやがる。

 オレの人気はと見ると、残念ながら2番人気。でも1番人気のホークアイとは僅差って感じ。3番人気以降は大きく離れているから、皆の予想はオレとホークアイとの一騎打ちって感じらしい。


 そのホークアイの様子を見ると、少しガレ気味。掲示板を見るとマイナス6キロとなってる。長旅の疲れが癒やしきれてない感じか。

 おなかに肉を余らせたプラス6キロのオレとは対象的だな。

 ちなみに、どちらもレース的にはマイナス材料だろう。


 そしてホークアイの気合いの入り方だが、どう見てもやる気がなさそうだ。今日はムリをせずにって感じなのだろう。

 ムリをせずにって点ではオレのほうの陣営も同じなんだが、オレとしては違う。

 やる気は十分だよ。ここで、ホークアイに勝って将来の評価アップと行きたいところだ。

 本来なら調整だけの予定だったこの京都記念。そんな付加価値まで与えてくれたんだから、ここで取りこぼすわけにはいかない。

 気合いいれていこうぜ!


 特に波乱なく始まった京都記念のレース。

 レースは淀みなく進んでいく。

 逃げを撃ったのはローンペルセウスとドミノファイン。2頭競り合う感じもなく、2頭並んだ先頭で淡々とレースを引っ張っていく。ローンペルセウスはいつも逃げるしかないって感じの馬で、時々大穴を出すから注意って感じに言われてたけど、単騎で大逃げされなければ問題はないと思われる。


 1番人気のホークアイは先行が得意らしく、中団の馬群の中で落ち着いてレースを進めているようだ。

 あのまま馬群に埋もれてくれれば楽なのだが、そうも上手くはいかないだろう。


 ホークアイが早めに馬群を抜け出して仕掛けていく。逃げの2頭はすでに脚色はよくなく、あっさりとホークアイが先頭に立っていった。


 オレはどうしていたって?

 いつもとおなじレース運びで、ホークアイが先頭に立った時点ですでに大外から馬群の大半は抜き去っている。

 直線に入ってホークアイを射程距離に捉える。

 さて、ホークアイはスギノミサイルのような必殺技を持っているのか?


 オレが一気にホークアイに襲いかかる。

 一瞬、ホークアイのスピードが上がったような気がしてオレはドキリとした。だが、それは一瞬のことで、それ以上の抵抗はなくオレはホークアイを抜き去った。

 1馬身差をつけての完勝。

 歓声に包まれてオレはゴールを通過した。


 そのままジュンを乗せてのウイニングラン。

 重賞挑戦3戦目にして、ちゃんとした勝利はこれが初めてか。

 1戦目はスギノミサイルに完敗。2戦目は激戦の末、スギノミサイルと同着。

 そして今回、イギリスのG1馬ホークアイを差し切っての勝利となった。

 感慨もひとしおである。


 だが、これは春の天皇賞へ向けてのステップにすぎない。

 本番に向けて万全となるよう準備しよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ