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幕間 有馬記念観戦

「有馬記念かー、出たかったな」


 ここは、阪神競馬場のジョッキールーム。

 設置されたモニターを見ながらつぶやいているのは、斎藤ジュン。

 御存知のとおり、ビーアンビシャスの主戦ジョッキーだ。


「さすが、G1ジョッキー。言うことが違いますねー」

 そう言ってからかっているのは、相原カオリ。ジュンの1期先輩となる女性ジョッキーだ。

「もうカオリ先輩ったら、からかわないでくださいよ」

「でも、いきなりG1ジョッキーなんてすごいよねぇ。わたしなんて重賞勝利も当分、夢のまた夢って感じなのに……」

「いい馬に巡り会えただけですよ。

 ラッキーなだけです」

「でも、ジュン。最近どんどん上手くなってる気がするし……

 騎乗依頼もすごく増えてるみたいだし、差がつけられちゃうなぁ。

 わたしも頑張らなくっちゃ」

「騎乗依頼が増えたのはありがたいですねぇ。

 まぁ今日とかは有名どころの騎手は皆、中山のほうに行っちゃってるから、その代理って感じですけどね。

 でも、今日勝ってればともかく1つも勝てなかったから、たぶん降ろされちゃんだろうなぁ……残念」

「与えられたチャンスを活かせなかったんだからしかたないよね。

 わたしなんか、なかなかそのチャンスも回ってこないし……

 もうちょっと女性騎手にも騎乗のチャンスを!」


 2人で愚痴を言い合ってると、モニターは本馬場入場の画面に変わった。


「ビーアンビシャスの状態は結局どうなの?」

「うん、菊花賞で精根尽き果てたみたいになっちゃってて、あの後は飼い葉もほとんど食べれなかったくらいだったから。あの食いしん坊が……

 馬も先生も有馬記念に出走させたくて頑張ってたけど、どうにも体調が戻らなくてね。

 でも、放牧したら心身ともにリフレッシュできたみたい。

 北海道の牧場でまたすごく元気になってきてるみたいよ」

「それは何より。春にはまた元気になって戻ってきてくれそうね」

「うん」

「ビーアンビシャスは回避、スギノミサイルは引退ってことで、有馬記念の3歳馬の有力どころはタカノロイヤルだけになっちゃったね。

 で、あの馬は結局のところ強いの?」

「うーん、評価の難しいところですよね。

 なんだかんだ言って、スギノミサイルとうちのアンビ以外に先着されたことがないんだから強いとは思うんですけどね。

 3歳馬と古馬の実力差がどうなのかな?」

「タカノロイヤルの今日の走り次第で、来年ビーアンビシャスが活躍できるかどうかが占えるかもね」

「うわ、他人任せってのが不安ですねぇ。来年、アンビと有馬記念でれますように」


 今日の有馬記念。

 1番人気は春の天皇賞と宝塚記念を制した5歳のドウネンブラウン。

 2番人気は秋の天皇賞でドウネンブラウンを差し切った4歳のサワダジーニアス。

 3番人気はジャパンカップで3着(日本の馬としては再先着)だった4歳のファインテンコー。

 そして4番人気は3冠レースですべて入着した3歳のタカノロイヤル。

 この4頭で人気を分け合っている感じである。


 ファンファーレが鳴り響き、いよいよ出走。

 全馬一斉にキレイなスタート……


「あれ?

 1頭出てこないよ……」

 出遅れってレベルでなく、いつまで経っても走り出さない馬が1頭。


「あちゃー、あれってサワダジーニアスだよ。

 あ、出てきた!

 でも、トコトコ歩いてどっかに行っちゃうよ」

 ジュンがつぶやくのを呆然と見るだけのカオリ。


 数秒遅れてゲートから出たと思ったら、サワダジーニアスは勝手に退場していった。悠々と……


「まったく鞍上の言うこと聞いてないみたい。川上さん、辛いよね……」

 サワダジーニアスの主戦の川上はカオリの親戚にあたる。競馬業界はやたらと親戚関係が多かったりするのだ。


「川上の叔父さんが言ってたんだけど、サワダジーニアスって『殺し屋』って呼ばれてるみたいなの。ターゲットになる馬がいるとめっぽう強いんだけど、そういう馬がいないとまったく走る気をなくすって……

 天皇賞勝った後もすごく元気だったんだけど、スギノミサイルが引退発表したら、急に走る気なくしちゃったって……

 それでもなんかまた調子上げてきたから、有馬記念も出走させたらしいけど……

 あんなことになっちゃって……」


 どうやら有馬記念でスギノミサイルと戦うことだけを楽しみにしていたようだ。

 そして、調子を再び上げてきた理由は、ビーアンビシャスのことを聞いたためだったらしい。でも、そのビーアンビシャスも直前で有馬記念を回避して……


 サワダジーニアスとビーアンビシャスの直接対決は来年以降に持ち越された。

 ビーアンビシャスの方は別に待ち望んでいない直接対決であるが……


 なお、有馬記念はドウネンブラウンの春秋グランプリ制覇で幕を閉じ、タカノロイヤルはここでも2着であった。

 これで第1章は完結です。

 続きは脳内にはあるのですが、まだ1行も書けていません。

 うまぴょいの合間にでも書いていけたらと思っています。

 評価やブックマークしていただけると、やる気が出て原稿も進むと思います。

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